淡い期待【オチまで2分】

「タイムカプセルからチューブに入った食べ物が発見されました」

 茶色い隊服に身を包んだ発掘隊員トゥースは、汗と泥に塗れた隊長タングに報告した。


「なんだと!? それは良い発見だ! タイムカプセルは何年式だ?」


「2080年式です!」


「なら、鮮度の劣化にも気を配る必要はなさそうだな! 何が見つかった?」

 タングが嬉しそうに訊ねると、トゥースはリュックをがさごそと漁った。


「これです。何やら棒につけて口に入れる絵が書かれているので、当時流行っていた食べ物なのではないか私は踏んでおります!」


「おお、これは楽しみだ。分析に回すのは当然として、ここで少し食べてみることにするか」

 タングはチューブから緑色の粘度のある中身を絞り出して、人差し指に乗せた。おそるおそる舌を出し、ぺろり、と舐めた。


「これは!」


「隊長! 私にも!」


「おお、すまんな。ほれ。食べてみるといい」


「ありがとうございます。あ、これは美味しいですね! 何か似たようなものを最近食べたような気がします」


「うーん、そうだ! これはチョコミントの味に類似している。私はあの味のアイスが大好きなんだ!」

 タングは喜んで、トゥースに他にチューブがないか訊ねた。


「ありました。これです!」

 トゥースが差し出したチューブを絞り出すと、中から白・赤・青の3色の中身が出てきた。先程とほとんど似たような粘度の物体だった。

「タング隊長、これはどんな味がするんですかね」


「さっきのは緑でチョコミントの味だったからな。白がバニラ、赤はいちごってとこだろう。青は……」


「ブルーハワイですよ、隊長!」

 トゥースの期待に溢れる眼差しを見て、タングは大喜びで、ふたり一緒にチューブの中身を出した人差し指をぱくりと口に入れた。

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