第二章 独占大陸と外大陸

第146話 時は経ち

 俺がこの世界に行き来するようになって、すでに4年が経過した。

 俺も瑞希も24歳になった。


 俺の寿命はグランドヒューマン化とハーフエルフって事もあり約5千年はあると思う。瑞希は普通の人間だけどそれでも約500年は生きるだろう。

 そう考えると、たったの24年しかまだ生きていない。

 これからの人生は長い。


 そして、たった4年で俺は半ニートゲーマーから、この世界のハイエルフの王族だという事も分かり、フェリオール国王アルメデオ王の娘、エルティア姫と結婚してフェリオール王国の王族にもなった。もう一人の妻、瑞希は側室扱いだが一応王族って事だ。


 そして俺のクラン「ディファレントアース」は、フェリオール王国領、ホルン町近郊に大きな領地を持っていて、俺のクランの活躍のお陰でフェリオール王国は、エイナムル王国人口を超えて第一位の近代国家となった。


 クランの領地も最初は、東京ディズニーランドくらいの大きさだったが、アルメデオ王が次期国王の息子のためにと更に領地を与えてくれた。


 それにより、ディファレントアース領はその3倍に拡大した。

 ここには3000人以上のクランメンバーが住んでいる。

 更に、フェリオール王国を抜いた、オブリシア大陸に存在する7国全てにディファレントアース支部も設置されていて、各国の中規模の町までにもそれは及んでいる。


 それを含めると、クランメンバーは1万人はいるのではないだろうか?

 これでも厳選して入隊させてその数に留めている。


 その管理は冒険者はクラウス、マイティ、フェルナンドさん、カレンさん達。

 スイーツ、化粧品雑貨関連は、ミーナさん、シルビアさん。

 製造開発部門はイグルート、エグバート、オグートのドワーフ親子3人と変人エルフのジーウ。皆、幹部はグランドヒューマン化している。


 そして、この大陸で一番強い冒険者とされているのが、グランドヒューマン化している、マイティの弟マルク率いる元Bチームメンバーだ。Sランククランでその名前は「イクイノックス・D」だ。


 名前の由来は、地球の言葉で春分や秋分のような「昼夜の長さがほぼ等しくなる頃」と言う意味で、DはディファレントアースのDだ。

 マルクがクラン名を決めたらしいけど、何故そんな言葉を知っていたのかはよく分からない。


 それで…俺、伊勢新はと言うと…。


 これが中々忙しいのだ。勿論クランの事もそうだけど。

 王族としての責務や、エルと瑞希との営みや…。

 エルファシルで、エリクサーやスキルスクロールなどの作成など。

 いろいろ忙しくて冒険と呼べる物は最近は一切行ってない…。


 そうそう、昨年、二人妻の間に子供も一応出来た。

 エルとの子供は男の子だ。

 アルメデオ王が念願の王族の血が繋がった男子が生まれた事で凄く喜んでいた。

 自分の名前の一部と、

 名前をアルディアと勝手につけて呼んでいたんで、まあ、良いかとエルとも相談してその名前に決めた。


 で、瑞希との間に出来た子供は女の子だった。

 瑞希に似て活発過ぎる子だ…、将来が少し心配で仕方ない…。

 そして名前は瑞希が決めたんだけど…新と瑞希の希で、「新希にの」と決めた。

 安直すぎないか…?と言った覚えがある。

 ニノならこの世界でも普通に呼びやすいとかどうのと言っていた気がする。


 とりあえず、2人の妻に1人ずつ子供も出来たんだけど。

 夜の営みは週に2回ずつと決められていて…。

 こんな美人二人を娶って置いて、他の男から殺されそうだが意外としんどい…。

 何かの本で読んだ事あるけど、男性の営みの行為ってジョギングを20分くらいしたのと一緒くらいの運動量って書いてあった気がする。


 最近の俺と身内の近況はこんなとこで俺は忙しい毎日を過ごしている。


『アラタ殿。今大丈夫ですかな?』

『ん?イグ?、大丈夫だけど?』

『ちょいとクラン工房に来て貰えますかな?』

『分かった、今責務終わったとこだからすぐに行くよ』

『うむ』


 工房のイグルートからの念話だった。


 俺はすぐにゲート魔法で工房へ向かった。


「来ましたな。アラタ殿」

「ああ、エグバートさん、オグートさん」

「親父ならあっちじゃ」

「分かりました」


 2人にイグルートが作業している場所を聞いた新は、工房の奥に進んで行く。


「やあイグ。どうしたの?」

「最近、アラタ殿への報告が出来てなかったのもなんじゃが。この転送装置も後はレイアリグ大陸へ設置すれば、とりあえずはアラタ殿が交流を深めた町などには行けるようになると思うのじゃ」

