第4話

 私がいる場所は、思った通り魔王城に違いなく、今は魔物たちの唯一の避難場所になっているのだとか。

 広い場内の地下では、次々と非難してくる魔物の為の部屋作りのために連日増築工事がされているそうな。

 それって城の下を掘ってる訳だから、強度的な問題はないのだろうか?とか思ってもここは所詮魔法の概念がある異世界。

 強力な土魔法さえあれば地下の1層や2層などお手の物……けど、今は魔王が不在であるために魔物全体の力が衰退しているようで、元は魔王の四天王でさえ土魔法を1発撃つので精一杯なのだとか。

 どれだけ弱体してんの!?

 で、それを思えば火炎放射器程度の火力を出せる私は、魔王軍の中の誰よりも魔力が強いという事にはなる。

 で、ワイバーンが言うには勇者は魔王城のすぐ近くに陣取って居座っていて、魔王城に避難してくる魔物を捉え、更には魔王城から出てくる魔物も捉えてしまうのだと。

 若い男の魔物なら力仕事の為の労働力に、女なら新しい魔物を産み落とさないため食料に、子供なら一部のコレクターに性器を切り落とした状態で売られる……。

 人間非道過ぎだし!

 それで良く分かった……私がここに来た時の「女か」の言葉と、分厚めのローブの意味。

 でもさ、魔王城の中にいれば安全ってのが良く分からない。

 「あ、あの。勇者は魔王城の中には、入ってこないんですか?」

 結構な時間をワイバーンと共に過ごしながら、魔物が置かれている状況の説明を受けたおかげで、私は少しだけワイバーンに慣れた。気がする。

 普通に話せるようになったんだから、恐怖心は薄れたかな。

 「魔王様が最後の力を振り絞り、魔王城に結界をはられたのだ。そのため、勇者は入って来る事ができない」

 あぁ、なるほど。

 それは確かに魔物唯一の避難場所になるわね。

 とは言っても魔王は故人……故魔物?だから、結界の力ってもなんか弱くなってくる可能性が高いと思う。でもなぁ、ここまで非道になった人間相手に話しが通じるとも思えないし、だからって人間と戦うってもそんな力を持った魔物はいないんだろうし……。

 「私は、何をすればいいですか?」

 魔王の城に呼び出されたんだ、もし人間に捕まれば私だってタダでは済まされないだろう。だったら、デキる事はやってやろうじゃないの!きっと、それが元の世界に戻る第一歩になると思うから。

 「魔王様のご子息であるテア様が、我ら唯一の希望なのだが……魔力の弱まった我らでは近付く事も出来ない。救世主アカネにはテア様の事を頼みたい」

 あ、なんだちゃんと魔王の後継者はいたのね。

 結界をかけ直せるくらいまで成長すれば、少なくとも魔王城の安全は保たれる。

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