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 君はいつも体を重ねるとき、目をつぶる。絶対に僕を見ることはないのは、別れた彼を思い浮かべるから。そうでしょ?


 彼氏と別れる度に、僕を呼ぶ。決まって今日は何してるの、ってね。君のことが心配で仕方ない僕は大抵の用事をドタキャンして、君の家に向かうんだ。今日はどんな匂いがするんだろうって思いながら。


 ドアを開けると、君は真っ赤に目を腫らして僕に抱きつく。それと一緒にタバコの煙たい匂いがふわっと漂う。本当は、もう何回目だよって言ってやりたいのに。さっさと僕にしなよって言いたいのに。そう思いながら、今日も君をぎゅっと抱きしめる。拭っても拭っても、大きな雫が君の頬をつたって、そのまま僕のシャツに染みついた。


 僕からは君が好きなタバコの匂いはしないかもしれない。僕は君が好きな男みたいに、イケてる男じゃ無いかもしれない。


 でも、僕なら絶対君を泣かせたりしないよ。ずっと君を大事にするよ。笑わせてみせるよ。だからさ、ねぇ、もう僕にしなよ。

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