第56話 魔素とスーツ。
ジーウは、俺の工房の物が珍しくて、科学に興味があると言って俺の工房に居座って良いかと懇願してきた。
俺は、勿論、クラン加入を快く受け入れた。
そして、ジーウは俺達に魔素について語ってくれた。
この世界には、魔素がある。
この魔素のお陰でこの世界の亜人達は魔法が行使することが出来る、これは、地球人の瑞希達には備わっていないから、生まれついてその魔素を浴びていることで備わるのだろうと言っていた。
そして、それは便利なようで、そうでもない。
何故なら、魔物もその魔素の影響で生まれてくるからである。
魔素が濃いほど、魔物も強くなる。
つまり、魔素をコントロールすることが出来れば、魔法も魔物もコントロールすることが出来るのではないかと、ジーウは研究していたらしいが、勿論そう簡単に解明は出来ていないのが現状で。
しかし、魔素を多少操作する事で、魔物を寄せ付けないようにする魔道具や、魔力を供給する魔道具は開発出来ている。
俺は、ジーウにその魔力を供給する魔道具をクランの皆に作って貰うように頼んだ、これで、人魚族のクレンシアは、ずっと魔法で足や服を具現化する事も出来るようになるし、俺達も大きな魔力を使わない限りは、魔力の自然回復が出来るのだ、そして、その名をマナードバンドと銘々した。
しかし、その材料にマナイーターの器官が必要になるため、それを冒険者メンバーで一気に狩り集めたのだった。
◇
そして、とうとう、数日後マナードバギーは完成した。
イグの話だと、普通の人間の魔力で80キロまでは速度を出す事が可能だったと言っていた。
とりあえず、俺がこの世界に持って来たバギーは5台、そのうち3台をマナードバギーに改造した。残りの2台は万が一魔力が切れた状態を考えガソリン仕様のままにしておくつもりだった。
イグは、バギーの足回りに感心していて、車体に伝わる振動を吸収しているショックアブソーバーとタイヤに興味を持っていた。
この世界にはゴムがない、それを地球ではどうやって作っているのか聞かれた。
俺も、あれが木の樹脂で出来ていることくらいしか知らないので、今度、そのあたりの本も地球から持って来る事を約束したのだった。
ジーウからは、エンジンの仕組みに関する本を要望された。
そして、俺は瑞希とカレンさんを連れて、マナードバギーが完成するまでの、この数日の間で地球に行っていた。
店の仕入れは勿論するとして。
大きな本屋へ立ち寄って、小学生でもわかる科学の本や、自動車、ロボットなどに関する工学の本、それから、簡単な医学の本。
後は、パソコンや、カメラ、スピーカー、マイクなどの家電と、精巧なプラモデルや、おもちゃなども購入した。
カメラやマイクを何をするかって?
そりゃあ、ロボットが出来た時のための外側の視界と音声をどうにかするためだ。
俺はフェルナンドさんと、この世界でのパワードスーツについて語ったのだ。
地球にあるような、骨組み剥き出しのパワーサポート装置ではなく、アイアンマンのような、出来る限りフィットしたスーツを作りたいのだ。
イグルート達、ドワーフのスキルを使えば、金属も軽量かつ固くすることも可能だ。
しかし、イグルート曰く、金属をそのまま装着すると大きな衝撃を受けた時に、内部に逃げ場がないと、とんでもない事になり兼ねないと言った。
そこで、衝撃を吸収するクッションを入れて中身を守る仕組みが妥当だそうだ。
結局、フィットしたパワードスーツは現実的ではないので、そこで俺はあるゲームを思い出して、その画像で見せたら、これなら実現可能の上に理に適っているとイグもフェルナンドさんも頷いてくれた。
それは、大人の身体が機体に入るために身長は3~4メートル、勿論、腕や脚などを守るためのクッションと金属などで、それだけ太くなる。
そして、ここが大事な所なのだが、それは足の部分だ。
関節は、股関節、膝関節、足首関節ここまでは普通の人間としての必要な部分なんだけど、更に足のつま先部分の関節を作る、そこを大きく作り、逆、くの字のような足先になる。
そうすることで、動きやすく衝撃も吸収でき、安定して立てると言う、理に適った作りになるのだ。
まだ、設計図にもなってないパワードスーツだが、俺はワクワクしていた。
戦闘用ロボット!男の子のロマン!
俺が、そう思いに耽っていると、フェルナンドさんも同じような顔していた。
それから、カレンさんを地球に連れて行ったのは、勿論、銃器を仕入れるためだった。
フェルナンドさんの知人で、日本人の信用できる闇商、福田さんって方に会わされた。その日本人は、30代と若かった。人が良さそうな顔はしていたが目の奥に鋭さみたいなのがあったのは俺でもわかった。
カレンさんが、注文したのはいつもの銃器とは別に、センサーで誘導できる簡易型ミサイル、これは、目標物に照射したレーザーライトを感知して着弾するミサイルのようだった。
俺は、また物騒な物を仕入れたなと思って少し引いていたが、強力な魔物が出た時にはそれが役に立つことであろう。
そして、瑞希はと言うと母親への連絡と、久々に友達に会っていたと言っていた。
何にせよ、バギーも完成したし、次のステップはマナードスーツの開発に着手する事だった。
◇
次の日になり、ヘクトル王子からのお願いでアカツキ国へ付き合ってくれと言われた。勿論それは、俺のクランへの依頼であって報酬も出すと言った。
「ってことで宜しく頼むぜ!ははは」
「まあ、依頼じゃなくても付き合うけど」
ヘクトルはそう言って相変わらずのナルシストっぷりだった。
俺は勿論その依頼を受けた。
それは、アカツキ国は気になっているからだ。
400年前のスタンピードで活躍した英雄達が残って作り住んだ国。
Bチームの獣人剣士キリュウの故郷だが、あの腰の武器はどう見ても刀だった、それにヘクトルが言ったシノビとは忍者の事だろう。
それから、その英雄達を指揮していたのは、島津豊久だと言っていた。
ひょっとしたら、俺は、地球人が知らない歴史の1ページを見るのではないのかと思った。
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後書き。
今回は、少し短い回でした。
今回出て来た、マナードスーツと言うアイアンマンのような物ですが。
アンセムと言うゲームの、パワードスーツを参考にしています。
イメージがわかないと言う方はググって見ると、分かりやすいかと思います。
リアル仕事も忙しくなり、更新に時間が多少かかっておりますが‥
ファンの方達のために頑張って書きますのでこれからも宜しくお願いします。
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