第43話 再びボルボンダンジョンへ。

 テレパシースクロールのお陰でこれからは、離れていても主要の仲間とは連絡が取れるので、店も、工房もほっといていても安心して出かけられる。


 そこで俺達は、再びボルボンダンジョンへ来ていた。


 そして、俺はここまでの道中で皆のステータスを鑑定スキルで確認していたのだが。


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 名前:伊勢新イセ アラタ

 種族:ハーフエルフ

 性別:男

 年齢:20

 体力:98  ⇒122

 筋力:99  ⇒120

 魔力:890 ⇒999

 俊敏:101 ⇒118

 スキル:遠距離念話 翻訳 鑑定 魔法空間箱∞ 地球人効果 

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 名前:桐谷瑞希キリタニ ミズキ

 種族:人間

 性別:女

 年齢:20

 体力:104 ⇒126

 筋力:127 ⇒144

 魔力:0   ⇒33

 俊敏:128 ⇒141

 スキル:遠距離念話 地球人効果 翻訳

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 名前:レベッカ

 種族:人間

 性別:女

 年齢:17

 体力:19 ⇒31

 筋力:15 ⇒29

 魔力:23 ⇒46

 俊敏:16 ⇒28

 スキル:生命神の加護 遠距離念話

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 名前:マイティ・メイセント

 種族:人間

 性別:女

 年齢:19

 体力:23 ⇒42

 筋力:25 ⇒44

 魔力:18 ⇒28

 俊敏:24 ⇒41

 スキル:遠距離念話 剣技初級 

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 名前:クラウス・テオドロ

 種族:半獣人

 性別:男

 年齢:25

 体力:35 ⇒52

 筋力:30 ⇒49

 魔力:21 ⇒33  

 俊敏:41 ⇒60

 スキル:遠距離念話 鑑定 探知 索敵 格闘術初級

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 名前:マルク・メイセント

 種族:人間

 性別:男

 年齢:15

 体力:28

 筋力:33

 魔力:22

 俊敏:31

 スキル:遠距離念話

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 こうなっていた。

 鑑定スキルで、生物は参考までにしかならないらしいが。

 前回の鑑定より、あきらかに⇒の数値に変わっていた。


 多少は戦闘などの経験と訓練の賜物なのだろうが、大人の一般人1人分の能力上昇は、魔力の泉の仕業に違いない。古代人のアーティファクト恐るべしと言った所か。


 瑞希も普通に魔力が備わっているのが分かった。

 しかし、俺と瑞希はいいとして、他の4人はこの世界の一般人より倍、能力があるってことになる、マルクなんて少年なのに、大人顔負けの能力になっていた。

 俺はその事を一応皆には伝えた、そして、この能力上昇の事は他言無用とも言った。


 ま、誰かに鑑定とかされることはないと思うけど、一応、何か言われた時は努力の賜物です、で、問題ないだろう。


 ◇


 俺達は、ボルボン町に着いた。

 そして、先ず、ちっちゃい女将コリーの宿【うりぼう亭】へ向かった。


「あ!アラタ兄ちゃん達!」

 中央のダンジョンのある広場で、コリーは相変わらず、うりぼう亭の看板を持って立っていた。


「コリー元気してた?また泊まるから6人分宿お願いできるかい?」

「もっちろん!」


 コリーは、嬉しそうに俺達を案内する。


「ハンナさん、こんにちは」

「アラタ兄ちゃん達また来てくれた!」

「あら。アラタさん、嬉しいわ、ふふふ」

「また、2~3日厄介になります」

「どうぞどうぞ」


 俺達はとりあえず、ハンナさんに、前金で3日分の宿泊代を渡して宿を借りた。

 荷物は、俺のマジックボックスに全て収納してあるので、置いて行くものはないので、すぐにダンジョンへ向かう準備だけして、宿を後にした。



 そして、ダンジョン前の冒険者ギルド職員の前に着いて、クラン名とダンジョンに入るメンバーの名前を紙に書いた。


「ディファレント・アースさん達ね。一人だけDランクだが、まあクランなら問題ないだろう、じゃあ、頑張って一角千金狙って来てください。魔石、ドロップ品は是非、冒険者ギルドへ売ってくださいね。」


