パブロフの犬【オチまで2分】
パブロフは広葉樹が人口栽培される広い公園で愛犬ワイルとフリスビーで遊んでいた。何度も投げては、ワイルが口でフリスビーをキャッチして嬉しそうにパブロフに持って帰ってきた。
何度目になるだろう。パブロフは思い切りフリスビーを投げた。しかし、パブロフは力加減を間違い、フリスビーは犬の待機する地点から大きく右に逸れてしまった。
広葉樹の陰から黒いスーツを来た男性が歩いてきた。
フリスビーは彼の方向へ飛んでいる。ワイルも外れた場所に投げたことを理解したのか、ゆっくりとフリスビーを追って歩いた。
「すみませーん!」とパブロフは注意を呼びかけた。
男性はフリスビーに気付き、なぜか体を深く前に曲げた。フリスビーは高く上がっていて、彼にぶつかるような距離ではなかった。パブロフはスーツの男の挙動を不審に思いながら、落ちたフリスビーへと辿り着いた愛犬の元に駆け寄った。
パブロフはワイルにリードをつけると、今度はスーツの男の元へと駆け寄った。近くで見るとスーツは高級な生地で仕立ててあった。
「あのフリスビー、ぶつかりそうに見えましたか?」とパブロフは訊いた。
「なんのことかな?」
男性は膝を曲げてパブロフに目線を合わせる。
「さっき僕が投げ損なったフリスビーです。避けていましたよね」
「いやいや、避けていないよ」
「避けてないのに、なんで頭を下げたんですか?」
「あれはつい、お辞儀をしてしまったんだ」とスーツの男は笑った。
「フリスビーについお辞儀をすることなんてないでしょ?」
パブロフは冗談をいわれているのかと怪訝な顔でスーツの男を伺ったが、彼は真剣な表情で首を横に振った。
「僕は宇宙外交官をやっているんだ。UFOに乗る地球外生命体と交流を持つことが多くてね。だから職業柄、円盤を見るとお辞儀をするようになってしまったんだよ」
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