第31話 新、家を買う。

 フェリオール城を後にし、一泊することになった新達。


 適当な宿を見つけてた。

 それから、皆で、フェリオール王都を観光して回ったのだが、広い広い、とてもじゃないが宿を基点にして一区画を廻ることしか出来なかった。


 この世界の町は魔物から守るために、必ず塀があるが、遠すぎて塀があるのすら分からないくらいの街だ。


 王都のお菓子屋があったので、皆で興味津々で入って見た。


 この世界のお菓子って言っていたのは、フレンチトーストと焼きプリンみたいな物だった。


 砂糖は控えめで、別に普通に美味しかった。


 でも、やはり、若干雑味も混ざっているし、俺と瑞希のフレンチトーストでも味が若干違ったりしていた。

 この世界のパンは固い、それを卵、牛乳、果物の甘味を合わせて漬け込んで焼いているのだろう、でもこれはこれで、丁度いい好きな人も良そうだと思った。


 プリンも、火加減の調整がひとつずつ手作りでやっている。

 ぶつぶつの気泡の後が出来ていたり、表面は固いのに中がぐちゃっとしていたりと、俺達地球人からすると売り物になるのが不思議なくらいだが、この世界ではこれが主流なのだろう。


「なるほど‥これなら、簡単に出来るよね。ただ、砂糖が少量なのと味のバランスが‥」

 俺はそう言った。

「そう思うと、あの地球のパンケーキって凄いわよね。これなら、負けることないわねぇ‥誰でも簡単にあの味になっちゃうんだから」

 瑞希はそう言っていた。


「それより、アラタ。王様の謁見とかで聞きそびれていたが、あのスタンピードで使った魔法、ありゃ一体なんなんだ?」

「あ、そうそう、新、あれ凄かったけど何?」

 クラウスと瑞希がそう聞いてきた。


「あれは‥太陽エネルギーを圧縮しながら収束させて、‥」

「待て待て‥なんだ?太陽?収束?全くわからない!」

 クラウスはそう言った。


「つまり虫眼鏡を使ったようなもの?」

「まあ、そんなとこ。それを改良したような感じかな?ガン〇ムでコロニーレーザーってあってさ‥」

「待った!わからない!」

 瑞希は途中から聞くのを放棄した。


「とにかく、太陽エネルギーを集めて圧縮して放つ、高エネルギーレーザーって感じさ。」

「私には、かめはめ波と、元気玉しか分かりません。あんたよくそんなの見てるわね。昔のアニメでしょ?」

「男のロマンだよ、あれは!俺はこの魔法のある世界で実現さえしたいと思っているのだから、この世界なら核融合炉でなくても動くアレが‥‥云々‥」

「あほくさ‥」


 俺が夢中で、夢を語っていたが、皆、首を傾げて他の話をしだしたのだった。


 それから、フェリオール王都で一泊し、次の日には早朝にホルンへ向かった。


 ◇


 3日後、ホルンへ着いた。


「もう‥死にそ‥」

 瑞希は心底疲れていたらしくそう言った。


「俺は、2週間以上いなかった分、仕入れに行かないといけないから、今日は仕入れに行ってくるよ、瑞希どうする?」

「パス!私は今日一日寝るわ‥」

「わかった」


 俺達は一時、解散し俺は在庫を確認して、また、地球へ仕入れに行くことにしたのだった。


 ◇


 新は、地球へ戻って来た。


 俺は、久々に戻ったので、ポストを確認するとチラシとかが凄い詰まっていた。

「あ~あ、もう、誰もいないのがバレバレだなこりゃ」


 チラシを、ごっそりと掴んで家の中へ戻って行く。

 すると、一つのチラシを新はじっと見ていた。

 それは、いまあるこの自宅からそう離れていない場所の土地だった。


 これは‥土地か。

 そう離れていなくて、土地60坪で3000万か‥建物立てても5000万くらいかな?


 新は、家を見渡した。

 この家も何時から建ってんだよ、結構年期入ってるからなぁ。


 今俺は、5億持っているから、買ってもいいかもなぁ。

 あの部屋の魔法陣を壊さず、移動させないといけないけど、考えてみたら地震とかこの家耐えれるのか?

