第37話 古代の遺産。
俺は、クラウス達に銃の訓練を言いつけ、妹のヴィクトリアと母エウロラの仕事部屋へ入った。
「戻ったわね。じゃあ、始めましょうか」
エウロラは俺達が戻って早々、そう言い俺の前に、古い本をどさっと置いた。
「多分2日じゃ終わらないから、アラタにこれをあげるわ」
エウロラが俺に渡したのは、
「これは?」
「これはね、空間転移の魔法が書いてある巻物よ、行きたい場所を強くイメージして空間を飛び越える魔法なのよ」
「空間を飛び越える‥」
「移動できる距離は魔力の大きさに比例するわ、私くらいの魔力があれば、遠くまで転移出来るわ、貴方も、ハーフエルフなんだから、そこそこの距離は転移出来るはず、だから、みんなと帰った後でも、ここに来て勉強できるわね、うふふ」
え‥まじか‥
俺は、ここに通わないといけなくなるのかと、勉強嫌い病が発症しそうだった。
「この魔導筆、約束通り貴方にあげるわ。この魔導筆は、私達だけに反応するように私の髪の毛も媒体に使われているわ、これで、魔法の力を高める古代ルーン文字を書いて付与することにより、様々なことが出来るのよ」
「はあ…」
「あの、地球への魔法陣もこの筆とルーン文字で描かれているわ、例えばこれ」
エウロラは、小指に指輪をしていた。
「アラタ、私を鑑定して見なさい」
「鑑定?うん」
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名前:エウロラ・アスナール
年齢:&%
性別:%#
種族:$#
体力:&%$#
筋力:$%&#
魔力:#$%&
敏捷:&%$#
スキル:%&、$%、#&&%、#$%&
----------------------------------------------------------------------------------------------
「あれ?名前以外わからない‥」
「そう、これは私がステータスを見れない魔法を付与した、虚偽の指輪よ、こうやって物にもイメージした魔法を付与することも出来るの」
「へ~、それって凄く便利」
魔導筆は、二つの事が出来ると言った。
一つは、魔法紙に広げた時に開放される、魔法や、スキルのスクロールを作る事。
二つ目は、物に魔法を付与することが出来る事。
「ハイエルフのご先祖は、膨大な魔力を行使していたし、こういった魔導具なども開発していたの」
「あのさ、ハイエルフの遺伝子が凄いのはわかったけど、そもそも、その遺伝子って普通のエルフと何が違うの?」
新は、首を傾げてそう聞いた。
「私も大昔のことまでは知らないけど、古代人は人間だったって話で、人間は欲が深いから次から次にいろんな物を産みだしていったらしいの…それで、身体強化や、不死になるため等に遺伝子を操作することも出来たらしいのよ」
「へ~‥不死までね‥」
新は、腕を組んで頷きそう言った。
「その遺伝子操作されて、長所を伸ばしに伸ばすのに成功した遺伝子を持ったエルフをハイエルフと言った。と、ここにある文献には書いてあるわね」
なるほど‥
ハイエルフとは、古代人に遺伝子操作で生み出された、上位エルフの種族ってことなのか。
「で、その古代人は今も生きているの?」
「さあ?その有り余る力で、自ら滅びたって説もあるし、いないんじゃない?」
長生きの母すらも、そこまで大昔の事はわからないらしい。
「あ、そうそう、あなたには言っておくけど、あの泉の力はね…実は、温泉にある物を使って出来ているの」
「ある物?」
「
「アーティファクト?」
母エウロラが説明するには、古代人が作りし物で、様々な物があるのだと言った。
あの、温泉の中にそのアーティファクトが沈められてて、身体のバランスを向上させる不思議な効果をだしているらしい。
母でも、それがどういう原理でそうなるのかわかっていないらしいが、実は、魔力だけでなく全てのステータスが、上がるのだそうだ。
そして、その効果は一生続くと思われると俺に話した。
