第10話 浪漫飛行。

話は少しそれるけれど、僕の父さんは米米クラブっていうグループが大好きで、家族でドライブに行く時はいつも米米クラブのベストアルバムが車でかかる。その中でも僕は『浪漫飛行』という歌が気に入っていて、その曲がかかるとつい一緒に口ずさんでしまう。アミトラと一緒にいる時は、いつもこの曲が頭の中でバックグランドミュージックでかかっていた。特にイントロのキャッチーなシンセサイザーっぽい所。アミトラのキラキラした笑顔を見ていると、イントロが流れ出す感じ。わかるかなぁ?

話を戻そう。僕らはロデオ大会の一日がそういうわけでイベント満載というか、中途半端に色んな謎を残したまま終わってしまった事に微妙な不満足感を覚えていた。けれど、タコス早食い競争の後、ドクロ団に襲われることもなく、無事に皆でゲストハウスに戻った。テリーマンが熊男と暫く話をしているのがステージの上からも見えた。氷水をお代わりしながら、僕は喧嘩になったりしないのかハラハラしながら見ていたんだけど、テリーマンはにこやかに熊男に手を振ると、ステージ脇に戻ってきた。夜は皆一日の疲れから早々と就寝。二郎は肩の荷が下りたからこれでぐっすり眠れるよと、一番乗りでシャワーを浴びてベッドに入った。

「明日、アミトラの村に行くってさ。」

ジョーがベッドカバーをめくりながら言った。

「そっか。色々わかると良いね。アミトラの育ったところが見られるなんてちょっと楽しみだね。でも、父親がいるって事は、養子にはならないのかな?」

僕がレモネードをすすりながら言うと、ジョーは布団に潜り込んで、ため息をつくみたいに言った。

「さあな。おやすみ。」

翌朝、昼前にはアミトラの村についた。テリーマンが孤児院で用事をしている間、僕らは馬に乗ってリザベーションの中をアミトラが案内してくれる事になった。アミトラは知り合いの馬を貸してもらい、二郎と姫がデイジーに乗り、僕はジョーとテリーマンの馬に乗った。僕は、もっとちゃんとした町みたいになっているのかと思ったら、ちらほらと木造の小さな小屋があちらこちらにある以外は、赤土の荒野が広がっているだけだった。アミトラは気持ちよさそうに馬を走らせて小高い丘に登った。雲ひとつない青空の下に、また初めてみる景色が広がっていた。どこまでも続く赤い荒野の向こう側に、そそり立つ赤い岸壁が巨大なレゴブロックのようにあちこちに立っているのが見える。乾いた熱い風が馬のたてがみをなびかせ、僕達の頬を打つ。

「ねえ、カメラ持ってきたから写真撮ろうよ。旅の思い出に。」

姫が首から下げたデジタルカメラを揺らして言った。それを見てアミトラはニッコリとすると、

「トント!」

と言って自分の馬の背中をポンポンと叩いた。

「一緒に撮りたいってよ、行って来いよ。」

ジョーがニヤニヤしながら言った。僕はジョーの馬からずり落ちると、アミトラに引っ張られて彼女の焦げ茶色の馬によじ登った。今日アミトラは、初めて出会った時に着ていたナバホ族の民族衣装をまとっている。当たり前だけどすごく似合っていて、洋服を着ている時よりも、心なしかキリッと強い女の子に見えた。アミトラは僕を馬に跨らせて手綱を握らせると、僕の膝に横坐りするようにして、僕の右手を彼女の背中に回し、頭を僕の胸にもたれ掛けた。そして遠くを見るように、と僕の顎を指でつつき顔を上げるように指示した。

