第29話 固有能力と魔結晶 ☆
ストックが減ってきているので、今日から1話ずつの投稿とさせて頂きます…!
申し訳ありません……。
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午後の授業は始まったばかりであったが、アークにとってはもう何時間も経過したんじゃないかと思うくらいの疲労感があった。それもそのはず。さきほどリュウゾウとの模擬戦があり、かなり本気で戦ったのだから。
そのアーク本人は今、『光翼の癒し』の面々やヤマト、ジュウベエ、リュウゾウ、それにサクラたち修行メンバーに囲まれている。その周囲には生徒たちも集まっている。教えてくれる講師陣がいなくなってしまえば、何をすればいいか分からないので、集まったのだろう。
「―――アーク、その刀術創ったって、マジか…?」
「はい、そうですけど……。どうしたんですか?」
「いやいや!お、お前!誰かに習ってそれを使ってるってんなら分かるが、創っただあ!?それはステータスにちゃんと載ってんのか!?」
「あ、はい。載ってますけど……。」
「「「「「見せて(ろ)(るんじゃ)!!!」」」」」
「ええーー…。はい、大分隠しますけど、それでもいいなら…。」
そう言ってアークはステータスを開示した。
【ステータス】
アーク=フォン=フォレストブルム
年齢:6歳 Lv.46
種族:ハーフエルフ?(強制隠蔽)
職業:神ノ使徒
称号:【転生者】【時空神の婚約者】【精霊に愛されし者】【シンラ国公爵】
●能力
固有能力:【
属性魔法:〔火魔法Lv.4〕〔水魔法Lv.5〕〔風魔法Lv.7〕〔地魔法Lv.5〕〔木魔法Lv.5〕〔光魔法Lv.6〕〔闇魔法Lv.5〕〔無魔法Lv.6〕
特殊魔法:〔創造魔法Lv.6〕〔鑑定魔法Lv.6〕〔時空間魔法Lv.6〕〔隠蔽魔法Lv.Max〕〔力学魔法Lv.6〕〔結界魔法Lv.6〕〔幻影魔法Lv.3〕
固有魔法:〔精霊魔法Lv.8〕〔血魔法Lv.7〕〔生活魔法Lv.7〕
スキル:〔中級剣術Lv.8〕〔刀術Lv.8〕〔身体制御Lv.3〕〔魔感覚Lv.7〕〔高速思考Lv.1〕〔多重思考Lv.6〕〔調理Lv.5〕(〔超絶倫Lv.1〕〔性欲制御Lv.1〕隠蔽中)
本来のステータスはこちらであるが、大勢に能力の開示はさすがにダメだろうと思い、あからさまに隠蔽させてもらった。それが、こちらだ。
【ステータス】
アーク
年齢:6歳 Lv.46
種族:エルフ
職業:魔法剣士
称号:【精霊に愛されし者】【シンラ国公爵】
●能力
固有能力:【精霊ノ寵愛】【クレアブルム流刀術】
属性魔法:〔風魔法Lv.7〕〔地魔法Lv.5〕〔光魔法Lv.6〕〔無魔法Lv.6〕
特殊魔法:〔隠蔽魔法Lv.5〕隠蔽中
固有魔法:〔精霊魔法Lv.8〕〔生活魔法Lv.6〕隠蔽中
スキル::〔中級剣術Lv.8〕〔刀術Lv.8〕隠蔽中
「はい、これです。どうです?本当にあるでしょう?」
アークは大部分の能力を隠して見せた。王族の人たちにはこれより多くの情報を見せたが、それはまだ信頼できる人たちであったため見せた。しかし、この人たちはまだ完全に信頼できてはいないし、どこから情報が漏れるか分からない。そのため、こうして大部分を隠蔽したのだ。
「―――ほ、ほんとうじゃ…!しかも、固有能力として認められているとは……!!これはリュウゾウの小僧とあれだけやり合えるのも納得じゃ…。」
「い、いやお前、分かってたけどレベル低いな!それで俺とあれだけやり合えるのはさすがにすげーぞ…!それに固有能力ってことは神様に認められてるってことじゃねえか…!」
―――ん?神様に認められた?とは?
《―――新しい剣術などの技術は、その完成度や能力、強さを神様たちが判定し、それが認められた場合にのみ能力として登録されます。しかし、能力として認められるのは何十年、何百年と修行したり受け継がれたりした技術が主であったので、私たちが短い間で創ったということは信じられないのでしょう。》
ふんふん。なるほど?
《―――それに、大体認められてもスキルとしてしか認められず、固有能力として認められることは滅多にありません。スキルとして認められたものが、更に研鑽を積んで、後世に受け継がれていき、固有能力として登録されるのです。ケンシン様が持っていた【シンラ王刀術】のように。》
ほうほうほう、なるほど、つまり僕たちが創った【クレアブルム流刀術】は固有能力として神様たちに認められてしまったかなりやばい能力ということか…!
「ね、ねぇ、なんか隠蔽中って出てるけど、そんなに隠したい能力とかあるの…?」
「―――あ、そういうわけじゃ……いや、まあ。ない、ですよ?あはは。」
「ちょちょちょっっと!怪しいわね!私はお姉ちゃんなんだし一緒に冒険する仲なんだから、後で教えなさいよね!」
―――ん?なんでそうなった?
