第2話 遥華様は千翼君に触れられたい
チチチ…チチチ…
「ん…んんぅ……朝、かぁ…」
時刻は朝の6時を過ぎ窓の外から鳥の鳴き声が心地よく聴こえ、そんな鳥の鳴き声が目覚ましとなり千翼の意識が徐々に覚醒し始めた
千翼は幼い頃から崇道家の従者として仕えているため、朝早くから崇道家の仕事をする事にも慣れているのだが遥華の専属の従者となってからは起床時間がかなり遅くなった
「うぅん…ち…ちゃん…どこ……あっ、いたいた【キュッ】」
千翼の隣で寝ていた遥華が掴んでいた千翼がいなくなった事によって不安になったのか意識を無理やり覚醒させ千翼を発見してすぐ寝巻きの裾を掴んだ
千翼は目を擦って首を回すとコキコキと心地良い音が聴こえてきた
心地良い痛みで意識を完全に覚醒させると千翼は遥華の方に視線を移した
「遥華さ…今更この事でツッコミを入れるのも野暮だとは思うんだけどさ……」
「んんぅ…?ふわぁ〜……なに〜?」
千翼の声に反応して千翼の方に身体を向ける遥華は眠たげな顔を浮かべながら笑顔で返事をした
相変わらず可愛いなと思うのだが遥華自慢の豊満な胸の谷間が白い寝巻きの隙間から丸見えであった
「…遥華さ、あの…胸元丸見えだぞ?年頃の女の子が年頃の男の子にそんな無防備な格好を晒して良いのかよ…?」
いくら自分の家の従者とはいえ千翼も思春期真っ盛りの16歳である
そういう事にももちろん興味あるし身体も無意識にも反応してしまう
普段から全く気にせず千翼に密着してくる遥華に千翼はあくまで気づいていない風を装っているが内心では壮絶な葛藤が繰り広げられているのを遥華は気づいていない
「ん〜?【ジッ…】……まぁ〜別に私は気にしないよ〜?だってち〜ちゃんにしか見せる気ないもんね〜」
「気にしないって、お前なぁ……」
「そうだよ〜?寧ろ私はち〜ちゃんが私に触れない事の方が不思議何だよね〜。【グイッ】」
「ちょ!?おま!!」
遥華は千翼の首から抱きついてベットに千翼を引き寄せる
千翼もいきなりの事に全く反応する事が出来ず力で劣る遥華に押さえつけられてしまった
「ほらっ?ち〜ちゃんの為に頑張っておっぱいも大きくしたんだよ?おっきなおっぱい大好きなんでしょ?」
「は、はるか…さまっ…やめっ!…」
千翼をベットに押さえつけた遥華は千翼の手を掴んで自分の豊満な胸を触らせようとする
千翼も触らまいと抵抗してはいるのだが遥華に痛みを与えたくない事もあってか上手く力が入れられず徐々に千翼の手は遥華の胸に吸い寄せられていった
「お、俺は……スレンダ…の女性の方が…」
「お嬢様〜〜!!!!!」
千翼の手が遥華の胸にあと数cmで触れてしまう時にドカーン!!っと寝室の扉が吹っ飛ぶ音と共に白髪の老人が入ってきた
崇道家の執事長で千翼の教育係の【長谷川進次郎(通称じいや)】である
「し、執事ちょ!?ぐはぁ!」
「ご無事ですかお嬢様!このじいやが来たからにはもう安心ですぞ!!貴様…仮にもお嬢様の専属従者という大役を務めているにも関わらずお嬢様に破廉恥行為をするとは……このケダモノめ!!!」
扉を蹴破って参上したじいやはスクっと立ち上がるとすぐ様千翼を床に押さえつけて拘束する
じいやは74歳と高齢のはずなのだが普段から鍛えている千翼に全く力負けしない所か寧ろ千翼に力で捻じ伏せている
「わ、私は…いつも通り遥華様を起こそうとしただけで…」
「ほぅ…私が見た限りではお前がお嬢様に襲いかかってるように見えたのだが?」
千翼は床に拘束されたまま必死に自分の無実を伝えようとするのだがこの執事長はこの手の事で全く話を取りいってくれない
…決して自身がなるはずだった遥華の専属従者の座を千翼に取られた恨みから来ているわけではないのだ
「ち、ちがいますよ!わ、私が襲われていただけで……」
「お嬢様が貴様のような虫けらを襲うわけがないだろう!!貴様…崇道家の従者でありながら主君に罪を着せようとするとは言語道だ…」
本当に部下に対して発する言葉ではないよなぁと内心思っていた所でいきなり拷問執事長の動きが止まったと思ったら遥華が千翼の首根っこ掴んでいた手を掴んでいた
「お嬢様。危ないです故お下がり下さいませ。」
「…下がるのはあなたの方よ?じいや。ち〜ちゃんが苦しそうにしてるじゃない…」
普段のほんわかした優しい声とは対照的に今の遥華の声には氷が突き刺さるような鋭さを感じさせた
目元にも何処となく光が消えているようにも見える
「しかしお嬢様!!この男はお嬢様の専属従者という立場を利用してお嬢様に不埒な行為を……」
「…今後は私が許可するまでじいやは私とち〜ちゃんから10m以内の接近禁止を命じます」
「そ、そんなぁ…!?」
「…いいですね?」
「…………はぃ。」
千翼を床から解放して遥華に弁明しようとするのだが遥華は一向に許す気配はないようで執事長に死刑宣告を通告する
食い下がろうとするが赦しを得られず執事長は渋々了承し、寝室から出ていった
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