 そう、マルクは冒険者登録してまだ間もないが、ベンザさんに無理言ってDランクから登録させて貰ったのだ。そして、即席パーティでなければ、1人くらいランクがC以下でも問題はないとベンザさんは言ってたがその通りだった。



 ダンジョンに入る人の管理などは、冒険者ギルドがやっている、入場料1人銀貨5枚と、このダンジョン品の買取などで、ここの運営は成り立っているのだろう。


 後、この間来た時は気付かなかったけど、壁にこのダンジョンからドロップした高級装備の名前が書いてあった。


 魔剣アークジェイド‥魔鎧シールズ‥他にもいろいろと書かれていた。


「お前達も、このようなドロップ装備を見つけたら、報告してくれよ!でも、これは30階層以降の深層じゃないと出ないのも確認されているので、無理はするなよ」


 俺の掲示板への目線に気付いた、ギルド職員はそう言った。


 マルクをいきなり20階層後から、挑戦させるのは少し危険かも知れないと言う事で、皆の意見を聞いた所、1階層からまた行こうと言う事になった。

 俺は、装備、金塊や宝石がその分、手に入るからそれでも良いと思っていた。


 そして、俺達は、1階層へ降りて行った。


 相変わらず、1~7階層くらいまでは、Cランク冒険者の訓練場になっていた。

 魔物が魔素で生成されるたびに討伐されてしまうので、順番待ち状態だった。


「なんか‥よい訓練場ですね」

「うん、Cランクになったら、この町へ来て修行する人も多いらしいよ」


 マルクがきょろきょろと周りを見ながらそう言って、俺はそう答えた。


 それから、俺達は10階層の守護者、マーダーヘルハウンドをあっさり倒すことが出来たのだが、普通のヘルハウンドが数匹いたのだ。


「あれ?前来た時、ヘルハウンドなんていたっけ?」

「ああ、なんかダンジョンはボス部屋に入った人数に応じて雑魚魔物を増やしたりするって聞いた事がある」


 俺が首を傾げていると、クラウスがそう言った。

 あの時は、俺、クイン、瑞希、マイティ、レベッカしかいなかったわけだから、ボス本体だけだったのか?‥‥今回は、クラウスとマルクがいて7人になっているから雑魚を登場させて難易度を上げたってことか。


