第10話 遥華様は歩いて登校したい (中編)
そして話は現在に戻る
“執事長”長谷川に許可を強引掴み取った遥華と千翼はこうして人生初の徒歩通学を満喫していたのだった
「あっ、ち〜ちゃん見て見て!あそこにコンビニがあるよコンビニ!!ねぇねぇ〜ちょっと寄ってみようよ〜!」
【コンビニエンスストア】
現代人にとっては必要不可欠である店舗である
お腹が空いたらふらっと立ち寄って食料を買い、朝の一杯の缶コーヒーを1日のルーティンにしたりと使用する用途はその人に寄って多種多様だ
そんな誰しも一回は立ち寄った事のある【コンビニ】をお嬢様の遥華はただの一度も使用したことがないのもあって興味は充分にあった
「はいはい…珍しいからってあまり甘いものやお菓子とか買いすぎるなよ?ついつい食べ過ぎて体重が更に悲惨な事になっても知らんからな?」
「更にってなに〜!?それじゃまるで今の私の体重は既に“悲惨”って言いたいの〜?」
「ん〜……【ジロジロ】」
千翼は改めて主人の遥華の全身を観察してみる
ピンク色のふんわりとした髪は毎日の手入れが行き届いており指を入れるとスッと通るほど滑らかだ
橙色の瞳は汚れを知らないほど澄んだ輝きを放っていた
千翼の身長から20cm程離れた体型から想像しえないほど発達している胸部は視線を離そうとしてもついつい目が離せなくなってしまう
短い足にムチっと太ももとお尻そのどれもが…」
「ちょっとち〜ちゃん!?私の身体をまじまじと観察して見ていると思ったら何口に出して説明してるの!!」
「えっ?俺今口に出してた?全然気づかなかったわ…。でも、俺は別にお前の事を“悲惨な体型をしたデブ”なんて一言も言ってないぞ?」
「たった今!口に!!出して!!!言ってるじゃないの〜!!!!」
遥華は顔を真っ赤にして涙目で千翼のお腹をポコポコとファンシーな音を立てながらサンドバックのように殴り続けた
まぁ…普段からトレーニングをしている千翼の鍛え上げられた腹筋では“ポコポコ”なんて柔らかそうな音は出ないだろう
出るとしたら“ポコポコ”ではなく“ゴッゴッ”と岩でも殴ってるような音だろう
「はっはっ…お前のぷよぷよとした腕から出るパンチなんか痛くも何ともないぞ?【なでなで】」
「そんな集まったら弾けるスライムみたいな身体して無いもん!!ち〜ちゃんの〜!おバカアァァァ〜!!!!【ブン!…ぷちゅ!】」
「ふぎゃああぁあああああ!!!?」
プルプルと真っ赤になって震える遥華は思い切り右足を千翼の股の間に振り上げた
千翼の股の間からあまり男子では聞きたくないような何かが弾けたような音が鳴った
予期せぬ遥華による攻撃と急所への
「くっ……ひゅぅ……おま…!きん…てきは…」
「ふんだ!ご主人様である私を“世紀末おデブ”なんて言うからこうなるんだよ!少しは反省しなさい!!【プイッ!】」
「い…いって…ない…じゃ…」
「そうだとしても結局言ってる事の意味は変わらないもん!!」
股間の局部を押さえながらコンビニの入り口で転げ回る千翼に遥華は頬をぷく〜っと膨らませて怒りを露にしていた
その後暫く千翼は立ち上がるまでに数分も時間を掛けてしまい結果的に遥華は念願のコンビニ体験はまたの機会になってしまった
「うぅ…まだジンジンしてきやがる……」
「ふんだ!意地悪なち〜ちゃんは反省するまでずっと痛がってればいいんだ!」
コンビニから離れた後も遥華の機嫌は直らず顰めっ面をしたまま二人は登校することになった
依然千翼の急所の痛みも治らず抑えていない何かが溢れてきそうだった…
「(いてて…遥華のやつ、まだ怒ってるのかなぁ)【チラッ】」
「【ぷく〜】……【チラッ…ッッ!?】【ぷ、ぷく〜?】」
遥華の様子を見てみると確かに頬をパンパンに膨らませて怒っているように見えるが時折千翼の方を見ているようだ
今仕方、見ていることが千翼に見られてしまい遥華は真っ赤な茹で蛸みたいな顔になっていた
「…………【ぷにっ】」
「!?…【ぷく〜】」
千翼はパンパンの頬っぺたを指で軽く突っついてみると遥華は驚いたのか一瞬こちらを見てすぐ視線を戻した
ちょっと嬉しそうな気がした…
「(これは…もっとやって欲しいのか?怒ってるようには見えないしむしろ……試してみよ…)【ぷにぷにぷに】」
「んっ!…ふにゅ///……!」
「(くすぐったいのだろうか?…しかし嫌がってる素振りは見せてないからこれはやっOKってことだ!)【ぷにぷにぷにぷにぷに】」
確信した千翼は優しくも時に激しく遥華の頬っぺたを何度も何度も突いてみると遥華は心地良さそうな表情になってきた
これは当たりの予感がしてきた
「も、も〜!!!そんなに頬っぺをぷにぷにしないでよ〜!!」
残念ながらハズレだったようだ…
「ははは、悪い悪い…お前の反応があまりにも可愛かったからついついやっちゃったよ」
「え……?」
〜つづく〜
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