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 バスに揺られながら、うとうとしている彼を肩でうっすらと感じる。窓の外は黄色いイチョウの葉がハラハラと落ち、道路の隅に溜まっていた。


「今日、楽しかったね。」


「うん、楽しかった。」


「少し寒かったけど、また行こうね。」


 そう言うと彼はまた肩にもたれかかり、目を瞑った。長いまつ毛に、すっと通った鼻筋。口元にあるホクロが可愛い。相変わらず整ってるなぁ、なんて思いながらまた外を見る。段々と、だいだい色の日が沈もうとしている。これからもこんな優しい時間が続くといいのに。きっと、そんな簡単じゃないんだろうなぁ。


「帰ったら、久々にピザ頼もうよ。」


「病院の先生に怒られちゃわないかなぁ。」


 はっと振り返る彼の顔が少し、曇ったように見えたけど、気のせいだ。バスを降りるとき、彼は私の弱った手を握り支えてくれた。私のペースに合わせて、そっと優しく。


 余命半年。私は最期まで、あなたのそばにいたい。

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