第17話 千翼と萌奈の罰清掃?

時刻は4時を過ぎ、千翼と萌奈もなは1年生が使用するフロアのトイレの前に立っていた


「ふん、卑怯者の貴方が逃げずによく来たものね。そこはちゃんと評価してあげますよ?」


腕を組んで二人の前に立ってクスリと微笑むのは千翼による不純異性交遊を現行犯で捕まえた学級委員であり風紀委員の律である(実際は千翼は不純異性交遊をしていないのだが栗の中ではそういう解釈になっている)


「逃げずにって…今日から始まるのは分かっていたけど顔を合わせるたびに確認を取ってきたのは清水さんじゃん……。」


すれ違った時1回だけ言うとかならまだ分かるがそれが授業中や昼食、清掃の時間の時にすれ違うたびに言われた為、今日だけで実に20回以上も言われた千翼だった


「そうでもしなくちゃ卑怯者で破廉恥な貴方は何か理由を付けて逃げ出しちゃうでしょ!そうはいかないんだからね!!」


「今の会話で破廉恥は関係ないしそもそも俺は破廉恥じゃねぇよ!!」


「罰清掃だって言っているのにも関わらず蓑島さんに抱きついている貴方のことを破廉恥と言って何が問題あるって言うのよ!!」


「“抱きついている”じゃなくて“抱きつかれている”んだよ!!」


集合場所であるトイレ前に事前に集まっていた萌奈もなと合流した時から千翼は萌奈もなに抱きつかれていた

千翼もこの後合流するであろう律に抱きつかれている姿を見られたらまた「破廉恥!!」と言ってくるだろうと萌奈もなに離れるように促すが萌奈もなは断固として離れようとはしなかったため、結果千翼の想像とした通りの結果になった


「ねぇ蓑島さん?そんな助平な男に抱きついていいの?いやらしい目で見られてしまうかもしれないのよ?」


キッと千翼に睨みつけてから律は少し屈んで萌奈もな心配をする


「…ち〜くんにしかこんなことしないの。余計なこと言って萌奈もなとち〜くんを引き剥がそうとしないでほしいの…」


萌奈もなは目をパチクリすると視線を律から千翼の方へと向けて頬を抱きついている千翼の左腕擦り寄せながら答えた


「…ち〜くんの監視は萌奈もなが務めるからあなたはとっとと帰ってほしいの。」


萌奈もなはシッシッと追い払うような手振りを律に向ける

二人きりの空間を作りたい萌奈もなからしたら律の存在はとても邪魔で不愉快なのだ

萌奈もなは普段からクラスメート達とはある程度の線引きをしており特定の生徒と仲が良いことがなければ嫌ってる生徒もいない

それでもその線引きの中に例外はあり、それが他でもない千翼である

大勢の前では大胆なことはしないがずっと千翼を視界に捉えており二人きりになれる時には可能な限り甘え尽くす


「そ、そんなこと出来る訳ないでしょ!?私は規則を破った飛鳥君の監視を風紀委員として学級委員として監視する義務があるの!!」


「…そんなこと言って本当はあなたがち〜くんの側に居たいだけだと萌奈もなは思うの。あなたがいつもち〜くんの側に行く時の顔、とっても嬉しそうなんだもん」


「ば!…そ、そんなわけっ…!!」


逆に千翼が他の女子と仲良く話している光景は常に見ておりその時は大好きな本を読んで心を落ち着かせるが全く集中出来ていない

頭の中では千翼と仲良くしている女子のことで頭が一杯になってしまう

その女子の一人が律である(主に仲良く話しているのは遥華であるが…)


「…今日だってそうだったの。ち〜くんに掃除の事を話した後のあなたの顔はとっても喜んでいt…」


「いったアァァァ〜!!?」


萌奈もなの話の途中で律は千翼の足を思いっきり踏みつけた事により、千翼の絶叫が廊下中に響いた


「え!?何で?何で今俺の足を思いっきり踏みつけたの!!?」


片足でぴょんぴょんして踏みつけられた足を撫でながら千翼は踏みつけられた理由を律に聞く


「うるさいうるさい!いいから早く掃除を始めなさい!!あと今聞いた話は全部蓑島さんの冗談だからすぐに忘れなさい!!」


「は、はいいい…!!」


しかし律は顔を真っ赤にして横に顔を向け千翼に掃除するよう命令した

実際は起きていないが律の今の様子を表すと頭の上には怒りで蒸気が吹き出しているだろう

その迫力に気圧された千翼は腕に抱きついている萌奈もなを引き連れてトイレの中へ逃げていった



                            〜つづく〜



今回も読んでいただき誠にありがとうございました!!

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次回もお楽しみに!!



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