第18話 千翼と萌奈の罰清掃? ②

「まったく…!どうしてあんな人の面倒を私が見なくちゃいけないのよ!」


千翼達の掃除をトイレの出入り口から監視をする律は呆れつつもその目の視線の先には常に千翼がいた


「大体…蓑島さんといい崇道さんといい、うちのクラスの女の子達はあの人のどこがいいのかしら?そりゃ他の男子達と比べても顔はかっこいいかもしれないけど、校内で女生徒といやらしいことを平気でするような破廉恥な人なんだから!!」


律の脳内には千翼が犯した様々な犯行映像が流水の如く流れる

教室では活発なギャル達に囲まれて腕を組まれ、赤面していたり

茶道部の部室に赴いた際は部員全員に囲まれながら長時間お茶を楽しんでいたり

屋上ではあろうことか萌奈もなを抱きしめながら寝ていた


そういった千翼の破廉恥行為を全て現場で確認している律にとって千翼がなぜモテているのかが理解できなかった


「そ、そうよ…いくら優しくてかっこよくても中身は完全に野獣そのものじゃない!騙されちゃダメよ清水律!!あの人に手を出されたら一体何されるかわかったものじゃ……」


「あの〜清水さ〜ん?聞こえてる〜?」


「きゃああぁぁぁぁ!!??【バシィ!!】」


「いたぁぁぁ!!?」


律が自分の世界に入って独り言をブツブツ言っていたら律の顔を下から覗き込んできた千翼の顔がいきなり現れてびっくりしたのか律は大絶叫と共に千翼の右頬に強烈なビンタを喰らわせた

千翼もまさか叩かれるとは思っていなかったのか全く回避できずモロにビンタを受けてしまった


「何するんだよ!!」


「何するんだはこっちのセリフよ!!いきなり女の子の顔に顔を近づけてりなんかして…。あなたもしかして私の唇を奪うつもりだったんでしょ!!」


「そんなわけあるか!!俺はただ男子トイレの掃除が終わったから一応報告しようとしたのに清水さんが全く話聞いてくれないのが悪いんだろ?」


「終わった〜?たった数分で終わらせるほど、適当にやってたら承知しないわよ?」


「そんなことするわけないだろ!ちゃんと隅々までやったし結果25分くらいはやったからな?」


千翼はスマホの画面を律に見せる

そこにはストップウォッチの画面が表示されておりタイムは千翼の言う通り25分程で止まっていた

しかし律が驚いたのはストップウォッチのタイムではなく現在時刻であった


「よ、4時半!?(や、やだ!わ、私ったら…30分も飛鳥君の考えていたっていうの!?)」


「終わってから報告しようとしたら、反応ないから5分間くらい肩揺すったり声掛けとかしたけど全然反応ないから大丈夫か心配したんだぞ?そしたらいきなりビンタされたから本当びっくりだよ…」


「そ、それについてはその、私が悪かったわよ…。ごめんなさい」


律は申し訳なさそうな顔で千翼に頭を下げて謝った

こういう風に律は自分が悪いと判断したらすぐに謝れるところを千翼は評価している

こういったタイプの人は自分の意見を曲げず、自分が悪いと思っても謝らない人が世の中には多くいる

だからこそ、千翼はいくら律から悪口言われても彼女を嫌うことはないのだ


「もういいよ、俺もいきなり驚かせてしまったからこれでおあいこって事で。そんじゃ俺らは女子トイレの清掃やってるから今度はちゃんと監視しててくれよ?【ひらひら】」


「う、うん…が、頑張ってね……」


千翼はそう言って手を振りながらトイレの中で待っていた萌奈もなと共に女子トイレに入っていった


「…………はっ!なんで私…あの人に手なんか振って……」


律は千翼に向けて振っていた手をすぐ様後ろに引っ込ませた

律の脳内には先程の千翼が笑顔で手を振っている光景が延々と流れていた

律は「ちょっと…かっこいいかも……」と思った矢先に首を振ってまた映像を流してかっこいいと思うの繰り返し作業に入ったのだった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る