 それこそ倒壊したら、戻れなくなるか行けなくなることになるよね‥


 俺は、その、小和ハウスと言う業者に電話してみた。


 その場所は、今の家から1キロほど離れた大通りから少し入った所にあった。

 俺は、業者に電話した後にその場を見に行って、いろいろ考えた末、買うことにした。


 すぐにその業者の会社へ出向いた。


「え!もうお決めになられたのですか?」

「はい、あまり隣とかに高いビルなどもないし、立地条件も良いしね」


そう、隣に倒れてきそうな何かがあると二次災害を起こしかねないから、隣の建築物はよく見なくては。


「ほんとですか!!有難うございます!」

「後。今の古い家から大事な壁を、傷つける事無く新しく建てる家に取り付けたいんだけど?」

「それはもう、私共の会社、小和ハウスは完璧に熟して実績を積んできておりますので、お客様のご要望には確実に遂行しますので、ご安心下さいませ」


 建物も、その営業マンにサンプルを見せて貰って、そこまで大きくはない2階建て5LDKの家と、その隣に広い駐車場と、何かを搬入するための倉庫も作って貰うことにした。


 そして、早速建築に入って貰い、出来上がるのは4ヵ月もあれば建つと言った。

 新は、即金で5000万払うと言って、営業マンもびっくりしていたが、現金で支払った。


 それから、俺は、ある場所へ行った。

 そこは大きな中古車店だった。


 そこの営業マンに、悪路でも走れるバギーを見せてくれと頼んだ。


 すると、新古車で二人乗りの4輪バギーが全て経費込みで1台80万で売ってた。80万でも高いほうだった、1人乗りの中古は16万とかもあったけど。


 最近のバギーってこんなに格好良いんだと眺めてしまった。


「これ5台貰います」

「え?5台も買ってくれるんですか?」

「はい、あ、今持って行きたいんですけど?飾るだけなので、保険もナンバーいらないので、自宅に運んで貰えませんか?お金は今払いますので」

「は‥はい!有難うございます!」


 夕方に、持って来てくれると言うので、その間に仕入れに、山口総合物産へ向かった。


「伊勢さん、何処かでパンケーキ屋でもしているんですか?こんなに大量に買ってくれるなんて‥」

 そう、山口社長は言った。


「いや、ちょっとね、いろいろとやっているんですよ」

「ちゃんとした店舗取引になればもっとお安く出来るのに‥個人ではどうしても」

「良いんです、気にしないでください、はは‥」

 俺は、あまり聞かれたくないので、そう言った。


「あ、伊勢さん、これとかどうですか?」

 そう言って見せてくれたのは、ヘアマスクだった。


「何ですか?これ‥」

「男性はあまり興味ないかもしれませんが、トリートメントですよ!」


 山口社長は説明してくれた。

「これはですね。シャンプーした後にこれを髪に塗って洗い流しますと、これが美しい艶、潤いなめらかになるんですよ?しかも週に1~2度するだけです、これなんてどうですか?1つ1000円ですが、沢山買っていただけるのであれば、1つ850円にしますが?」


「そ、そうですか‥ヘアマスクトリートメントって言うんですね‥じゃあ、とりあえずそれも、50個下さい」

「まいどあり!」


 なんか、買わされた感あったが、まあ、向こうの女性達はパサパサ、切れ毛だらけだもんな‥きっと喜んでもらえるだろう。


 今回も、トラックで自宅まで運んでくれるって言うのでお願いして帰った。


 ◇


 夕刻になり、まず、バギーが届いた。

 何もなくなった骨董屋店内へ入れて貰い、業者が帰った後、マジックボックスへ1台ずつ入れていく。


 すぐその後に、山口総合物産の荷物が届いたので、それも搬入しマジックボックスへ仕舞っていった。


 そして、夜になり新は、疲れを覚えたが異世界へ戻ったのだった。



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後書き。


一応、宝石の値段や、土地、バギー、品物等はネットで調べて大体の値段にしてあります。


宝石に関しては、地球には殆どない最上級なので少し高めの設定にしてあります。

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