「あー、それ良いポーズだね。」

二郎が馬にまたがったまま腕組みをして満足気に笑った。

「私達も次、あれやって。」

姫がカメラを構えながら二郎に注文した。するとジョーは、

「俺だけお姫様がいない記念写真って、どういうことだよ。」

と言って口をへの字に曲げた。この時、当然僕の頭の中には、浪漫飛行のサビが繰り返しモードで流れていた。結局この後、アミトラは暫くの間、元の孤児院で暮らす事になった。テリーマンとジャッキーさんは、アミトラの養子縁組を申請したので、いろんな手続きがあるらしい。役所の人間が家の住環境をチェックしに来たりもするので、最低でも二ヶ月はかかるという事だった。僕らは、あと数日で日本に帰国しなければならないので、アミトラとはここでお別れだった。孤児院の前で、アミトラは僕達一人一人としっかりとハグをした。僕はアミトラをぎゅっと抱きしめた後、身振り手振りを交えながら言った。

「アイ ウィル ライト ア レター。フロム、ジャパン。」

するとアミトラは嬉しそうに何度も頷いて、羽と動物の牙で飾られた色とりどりのビーズ編みの首飾りを外すと、僕の首にかけた。

「アミトラ、ウィズ ユー。」

そして僕の心臓の所をトントントン、と人差し指で三回小突いて微笑んだ。


帰りの車内は、乗客が一人減って、ちょっと寂しかった。前の真ん中の座席はカップホルダーに戻り、もちろん姫は後部座席の真ん中に座って二郎の隣で始終ご機嫌だった。僕は、相変わらず高い木が無くて視界の七割が空という景色をひたすらボンヤリ眺め続けた。どこに出掛けても、帰り道の方が断然短く感じるのはなぜなんだろう。レッド・クリーク・ランチに戻ると、家庭の優しい匂いがしてすごくホッとした。夕食を囲みながら、この五日間で何があったのかをジャッキーさんと息子達に話をした。それで、テリーマンが熊男とロデオ会場で何を話していたのか、孤児院でどんな話を聞いたのかっていうのを詳しく説明してくれた。僕はいつものように二郎に通訳してもらった。


 アミトラの父親だというあの熊男は、実は族長の息子で名を馳せた勇敢な戦士だったらしい。けれど、人種差別による仕事の無さから落胆して、ギャンブルと酒に溺れた。母親はアミトラが赤ん坊の時に病気で亡くなり、その後すぐに熊男は麻薬組織のギャングに引き込まれた。首にドクロの刺青が入っているのがそのマークで、彼らはカジノや人身売買組織にこき使われるばかり。熊男の姉がアミトラを引き取って育てていたのだけれど、たまたま観光で訪れていたフランス人の富豪に見初められて、アミトラを孤児院に置き去りにして消えてしまった。それを知った熊男は娘を引き取りに行こうとしたけれど、関わった麻薬売買で警察に捕まり、アルコール依存症から更生施設に送られてしまった。そこから出てきた時には、孤児院から娘の姿は消えていた。その孤児院は裏で人身売買も行っていて、アミトラは族長の孫娘、つまりお姫様という事でとても高値で売られたらしい。熊男はそれを聞いてその時の孤児院の責任者を病院送りにしたものだから、また暫く施設に監禁された。その後、ドクロ団の仲間と人身売買のコネを逆に利用して、同じような娘達が売られて行方不明になっているのを救助する活動を始めた。ロデオなど大きなイベント会場で、なんて事も無く子供達が大人から大人の手に渡されて売り買いされる事も多かった。そこで僕らとばったり出会ったあの日も、ロデオの主催者と協力して、ドクロ団の連中は公共の場で堂々と行われている人身売買を阻止しようとパトロールしていたそうだ。一方アミトラの方は、叔母さんから自分の父親はとても悪い人間で、決して彼に捕まってはいけないと教えられていた。首にドクロのマークがある連中を見たらすぐに逃げるように、そう仕込まれていた。ロープで繋がれていたアミトラと僕はとても目立っていたようで、すぐにドクロ団の目に止まった。熊男はメリーゴーランドの前でアミトラを見つけて、すぐにでも連れて帰りたかったけれど、誰か大人と来ているに違いないと思い、目立つようにステージに置き去りにしたそうだ。お父さんが助けに来たから、安心しなさい、このステージにいるように。そうアミトラに伝えたそうだ。けれど、自分はギャングに関わり過ぎていて、アミトラには安全な家に引き取られて欲しいと願っていた。そこでテリーマンと直接話をして、ぜひ養子縁組をするということになった。準備が進む間、アミトラは孤児院に見張りつきで預けられ、熊男本人が立ち会ってテリーマンが迎えに行く段取りになっているという事だ。