「あ、あの、僕は別に一緒に冒険するなんて言ってませんよ?僕は多分サクラと冒険しますから。」
「――ええ!!私ですか…!?」
若干蚊帳の外ぎみであったサクラは不意に名前を呼ばれ驚いたが、また別の意味で驚いた。
「…あっ冒険とか、嫌だった?僕は成人したりある程度大きくなったら色んなところを旅したいなって思ってたんだけど…。」
アークは寂しそうにそう言った。たしかにこれはアークの都合であり、サクラを無理に連れていくのはさすがに自分勝手だったと反省した。
「――いえっ!私も一緒に行きたいです!もっともっと強くなってアーク様を支えられるようになりたいです!!」
サクラはアークが自分と旅がしたいと思ってくれていることに感動しながら、一緒に行きたいとそう告げた。しかし、サクラはまだ自分が弱いことを自覚しているので、少しでもアークの負担にならないようにと、強くなりたいと願った。
「ふふ。ありがとう。そういうわけで、僕はサクラと冒険することになっているので、ごめんなさい。」
そう言われたリンカは膝から崩れ落ちた。なぜかルーミニアとカールニアも同じように崩れ落ちている。余程一緒に行動したかったのだろうか…。
「そ、そんな~…。私の弟なのに……。」
弟だからパーティーに加わるということはよく分からないが、かなりショックを受けているようだ。
「そ、そんなことより!その刀術のことだろうが!お前、一緒に創ったとか言ってたが、噂の爺さんと創ったのか?」
ジュウベエが脱線した話を戻しつつ、そんなことを聞いてきた。
「いや、僕が契約している精霊とですよ。」
クレア、どうする?出てくる?
《―――いえ、別に出なくてもいいでしょう。ここには人が多すぎますし、騒ぎになるでしょうから。それに、ヤマトさんやサクラちゃんは私のことを知っているので説明はできるでしょう。》
うん、分かった。
「ほっほっほ。あの精霊様はそこまで優秀であったか。ならば納得じゃのぅ。それに、あんまりアークにばかり構っていると他の生徒たちが可哀想じゃ。ほれほれ、せっかく特別講師として来てもらったんじゃ。働けぃリュウゾウの小僧に“光翼”の。」
ふう…助かった。さすがはヤマト爺。こちらにウインクしてくる余裕があるところもさすがである。
ヤマトの一声で再び生徒たちのところへ戻っていった講師陣は、若干不満そうにしながらもしっかりと切り替えて生徒たちの指導へと当たっている。これで午後の授業が始まってまだ20分ほどしか経っていないのが凄い。
まだまだ時間はたっぷりとあるので、アークは何をしようかと思案したが、やはりこちらに期待のまなざしを向けてくるサクラたちの修行を見るしかないだろう。
アークはサクラとジン、ミカゲ、ミルの4人へ指導しようとしたが、なぜかヤマトとリュウゾウが隣に立ったまま動かない。
「―――あのー…。お帰りにならないので…?」
「ああ、結局俺のところには誰も来ないんでな。ここでヤマト爺と見てるのも面白そうだしな。ガッハッハ!」
「うむ。お主と精霊様が教える修行方法は中々面白いからのう。見てても参考になるじゃろうて。あわよくば参加するのもありじゃしな。」
ギルマスは寂しいから、ヤマト爺はあわよくばを狙っていた訳か。まあ、いないもんだと思うことにしよう。
「えー…。それじゃあ、まず始めに体内の魔力を動かすことから始めようか。昨日と同じように、やってみて。しばらくしたら違う作業も挟んでいくから。じゃあ、始め!」
アークの初めの合図に、4人は魔力操作で体内の魔力を動かし始める。昨日のアークの部屋でやっていた時よりしっかり動かせているのはアークも驚いた。これならもう次の段階へ進んでもいいレベルである。しかし、ここはもう少しやってもらった方がいいだろうと思い、続けてもらう。
「ほう……。魔力操作で体内の魔力をいじってるのか…。魔力操作は大体発動した魔法に使うもんだと思っていたが…。中々面白いことをするんだな。」
「ほっほっほ。そうじゃろう。実際これができるようになれば、かなり進歩することは間違いないじゃろう。」
ヤマト爺はこの体内の魔力操作の重要性に気付いており、会話をしながら自分もやっているようだ。抜け目ない。
そうして20分が過ぎ、もう大丈夫だろうと、クレアのお墨付きをもらいつつ次のステップに進む。
「はい、皆、次の修行に移るよ。それぞれ魔吸結晶を持ってる?それ出して片方の手に持って。」
一応魔吸結晶と言っておいた。魔蓄結晶の方が正式なのだが、魔吸結晶として知られているので敢えてこう呼ぶ。
そして、アークは魔法袋から青色に光る魔蓄結晶を取り出した。魔蓄結晶は、貯めてある魔力の量によりその色を変える。
色の変化は、黒→紫→青→緑→赤→橙→黄緑→黄色→水色→白→→→→虹色
となっているのだ。鉱床で黒の魔蓄結晶しか採れないのは、ある程度魔力の溜まった魔蓄結晶は鉱石と合わさり、違う鉱石になってしまうため、発掘されないのだ。しかし、稀に発掘されることがあり、貴族の内で高値で取引されるほど珍しいものである。
そんな貴重なものだとアークは知らないので、そそくさと青色に輝く魔蓄結晶を皆に1つずつ手渡した。もちろんヤマト爺にも。
「―――んなあああ!!ア、ア、アアアークや……!こ、これはどどどうしたんじゃ……!!」
ヤマトは急にこんな高価な結晶を手渡され、困惑した。
「え?これ。魔吸結晶に少し魔力入れただけのやつですよ?」
アークはなんでこれほど驚いているのか理解できず、ただ疑問に思った。
「お、おい…これ、『青の魔結晶』じゃねえか…!しかもかなり大きいぜ…!!」
「な、ななな、なんと…!そういうことじゃったか…!アーク、リュウゾウ、このことは他言してはダメじゃ…!争いが起こる…!」
アークはまたしても何を言っているのか分からなかったが、他言しなければいいのだろうと、この時は楽観的だった。
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