ラストメッセージ【オチまで1分】
「なんだ、この小説。こんな当たり前のことを書いて、何が面白いんだ?」
僕はネットから500年前のSF小説とやらを読んでいた。後頭部に接続された神経接続コネクタを外すと、空中に表示されているように見えていた画面が消えた。
「今じゃ全神経を接続できるフルダイブデバイスなんかありふれてるし、銀河の端から端まで5分で行けるっていうのに。こんなんなら僕だって書ける」
椅子から足をぶらぶらさせる。
「あ、いいこと思いついた」
僕はぱあっと顔を明るくすると、椅子から降りて、隣の部屋にあるカプセルの扉に手をかざした。自然と扉は開き、中に入る。
「500年前へお願い」と僕は呟いた。
かしこまりました、と人間そっくりの機械音声が流れる。
そう。500年前に戻って、今の現状を書くだけで、立派なSF作品ができあがる。簡単なことじゃないか。僕はカプセルが甲高い駆動音を立てるのを、じっと目をつむって聞き続けた。
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