その日は、夕食の後から明け方まで激しい雷雨だった。僕は雷と雨音がうるさかったのと、夕飯のフライドチキンが油っこくて胃が持たれていたのでなかなか寝付けなかった。一人で電気は消したままキッチンの椅子に座って、ボンヤリと窓に伝う大きな雨粒と遠い空に瞬く稲光を眺めた。目を閉じると屋根に激しく当たる水音が建物全体を包み込むようで不思議と心地よい。まだ右手にアミトラの華奢な手の感触が残っているような気がする。僕は稲妻に照らされて時々青白く光る掌を見つめた。


そのままキッチンテーブルに突っ伏して眠ってしまった僕は、翌朝ジョーの口笛とバスルームのシャワーの音で目が覚めた。

「ここで寝てたのか?」

ジョーはオレンジジュースをコップに注ぐと、僕の前に置いた。

「あ、ありがとう。うん、なんか寝られなくて、嵐を見ているうちに寝ちゃったみたい。」

「翔くん、おはよう。凄かったね、昨日の嵐!」

二郎が髪の毛をタオルで拭きながらキッチンに入ってきた。

「今日は、レッド・クリークが流れていると思うよ。後で馬に乗って見に行ってみようか?すごいぞ、真っ赤な濁流。ケイ、お前の叔父さんが迎えに来るの、明後日だっけ?」

ジョーはグラスにオレンジジュースを注ぐと二郎に手渡した。

「ありがとう。僕、喉がカラカラ。そうだよ。僕と翔君をピックアップして、翔君をダラス空港に送ってから、僕らはオクラホマに向かう予定。」

「あっという間の二週間半だったね。色々あって楽しかったなあ。」

僕はビーフジャーキーを噛み締めながら、相変わらずアミトラの事を考えていた。

「トント、担任に提出用の夏休みクラブ活動記を忘れないうちに書いておけよ。クラブリーダーのお前の役目だからな。」

ジョーがボンヤリしている僕の顔を覗き込んで言った。

「翔君は作文が得意だから簡単だよね。」

「うーん、そうだね。どこに行き、何をしました、って事を簡単にまとめて提出するよ。」

担任の先生の顔を思い浮かべると、僕は突然現実に引き戻された気がした。

「よし、行くか。トント、お前、俺とケイのどっちの馬に乗る?」

「姫も行くんじゃないの?そうしたら僕に選択権は無いと思うけど?」

僕がそう言うと、ジョーはお腹を抱えて大声で笑った。

「そうだった、そうだった。」

二郎は相変わらず頬を赤らめると、両手を耳に当てて聞こえないふりをしながらキッチンから出て行った。


「この次にアメリカに来る前までには、馬に乗れるようにしたいな、トント。」

ジョーは僕が怖がらないように馬をゆっくり歩かせながら言った。今日は空に低く雲が広がっていて、直射日光に焼かれる灼熱感が無くて心地よい。僕らは馬小屋の裏手から、半分枯れたような色の草原にある細い乗馬用トレイルを小高い丘に向かって進んでいる。相変わらずあたりには空、赤い大地、岩、そして少しの草だけが広がっている。前方では二郎が姫を自分の前に乗せて馬を走らせている。小さな障害物を避けるために馬を少しだけジャンプさせる度に、姫が嬉しそうな悲鳴をあげている。確かにあんな風に馬に乗れたらかっこいいけど、あれは五歳からの本格的なトレーニングの賜物だ。僕はジョーの言葉に、そうだねえ、と曖昧な返事をした。レッド・クリークは、アミトラを見つけた池のすぐそばを流れていた。昨夜から明け方にかけて八時間程降り続けた大雨は、赤土を削り崩し、幅も深さも三メートルくらいの崖のような溝を轟々と流れている。琥珀色の水が右に左にうねりながら、岸にぶつかる度に高く水飛沫をあげている。川に近づくと、泥臭さと砂埃のザラザラした感触に混じって、ムッと濃い雨水の匂いがした。濁流がうねる度に、もろい赤土の岸辺をえぐり、さらに赤くなってゆく。足を滑らせて落ちたら、あっという間に流されて溺れそうだなと僕は思った。


