第14話 我が家、兼、店舗。
奴隷商会と出たらすでに辺りは暗くなっていた。
奴隷達を引き連れて、先ずは、ミーナさんの家まで送ることにした。
カゼルさんの店舗の店仕舞いする所に、レベッカとマイティも俺を探しに来ていた。
「いたいた、アラタさん!‥この方達は?」
「ああ、実は‥」
「あ!アラタ兄ちゃん!ありゃ?ジルじゃん」
その間、ミーナはシルビアと話をしていたら、リックが店から飛び出して来て、シルビアさんの息子ジルと子供同士話をしていた。
「と、いう訳でさ」
「アラタさん‥冒険者やめちゃうの?」
「いやいや、まさかぁ?ほら、お金も稼がないといけないだろう。後さ、住まい兼店舗を借りたんで、レベッカとマイティ一緒に住まないか?部屋が7つもあるからさ。」
レベッカとマイティは、お互いの顔を見た。
あ、しまった!普通に自分の住まいに女の子を呼んじゃったよ‥
変な奴と思われないかな‥
「え?アラタさん良いんですか?私達住んでも‥」
「え?ああ‥なにせ広くてさ‥それに宿代も馬鹿にならないだろう?」
「やった!」
レベッカとマイティは、普通に喜んでくれた。
ミーナにシルビアは、今日の別れを言って、子供達もまたねーって手を振っていた。
そろそろ、夕刻の19時くらいだろうか、太陽は殆ど沈んで暗くなってきた。
街道の魔道具が一気に灯りを灯していた。
しかし、ここは異世界、後からミーナさんに聞いた話だが、夜だからって人がいなくなることはない、夜しか出ない魔物の討伐や、戻って来る冒険者、真夜中に辿り着く人達、様々だ。
それに、昼より夜の方が町の警備も多くなる、それは野盗や魔物が入り込む事も想定しているのだろうと言っていた。
みんなで、新しい新居、兼、店舗へ着いた。
「うわあ‥大きい家‥」
「アラタさんこれ‥本当に借りたんですか?」
レベッカとマイティは、相当驚いていた。
すぐに建物に入り、部屋割りを決めることにした。
2階に上がって、3つの部屋があり1つは湯浴び場だ。
ひとつひとつの部屋はそこそこ広いから、使い勝手も良いだろう。
そして3階は、リビングと2つの部屋がある。
2階の部屋に番号を振った。そして201号室を、シルビアさん家族の部屋にして、202号室がレベッカとマイティ、203号室はマリルレットの部屋だ、こんな感じで良いだろう。
俺の部屋は、3階の狭い方の部屋を一つ使う。
「あーーーーー!しまった!肝心な物を忘れていた」
「どうしたんですか?アラタさん」
そう、ここは空き家で、今日俺が借りたばかりだ。
殺風景で何もないのだ‥
「あ‥ベッドもないね‥」
「ありゃ‥」
まだ、季節が地球と同じなら、春前だ‥そこそこ夜は冷える。
結局、俺達は、白鷲亭に宿を取ることにした。
勿論、奴隷達の支払いは俺負担だ‥奴隷法23条に引っかかるからな‥仕方がない。
ってことで、その日は就寝。
◇
次の日の朝、白鷲亭の1階でみんなで朝食を摂って、すぐに店舗へ移動した。
奴隷従業員達には、いや‥奴隷って言い方よくないよね。
従業員の人達には、店舗の掃除を任せた。
ミーナさんも、宿の仕事を早く切り上げて店舗に来るって言ってた。
俺はと言うと、勿論、地球に行ってベッドなどを買いこむつもりだ。
「じゃあ、シルビアさん、俺ちょっとベッドとか買って来るから掃除の方宜しくお願いします」
「ご主人様、奴隷ですから、お願いしますとか言わないでください」
え‥それはちょっと言いずらい‥しかも様付けは、どうも‥
「えっと‥じゃあ、お願い‥ね!」
「はい、畏まりました」
そう言って急いで、ホルンの南門から外へ出て、ゲンムを呼び出して跨り、祠へ向かう。クインはずっと陰ながら、ちゃんと着いて来てる。
「ふむ、こっちで生活用品揃えないのか?ふっふ」
「ああ、こっちのお金はまだ心細いからね‥向こうでは一応今の所お金持ちだしね。」
納得して鼻を吹いたクインだった。
祠に着いて、地球へ戻った俺は、速攻で車に乗り込み、家具のナトリと言う大型店舗へ向かったのだった。
この店舗はお値段以上を謳っているだけあって、簡単なベッドでも良質だ。
各部屋に置くシングルベッドのマット、布団、枕セットを10台とテーブルや椅子を適当に頼んだ。
そして、店舗で飲食をするための、少しお洒落なテーブルと椅子4人掛けも6セット買った。勿論、ここに来る前にすぐに動ける引っ越し業者も呼んである。
全部で約50万くらいだった。
まだ、俺のマジックボックスの中には、親父が残していた5000万と、この間フェルナンドさんとの取引で1700万と、銃器代100万引いてもまだ6600万あるのだ。
引っ越し業者に全て詰めて貰って、自宅の骨董品屋に持って行くよう頼んだ。
俺は、まだ買い物があるのでスーパーをいくつか回って、ホットケーキミックス、牛乳、卵、蜂蜜などを買い占めて行った。
他にも、砂糖などの調味料も買い込み、石鹸やシャンプーリンス、ハミガキなどなど、生活用品なども、いろんな物も、たくさん買い込んで行った。
業者は、時間通りに来ていて、骨董品屋の中に入れるよう頼んだ。
‥‥‥
よし、業者も去ったし、マジックボックスに入れるか。
一つずつ、マジックボックスへ仕舞っていく。
俺は、そろそろ慣れたもんで、この空間の入り口を広げる事が出来るようになっていた。
最後の一つを仕舞って、深呼吸する。
ふう‥
時間を見ると、もう16時になっていた。
あ、急がなきゃ!
