第5話 遥華様は千翼君に着させたい(中編)
「は〜い!それではこれよりち〜ちゃん単独のファッションショーを開催したいと思いま〜す!!」
「い、イエーイ…」
「………いえーい」
時は経って時刻は23時となり千翼と遥華は本日の稽古を終わらせ帰宅していた
普段この時間帯になると健康優良児である遥華は半分以上夢の中に足を踏み入れているのだが今日の遥華は文化祭or体育祭の実行委員会並みにテンションが高くなっていた
当然遥華がこの時間帯でもハイテンションなのは今朝千翼と約束した(強引に)ファッションショーが行われるからである(強引に開催している)
「ほらほら〜!ち〜ちゃんも鈴さんももっとテンション上げようよ〜?折角のち〜ちゃんの単独ファッションショーなんだからさ〜!」
「こんな罰ゲームのようなものでどうやったらテンションが上がるって言うんだよ!!」
「え〜?なんだかんだ言ってち〜ちゃんだって楽しみにしてるんじゃないの〜?そうじゃなかったら私の部屋に来てないじゃ〜ん!」
「行かなきゃお前が泣き出す状態で俺に拒否権なんかが付与されてるわけないだろ!!第一逃げないように万全な状態踏んでいるじゃねーか!!」
千翼は椅子に縛られ身動きの取れない状態で半ば監禁状態であった
千翼には女装趣味もコスプレの趣味なんか全くないのだが遥華がこんなにもテンション高くなっているため、千翼も止めようがないし止めようとすると主人が涙目になってしまうので止めるつもりもないがやはり嫌なものは嫌なのだ
だって自分が似合うはずもないコスプレを主人の目の前で行わないといけないのなんて苦行でしかないやん?
「あはは…まぁ千翼君なら似合うだろうから大丈夫じゃないかなぁ…?」
「鈴さん…実は心の中では僕の痴態を見るのが楽しみにしてるんじゃないですか?口元が緩んでますよ?」
「(そんなわけないよ〜!)でもイケメン従者が恥じらいながらCAの格好してるとか興奮す…なんでもないよ?」
「心の声が隠しきれてないんですけど!?」
千翼は普段の鈴が実は偽物だった真実に現実を受け入れられずにいた
普段従者として同僚を優しく指導し、先輩従者から期待されており遥華や当主の浩介など主人に対しても全く臆せず完璧に対応出来る鈴が今、大量のカメラをあらゆる角度に構え鼻息荒くいつ獲物がきてもいいように狙いを定めている鈴が本物なんて信じたくないのだ
「ねぇ鈴さん?その大量のカメラは一体全体なんですか?…まさかとは思いますけどち〜ちゃんの事、狙っているという事ではないですよね?」
「え!何その殺気!?いつものふんわりした優しい雰囲気は何処いったたの!?」
遥華は鼻息荒く興奮している鈴を見て冷たい視線を向けながら詰め寄る姿に千翼は恐怖を抱いた
普段はぽわ〜んと効果音とともに生きているみたいなお嬢様からは発揮されない雰囲気を纏っていた
「遥華様…遥華様は勘違いされていますわ?」
鈴は殺気を纏った遥華にまるで怖がる素振りを見せず寧ろこの反応してくることを予見していたような余裕を見せた
「勘違いですって?この状況を見て勘違いなんてよく言えたものね」
鈴の言葉に更に怖い雰囲気に包まれた遥華が更に詰め寄る
千翼はそんな遥華の姿に恐怖で震えが止まらない
「いいえ、遥華様は大きな勘違いされていますわ。」
「どういうことかしら?」
「私は確かに千翼君のことを好ましく思ってはいますがそれは恋愛感情ではありません」
「へ〜?そうなんだ〜。あと、ち〜ちゃん?鈴さんに好きって言われて照れてるの見ていたからね?」
「ひぅ!?ご、ごめんなさい……」
好ましく思っていると言われ千翼は頬を染めて照れていたが恋愛感情はないと言われ赤く染まった頬が一瞬のうちに茄子のように紫色になった
この一瞬で千翼は天国と地獄を両方味わったと言いたいが先程から千翼の気分はずっと閻魔大王のいる地獄にいる気分なのだ
しかも迂闊にも頬を染めてしまっため、遥華に睨まれる始末だ
「それで…鈴さんはどうしてち〜ちゃんのコスプレを妄想して興奮していたの?」
「そ、それは…」
遥華の問いに鈴は顔を伏せ、両手を組んで貯めに貯めると遥華に向かって堂々と…
「私はイケメンが恥じらいながら可愛い格好を写真に撮るのが好きなんです!!」
と千翼に向かって死刑宣告を告げた
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