11. 冒険クラブ後日談


ギラギラと照りつける太陽が川の水に反射して眩しく輝いている。僕は大きな浮き輪に乗って、多摩川をゆっくりと流れている。今日は気温が40度近くて、湿気も高いけれど、川の生ぬるい水に足を浸しながらボンヤリと流れて行くのは悪くない。河原からはバーベキューの焦げた炭の香りと、子供達が水際を走ってはしゃぐ水しぶきが聞こえてくる。なんて平和なんだろう。河原の向こう岸では、鬱蒼と濃緑に茂る木々に蔦が重たくのし掛かって、セミ達が忙しく騒いで夏を満喫している。僕は遠くから誰かに呼ばれた気がして、慌てて起き上がろうとしてバランスを崩し、ちょうど水深が深いところでひっくり返り、頭までザブンと水に入った。水中で目を開けると、澄んだ流れに小魚達が僕の脇をそよそよと涼しげに徒党を組んで通り過ぎた。日にジリジリと焼かれた頬に、冷たい水が少しだけチクチクと沁みて気持ちが良い。水から上がると、ムッとした湿気を含んだ重たい熱が僕の体を包みこむ。生きている、という実感が湧く。僕は頭を左右に振り、前髪から滴る水を振り飛ばすと、河原の熱い石の上をピョンピョンと飛ぶようにして歩いて川上に戻った。

「ああ、良かった翔君。なかなか帰ってこないからどこまで流れて行っちゃったのかと思ったよ。ほら、喉乾いたでしょ。」

二郎がアイスボックスからポカリスエットのボトルを出すと、僕に手渡した。

「ありがとう。橋の手前で戻ろうかと思ったんだけど、ボヤボヤしていたらあっという間に橋をくぐって、その向こうにちょっとした段差があってさ。そこでひっくり返ってた。魚が沢山泳いでいたよ。」

「魚なら、こっちに大きいやつが沢山いるぞー。」

僕たちから五メートル程離れた上流で、ジョーは釣りをしている。すでに十匹も体長約二十センチの鮎を釣り上げている。僕は川の中をザブザブと歩いて渡り、ジョーが座っている中洲の岩に腰掛けた。

「釣り上手だね。これ、家でお母さんに料理してもらうの?」

「今日は俺たちだけで自転車で来たからバーベキューのセットを持ってこれなかっただろ。その代わりに魚用のアイスボックスを持ってきたから、帰りがけにケイの家で料理してもらって、みんなで食べようって事にした。俺のママは魚とか苦手でね。とても家で料理してくれなんて頼めない。翔だって来るだろ?夏期講習も今週は休みだしな。」

「そっか、じゃあ一度家に帰って着替えたら、二郎の家に行くよ。すぐ近くだし。母さんにも夕飯いらないって言わないといけないし。」

僕は岩から立ち上がると、浅瀬を渡って二郎のいる中洲に戻る事にした。くるぶしの上程の浅い水深なのに、流れがとても早くて足が取られそうになる。ヌルヌルした苔が生い茂っている箇所を誤って踏んでしまい、僕は滑ってザブンと尻餅をついた。