俺は、すぐに魔法陣から異世界へ潜った。
「ふむ、遅かったな‥ふっふ」
クインがむくっと立ち上がり、一緒に祠を出てゲンムを呼び出し、駆け出し、ホルンの前で降りて店舗へ向かう。
ホルンの家に着くと。
半日、従業員達が掃除をしていたお陰で、外も葉っぱ一枚落ちていなかった。
中に入ると、みんな揃って。
「「「お帰りなさい、ご主人様」」」
「アラタさんお帰りです」
いやいやいや‥これはちょっと引くと、新は苦笑いした。
「その‥ご主人様ってのやめて貰えない‥かな?」
シルビアさんが口を開いた。
「奴隷は大体、主人にはこういうように奴隷商会から言われていますので」
「まってシルビアさん、それは奴隷法とかじゃないよね?」
「いえ、そこは自由だと思いますが‥主人に捨てられないよう尽くすのが役目だと‥」
いやー、これは良くないぞ、いや、いい気分だけど、なんか良くない。
「えっと‥従業員の皆さん、これから俺の事は、新さんか、もしくはマスターとでも言ってください」
「「はい、マスター」」
「「はい、アラタさん」」
これでいいや‥
「えっと、今から俺が持ってきた奴を組み立てするんで、手伝って貰えるかな?」
「「はい、マスター」」
「「はい、アラタさん」」
「‥‥‥えっと、やはり、マスターに統一しようか‥あ、レベッカとマイティはそのままで」
「「「「はい、マスター」」」」
男手は俺と、シルビアさんの夫のジョランさんしか居ないから、大きな物は、俺とジョランさんで作った。
それを、俺は地球人で力が5倍以上なんで、ほいほいと部屋へ運んで行った。
全て、作り終わったのは、腕時計を見ると夜21時前だった。
「お疲れ様!ごめんお腹すいてるよね。すぐにご飯作るからさ待ってて!」
「マスター、お手伝いしますね」
「あ‥マリルも手伝いしてもいいですか?‥」
「あ、私達も何かします」
そう言って来たのは、シルビアさんと、ダークエルフのマリルレットの後にレベッカ、マイティだった。
「ああ、頼むよ」
マジックボックスから、買ってきた皿やフォークを出した。
幸い水は出るようになっていた。
あとはカセットコンロを出して、俺は冷凍食品をたくさん買ってきたのでとりあえず今日はこれで済ます予定だ。
「えっと、料理は俺がやるから、マリルと、マイティは一回水でこれを濯いで貰って、シルビアさんレベッカは、出来た料理を皿に盛って、ジョランさんは配膳してもらいます、子供らは大人しく座っとく以上!」
「「「はい、マスター」」」
「は~い」
ガチャン!
早速、マリルが皿を割ったが‥まあ、良いだろう‥想定内だ。
レタスを、シルビアさんが手際よくもぎって乗せていく。
俺が唐揚げを揚げて、それもシルビアさんが盛って行く。
パンは、コンビニで売ってるロールパンなどを買い込んできているので一人2個ずつ分けた。スープは温めたお湯を入れるとすぐに出来る玉子スープを持って来た。
8人分の料理が出来たので、ジョランさんが配膳し、準備は完了する。
「では、頂きます!」
俺の合図で皆が食べ始めた。
「うまーーい!」
子供達がまず声をあげた。
「この肉、凄く味がついてて美味いですね」
ジョランさんがそう言った。
「このパンも柔らかいですね、こんなパン食べたことないです」
「ほんとに‥美味しい‥」
シルビアがそう言った後、マリルレットもそう呟いた。
「これも、アラタさんの国の食べ物なんですね」
「アラタさんの持ってる物なんでも美味しいね」
レベッカとマイティはそう言ってた。
あっという間に皆、食べてしまった。
みんなで片付けをして、子供達とシルビアさんがまず湯浴びに行った。
「マスター!なんですか?この身体を洗う物と、髪を洗う物は!」
「すっごいいい匂い~、そしてサラサラだぁ~!」
ちゃんと、わかるように俺が、こっちは身体用、こっちは髪用と油性マジックペンで書いて置いてたのだ。しかもシャンプーは、リンス配合のやつだ。
「気に入って貰えた?」
「はい、凄く髪がサラサラになってツヤツヤです‥こんなの初めて」
「はだもちょ~いい匂いするよ~」
シルビアさんと、子供達も相当喜んでいるね。
それを見た、レベッカとマイティが、我もとすぐに湯浴び部屋に入って行った。
そして、遅れたマリルレットが慌てて入って行った。
ショランさんと俺は、それを見て笑っていた。
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