「でも、ダンジョンは、どっちが死んでも血肉を吸収出来るわけだから、いきなり強い魔物を置いておけばいいんじゃないのか?」

「ふむ、それでは、人間が入って来なくなるだろう?ダンジョンだってそこを調整しながら、人間を誘い込んでいるのだろうて、ふっふ」


 俺の問いに、クインはそう言って鼻を吹いていた。

 マーダー・ヘルハウンドのドロップ品は前と同じく、大きな魔石が1個、大きな牙2本、大きな1枚の皮、10階層への転送石1個が落ちていた。


 クラウスが、守護者の宝箱を調べて罠がない事を確認して箱を開けた。


 金塊5個、宝石(中)10個、魔石(中)10個は、前と一緒だったが、中の装備品は違う物が入っていた。


【ヘルハウンド小手】魔法防具ヘルハウンド革製:炎耐性、物理防御+10%

【革の胸当て】魔法防具ハードレザー製:敏捷1%上昇

【ミスリルショートソード】魔法武器ミスリル製:毒付与2%


「なんか、微妙なマジック品だな‥」

 クラウスが鑑定してそう言った。


「この物理防御10%ってのは?」

「ああ、多分、この小手の防御力に対しての上昇率だと思うが‥この炎耐性ってのはヘルハウンドの燃えにくい皮が材料だからだろうな」


 まあ、この小手の防御がどのくらいかわからないけど、1割丈夫ってことだろう。でも、普通のブルなどの革製品よりは軽くて丈夫そうだった。


 分配は、皆の意見を聞いて、ヘウハウンドの小手は新。

 敏捷の上がる革の胸当ては、クラウス。

 ミスリルショートソードは、マイティが使うと言って、持っていたミスリルシャムシールをクラウスに渡していた。


 クラウスは、マイティから受け取ったシャムシールを逆手で持ち、クルクルと回して使い勝手を確かめていた、元々持っていた短刀とシャムシールを両手で使うようだ。


 そして、俺達は更に下の階層へ進んで行く。


 11~20階層もなんなく守護者の部屋まで到達することが出来た。

 マルクも、魔力の泉で能力が上がっているのもあるのだが、船の上で幼少期から鍛えた足腰でここまで足を引っ張ることなく着いて来ていた。


 20階層の守護者は、【クイーン・アラクネ】

 俺達は、扉の前で準備をしていた。


「さて、ここはまた蜘蛛がうじゃうじゃ出て来るんだろうから、こいつの出番だな」


 新は、マジックボックスから、ぬっとミニガンを取り出した。

 1丁を地球人で力のある瑞希に渡して、もうひとつは俺が持った。

 レベッカにも自分を守るようにショットガンを渡してある。


 扉に入ると、すぐに、クイーン・アラクネの近くに雑魚アラクネがごっそりと沸いた。


「やっぱり、人数多くなるとこうなるのね‥」

 瑞希は、びっしりとそこにいる蜘蛛を気持ち悪がりながらそう言っていた。


 俺と瑞希は早速、ミニガンにスイッチを入れて、銃身が回りだす。


 キュルルルルウウウ‥‥


「いつでも良いわよ!掛かって来なさい!」

 瑞希がそう言った直後、夥しい蜘蛛達がこちらに走って来る。

 俺と、瑞希はミニガンのトリガーを引く。


 ズッダダダダダーーーーーーーダダーーーーー

 ズダダダーーーーーーーダダダーーーーーーー


 ピ!ピギィ!ピギャ!ピッ!


 二丁のミニガンが火を噴き、目の前にいた蜘蛛達はハチの巣になって、死んだアラクネから消滅していく。


 セットしてあった弾を全弾撃ち尽くした後には、ミニガンから出た薬莢と、アラクネのドロップ品が散らばっており、クイーンアラクネの胴体もハチの巣になって痙攣していた。


 最後にクインの斬撃で胸から下の頭の部分を切断し、消滅したのだった。


「アラタさん‥それ反則だよ‥僕の出番ないじゃん」

 マルクがそう言って呆れてた。


「マルク、ごめんごめん、先手必勝かなと思ってね」

「ま、良いじゃないか、これも俺達の力ってことでな!」


 クラウスはそう言って、宝箱を探りに行った。

 他は、雑魚とクイーンアラクネの残したドロップ品を集めていた。


 これも前と同じく、大きな魔石1個、魔石(中)数個、宝石(小)数十個、甲殻が大中小が数個、アラクネ糸が数個落ちていた。


 クラウスが宝箱の罠を解除し、中身を確認した。


 金塊20個、宝石(中)20個、魔石(中)20個、20階層への転移石1個。


【アラクネアーマー】魔法防具マジックアーマー:クイーンアラクネ甲殻製:物理ダメージ受け流し17%、自己修復


【アラクネローブ】魔法防具マジックアーマー:クイーンアラクネ糸繊維製:物理ダメージ受け流し15%、敏捷+3%


【ライトニング・アラクネボウ】魔法武器マジックウェポン:クイーンアラクネ甲殻製:ライトニング付与100%、貫通力+16%


「お、良い弓が入ってる。」

 クラウスは弓を手に取り皆に見せる。

 黒い長弓で、アラクネの素材で出来ていて、装飾が施され軽くよく撓る。


「かっこいい弓‥」

「これは、マルクだな。他に弓使う奴いないしな!良いだろアラタ?」

「うん、勿論」

「ほんとですか!やったー!」


 マルクを弓を持ち、矢を番えて引いてみた。

 すると、矢がバチバチと音がして少し光っていた。

「ライトニング付与ってそう言うことか。」

 新は、その矢を見ながらそう言った。


「凄い‥」

 マルクもそう言って感動していた。


 後は、この間でた鎧とローブだが、微妙に数値が違う。

 アラクネ鎧の方は瑞希に渡して、瑞希が装備していた軽鎧を俺が貰うとして。

 ローブは、ステータスの上がる方が良いものなので、レベッカは今着ている物と交換することにした。


「よし、今回はここまでで、明日、21階層へ行こうか」

「賛成」


 俺達は、地上へ帰還魔法陣に乗り帰還して、うりぼう亭へ向かったのだった。

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