これを、知られると、力を求める冒険者などが狙ったりする可能性があるので、魔力が少し備わるだけと、嘘をついているのだと言い、それを知っているのは、王族のみ、つまり、ここにいる3人だけと言う事だった。
「まあ、そもそも、精霊の聖域、この里に入る者はいないと思うしね」
「そうですね‥」
「あ、それから、何処かでアーティファクトを見つけても、起動したりしたらダメよ‥もし、世界を破滅させるような物だったら危ないからね」
「うん、わかった、その時は注意しとくよ」
エウロラの話は終わり、俺は頷いた。
「さ、最初はルーン文字の勉強ですよ」
「はい!」
エウロラは、続けて口を開いた。
古代ルーン魔法とは、古代ルーン文字で描く魔法。
これは、攻撃や回復をするような魔法ではなく、文字で何かに影響を及ぼす魔法だとエウロラは言い。
この古代ルーン文字には、魔法を強力に伝える力があるとかで、魔素を取り込みながら魔導筆で描くことにより魔法を含んだ文字になって、それを使用者の魔力を使って紙や物に付与を施すことが出来るのだと言った。
英雄の祠の、異世界転移の魔法陣も、それで出来ているのだ。
そして、スクロールに書いた古代ルーン文字は、読んだ人に付与する魔法を施しているため、ルーン魔法が展開されるのを防ぐために巻いて魔道具の封蝋で留める。
「うん、大体、概要は掴めた」
「よろしい!」
それから、半日みっちりと、勉強する俺だった。
◇
一方、瑞希達はと言うと。
ズドン!
「当たった!」
瑞希は、1キロ先にある岩に命中させることが出来ていた。
「おお、ミズキやるねぇ」
「ミズキさん凄~い」
訓練の結果は、器用なクラウス、瑞希は、1キロ先の岩へ命中させ。
マイティ、レベッカ、マルクは、スナイパーライフルの反動に悩まされ一番近い300メートルの距離までしか正確な射撃は出来なかった。
マルクは、この里随一の弓術師、ライシスの指導によりみるみる上達していた。
「マルクは人間にしては筋が良いな!良い弓術師になれるだろう」
ライシスは絶賛していた。
「いえいえ、でも、あの銃って武器があるとやる意味あるのかなって思ってしまいますね」
マルクは、あちらで銃の訓練をしている瑞希達を見ていた。
「あんなのは邪道だ!やはり、静かに忍びより、静かに一人ずつ弓で倒していくのだ、あんな大きな音を立てたら、ヤバい奴らまで誘き寄せる可能性があるだろう!」
「あ、そう言われたらそうですね」
ライシスは、マルクにそう胸を張って言った。
「弓はな、放つだけではだめだ!風魔法で少しくらいなら軌道を変えることも出来る、次はその練習だ」
「はい!師匠!」
マルクは、動くものをある程度、完璧に捉えるようになっていた。
◇
そして、その夜。
かぽーーーーーーん‥‥
男性陣は、また壁を向いて泉に浸かっていた。
「クラウス、そっちはどうだったんだ?」
「ああ、ミズキはさすがだな、力があるから銃の反動も関係ない、上手く扱えていると思う、他の連中の正確な射程は、300~500メートルと行った所だろうな」
「ふ~ん、他の銃は?」
「そうだな、あのアサルトライフルってのは、反動も少なくて一番扱いやすい、みんな100メートルくらいの的なら上手く当てていたな」
俺はふむふむと、頷き聞いていた。
女性陣の方から、レベッカの胸は~、エウロラさんのが~とか聞こえて来ていたが、男性陣は、聞き耳を立てながら浸かっていたのだった。
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後書き。
まだ、書いて3週間なのに、沢山のフォローありがとうございます。
応援♡や、レビュー☆などもつけて頂き、やる気の補充になっています。
今まで突っ走って書いてきました、少し、リアルが忙しくなったので1日1話ペースを緩めたいと思っております。
応援してくれる皆さま、これからもよろしくお願いします。
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