「とうとう難関だった遠距離用の転送装置完成したんだね?」

「うむ。搭載する次元石に、ちと細工を施さねばブルースフィアの裏側への転送は流石に厳しかったわい」

「でも流石イグ達、ハイドワーフだね。それを完成させるなんて」

「ほっほっほ。褒めてくれるのなら地球産ウイスキーをたんまり貰えるかの?ほほほ」

「ああ、勿論ちゃんと工房にいるドワーフ全員に行き渡るくらい持ってきてあげるよ!」

「うむうむ!」


 古代ハイエルフの技術で造られていた転送装置の解析もこれで全て終わった。

 オブリシア大陸内だけの転送装置は次元石と言う鉱石にその土地の座標を記憶させて、ハイドワーフの技術を組み合わせて上手く人を転送出来た。


 その転送装置は、オブリシア大陸に8つある国へひとつずつ設置されている。

 そこは国が管理していて、個人情報は記録され相当な理由がないと使用できない。


 なので、大陸間移動の通常は、使い魔、巨鳥ラマ車、馬車、もしくは料金は高いがウチのクランが開発した魔導自動車だ。


 今回、開発が成功したのはレイアリグ大陸への転送装置だ。

 これはブルースフィアの反対側への転送となるため、小さな魔物で実験を重ねて来た。どうやって長距離を可能にしたのかは、イグ達しかよく分からない。


 そして、レイアリグ大陸のマージガル神国で運用されていた神帝専用の飛空艇、通称「ビーカル」や、宙を浮いて走るバイク「バイーダー」もイグ達によって解析が進められているが、そこまで急ぐ必要はないため、魔導自動車などの量産がメインで進められている。


 ≪おお?アラタ来とったのかの~お?≫

「あ、ランガルフさん。こんにちは」


 そこに来たのは、古代ハイエルフの意識だけの存在「ランガルフ」である。

 相変わらずジーウが造ったクマの機械「クーちゃん」にその意識を乗せていた。


「結局…その体に収まっているんですね?…」

 ≪これがの~お…他の大きな機械の体では意外と不便でな…。こっちの方が小回りも効くし、何と言っても下から女性を見る景色…いやいや、そうじゃなくて下から見るといろんな物に気付くもんなんじゃ~よ、もう愛着も沸いて来とるのでこのままで良いかと思うとるよ~お≫

「………そ、…そうですか…それは良かったですね」


 俺は少し苦笑いでそう言った。

 男と言うのは性欲を満たす体が無くても、そう思ってしまうのかな?と、ふと思ってしまった。


 ≪そうじゃ!何時になったら、敵国「ロジーラズ大陸」へ偵察に行ってくれるんじゃ?≫


 そう、リッチロードの案件が終わった後あたりに、微弱な電波をキャッチしたとランガルフさんは言っていた。それは古代ハイエルフ同士の戦いで、ランガルフさんのいたマージガル国があったレイアリグ大陸と、そのすぐ北の大陸ロジーラス大陸にある敵国「カースミドル帝国」から発せられているらしい。


 ランガルフさんは、両方の国が持てる技術を総投入して始まった戦争は、この世界からほとんどの生物を死滅させる結果で幕を閉じたのだと言っていたけど。


 魔素から生まれる魔物は良いとしても、亜人達は絶滅はせず、一からまた文化を創り出したようだ。マージガル国もマージガル神国と生まれ変わっているし、ひょっとしたらその敵国、カースミドル帝国って所にも生き残った人達が国を再建しているのかも知れない。


 ランガルフさんが懸念しているのは。

 生き残った亜人達が再建しているのならまだしも、古代ハイエルフの生き残りが大昔の遺恨を忘れずに、その血を繋いで世界征服を狙っているとしたら、また戦火は世界へ広がるのではないだろうかと思っているようだ。


 確かに、あのヴェルダシュラム公国の戦に使われたアーティファクト兵器みたいなのが、もし攻めて来たら飛んでもない事になりそうだ。

 いろいろと一段落したし。調査に行ってみるのも良いかも知れないと、俺は思った。


「そうですね、ランガルフさん。気になるし、近々行ってみましょうかね」

 ≪うむ!それには儂も同行するかの~お≫

「分かりました」



 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 後書き。

 ブルー・スフィア~地球異世界ハーフの異世界スローライフ放浪録~の第2章を書き始める事となりました。


 ただ、2作目リモデリング・ブレインも書かないといけませんので。

 交互に考えて書いて行きたい所です。

 問題はまだありまして、リアル仕事が忙しい事と、腰痛から神経痛になってしまい。

 長時間同じ姿勢になる事が出来ません…

 なので執筆が本当にゆっくりとなると思われます。


 それでも、2つの作品を頑張って書いて行きたいので。

 皆様の応援のほど宜しくお願い致します。


 作者:瑛輝


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