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隣のクラスの女の子。運動神経が良くて、バレー部ではレギュラー。男女問わず、先輩とも後輩とも先生とも仲が良くてキラキラしてみえた。どうにか彼女と仲良くなりたくて、割にも合わず声を掛けた。すると、彼女は気さくに話してくれて、すぐに連絡先を交換した。あんな彼女だが、実はゲームが大好きで、熱く語り出した時は、彼女の秘密を独り占めしてるみたいで凄く嬉しかった。
中学を卒業して、高校を卒業して、大学を卒業して、別々の道に進んでも彼女は連絡をくれた。沢山喧嘩もして、その分仲直りをした。飲みに行って愚痴言い合ったり、休みの日に映画見に行ったり。何かあったらすぐに相談しあった。
社会人4年目の春、久々に彼女の家で買ってきたハンバーガーやらポテトやらを食べながらのんびり再放送のドラマを観ていた。カーテンの隙間から日光が差し込み、彼女の横顔を優しく照らす。何だかいつにも増して、彼女が、綺麗だ。
「あのさぁ、うち結婚することになったんだよね。」
「えぇ、まじ!やったじゃん、おめでとう。」
「絶対結婚式呼ぶからさ、親友枠で祝辞、頼んでもいい?」
「当たり前よ。任せて!」
──いつかこの時が来ると、分かってた。分かってたのに。帰り道、涙が溢れて止まらなかった。ずっと好きだった。初恋だった。親友じゃなくて恋人として、そしていつか家族としてそばにいたかった。もし、あの時好きだと言っていたら違ったのか。もし、私が男だったら何か違ってたのか。いや、きっと私が臆病だから、親友としてそばに居ることしか出来なかったんだ。
またいつか生まれ変わったら、違う形で彼女と巡り会うことが出来るだろうか。愛し合えるだろうか。そんな想いを巡らせ、今日も眠りにつく。
彼女は明日、結婚式を迎える。
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