「ドジだなー、トント。大丈夫か?」

横目で僕を見ながらジョーが肩をすくめて苦笑いしている。僕はそのまま浅瀬に寝転んだ。頭のてっぺんからザブザブ水が流れて、腕も足もリズム良く落ちてくる冷えた流水に打たれて気持ちがいい。直射日光が眩しくて僕は目を閉じた。瞼を閉じていても、巨大な光の存在を皮膚で感じる。

「ねえ翔君、僕いくつか紙の船のプロトタイプを作ったんだけど、競争させてみない?」

ふと光が遮られたので目を開けると、二郎がテカテカした紙で作った船を両手に持って僕の顔を覗き込んでいる。

「いいよ、面白そうだね。」

僕が起き上がると、二郎は僕の横に座って手に持った二艘の船の説明を始めた。

「こっちはヨット、大きな帆がついているだろ。スピードが早く出るようなボディの形にはしていないんだけど、風向き次第ではかなりイケるはず。こっちはスピードボート、スレンダーなボディにプロペラをつけて、水の流れを有効活用できるようにしてみた。」

「紙飛行機の次は、船?っていうか、紙なら水にすぐ沈んじゃうんじゃ無いの?」

僕はヨットの方を選んだ。のんびり風まかせっていうのが気に入ったからだ。

「うーん、ほら家にあった紙飛行機の本、もう全部試してみたから。今度は船の研究もしてみたいな、って。あ、蝋が塗ってある特別な紙で作ったんだ。お風呂で何回も試したけど、そう簡単には沈まないよ。よし、じゃあジョーのいるところから流して、先に橋についた方が勝ちだよ。」

ジョーがおざなりに

「よーい、ドン。」

と言って、僕らは船から手を離した。最初の難関は、浅瀬の下り坂。時々大きめの石が水面から飛び出していて、それにぶつかったら座礁する恐れがある。僕らは川の中をザブザブと走って船を追いかけた。

「また転ぶなよー。」

ジョーがまた一匹魚を釣り上げると笑って言った。次の難関は、突然水深が深くなる大きな段差。小さな滝から落ちた瞬間に流水に巻き込まれて沈没してしまうかもしれない。水が渦を巻いているところで二艘の船はお互いにぶつかり合って傾いたけれど、そこも突破した。僕と二郎は泳いで追いかけた。今度は川幅が急に広くなって、流れが緩やかになる。次の難関は小さい子供達。浅瀬のあまり流れが無いところで、みんな座り込んで、バケツや網を片手に遊んでいる。二センチ程の小魚が沢山泳いでいて、皆それをすくい取っているのだ。ここでもし蹴られたり、踏まれたりしたらおしまいだ。僕らの船は、左右に大きく離れてスピードを緩めた。僕のヨットは対岸の森の方へふらふらと進み、大きな岩の岸壁を這うようにくるくると回転しながらなんとか進んでいる。一方、二郎のスピードボートは子供達のバケツの横をスイスイと通り過ぎて、あっという間に橋のたもとに到着した。

「やった!僕の勝ちだ!」

二郎が満面の笑みを浮かべてガッツポーズをした。僕は岩に引っかかって止まってしまったヨットを拾うと、二郎に返した。

「結構いけるね。」

と僕が言うと、二郎はヨットを太陽にかざしてジロジロと眺めた。

「この帆の角度が良くなかったのかな。さっき岩場でクルクル回ってしまっただろ?改善の余地があるなあ。」

その時、遠くに見えていた積乱雲から地響きのような低い唸り声がした。

「お、これは降るね。」

僕は空を見上げた。

「そうだね、さっきまで遠くにあった入道雲がずっと近づいてきているし、凄い嫌な灰色になってる。危ないからさっさと帰ろう。」

僕らが河原を荷物の置いてある川上に向かって歩いていると、ジョーが荷物を全部まとめて持ってきてくれた。

「聞いたか、今の雷。凄い降るぞ、夕立の前に家につこう。」

僕らはそれぞれ自転車にまたがり、全速力で降り始めた夕立から逃げるように帰路に着いた。

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