第18話 入学! ☆

 今日は、学院に行く日だ。新品の制服に袖を通し、外へ向かう。


 学院へ行くと決まってから3日間、修行三昧時々サクラとシオリに構っていた。…それに毎晩クレアと―――げふんげふん!


 最近は性欲が高まりすぎてクレアだけでは辛くなっているというのはクレアの秘密である。クレアはなんとか自分が受けに回らないように立ち回っているが、いつ攻められまくられるのか心配している。


 それはさておき、アークは厳しすぎる修行の末、能力がかなり上がっていた。


【ステータス】

 アーク=フォン=フォレストブルム

 年齢:6歳 Lv.45

 種族:ハーフエルフ?(強制隠蔽)

 職業:神ノ使徒

 称号:【転生者】【時空神の婚約者】【精霊に愛されし者】【シンラ国公爵】

 ●能力 

 固有能力:【叡智ノ書庫アカシックレコード】【精霊ノ寵愛】【闇夜ノ血脈】【クレアブルム流刀術】

 属性魔法:〔火魔法Lv.4〕〔水魔法Lv.5〕〔風魔法Lv.7〕〔地魔法Lv.5〕〔木魔法Lv.5〕〔光魔法Lv.6〕〔闇魔法Lv.5〕〔無魔法Lv.6〕

 特殊魔法:〔創造魔法Lv.6〕〔鑑定魔法Lv.6〕〔時空間魔法Lv.6〕〔隠蔽魔法Lv.Max〕〔力学魔法Lv.6〕〔結界魔法Lv.6〕

 固有魔法:〔精霊魔法Lv.8〕〔血魔法Lv.6〕〔生活魔法Lv.7〕 

 スキル:〔中級剣術Lv.6〕〔刀術Lv.6〕〔身体制御Lv.2〕〔魔感覚Lv.6〕〔思考加速Lv.9〕〔多重思考Lv.5〕〔調理Lv.5〕(〔絶倫Lv.7〕隠蔽中)




 実際はこのレベルにいることがおかしいくらいの熟練度なのだが、魔物を倒していないため、経験値があまり溜まらないのである。それでもクレアの鬼特訓は今までより多くの経験値を稼げたようだ。


 それに、アークは〔創造魔法〕により、【クレアブルム流刀術】という固有能力を創り上げた。アークは簡単に創った気分でいるのだが、固有能力というのは並大抵では発生せず、創るとなるとそれはもう気が遠くなる程の研鑽を積まなければならない。更に、神による承認も必要であるため、本当は3日間で創れるようなものではないのだ。


 しかし、アークとクレアは成し遂げてしまった。クレア(【叡智ノ書庫アカシックレコード】)の惑星オルタと地球の知識量、演算能力、的確な指示・修正能力。アークの身体特性や身体能力、人間性、ストイックさや努力量。そして、2人の親和性により新たな固有能力【クレアブルム流刀術】が完成した。


 この【クレアブルム流刀術】は、実はアーク自身、クレア自身も使いこなせていない。それはまあ3日間でマスターなど無理な話である。まだ発展途上な能力であるが、この刀術は、いずれ最も有名な流派となり、その成り立ちが後世に語り継がれることになることをアークは知らない。クレアは、なんとなく予想しているけど。






 クレア、とうとう入学だよ…友人できるかな?


《―――…多分。できます。》


 ええ!心配になるようなこと言わないでよ!


《―――だって、お面つけてますもん。外せばいっぱい寄ってきますよ。女の子が。》


 うっ。そうだった。それはそれで困る…


「アーク様!いよいよですね!私がずっとお側に着いてますので、安心して下さいね!」


「うん!ありがとうサクラ。僕も護ってあげるからね。」


 こちらは最近の僕の癒やし、サクラちゃんである。馬車に揺られる中、ずっと腕を絡ませ、頬をすりすりさせている。可愛い…


「えへへ~。ありがとうございます!」


「ちょっと!わたしは?」


 逆の腕に絡みついているのは、サクラの2歳上の姉、シオリである。1回エッチしてしまったのだが、それからと言うもの虎視眈々と狙われている。婚約者なので別にいいのだが、さすがに王城では侍女さんの監視が付いてしまってできていない。実は顔はシオリの方がタイプなのだが、誤差なのであえて言わないようにしている。サクラが拗ねそうだし。


「シオリはクラスが違うから側にはいられないけど、もし何かあったら助けに行くからね。」


「あ、ありがと…」


 もじもじして俯いてしまった。可愛い…


「そろそろ着きますので、降車の準備を。」


 正面に座っていた侍女さんがニヤニヤ笑いながらも、知らせてくれた。


 そうして降りる準備をしていると、もう着いたらしい。


「僕はまず学院長のところに行かないといけないんだ。だから先に行ってて。サクラは教室でね。」


「はい、分かりました!」


 サクラは元気に返事をすると、先に馬車から降りた。


「…アークくん。」


 アークはサクラに続いて降りようとしたが、シオリに声をかけられ、振り向いた。


 ちゅっ。


「ふふふ。お口にできないのは残念だけど、今日はこれで我慢してあげる。」


 ほっぺにキスをされた。お面を付けているのでほっぺなのだが、不意に来るとやはりビックリする。


「あ、ああ、うん。ありがと。」


 ちゅ。


 アークはお返しにとお面を取ってシオリのほっぺにキスをした。


「ふぁああ――ありがと………」


 顔を真っ赤にしてしまい、これでは出られなくなってしまっただろう。失敗したと思いつつ、アークはお面を付け直し、先に降りた。


「あの、侍女さん、シオリがちょっと外に出られなくなってしまったみたいで、もう少し待ってあげて下さい。それじゃ。」


 そう言い残し、どこにあるのか分からない学院長室に向かった。


 アークはそう言えばサクラとシオリ以外の王族の人がいないと出発の時に思ったが、他3人の王族の人は中等部へと上がる際に外国の名門学校の方へと編入していったようだ。ハルカとリュウシンは世界トップの魔法学校へ、テンシンは世界トップの剣術学校へ編入したらしい。


 因みに、シンラ王立学院は世界トップクラスであるが、ランキングは魔法学校としては3位、剣術学校としては2位である。しかし、剣術といってもシンラは刀術がメインとして扱っているため、わざわざ刀術を学びに来る者は少数派である。


 最初のでっかい門をくぐり、数分歩くと小さい烏が飛んできてアークの肩に止まった。足になにか付けてあり、それを外してみると、学院長からの手紙だった。


「なになに―――烏ちゃんに道案内させれば問題なし、?あー、道案内役にされたんだね。ありがとう。」


 小烏はピーピー鳴いて飛び、こっちこっちと髪の毛を引っ張る。かなり豪華目な建物に入り、エレベーターのような装置に乗り込むと、小烏が最上階のボタンを押した。10秒くらい経つと、扉が開き、小烏が飛んでいった。


「あ、待って!」


 慌てて追いかけていくと、そこにはローブを着たいかにもなおじいちゃんがいた。


「ほっほっほ。やっときたのぉ。フォレストピアの大爺の孫よ。シンラ王立学院へようこそ。歓迎するわい。」


 このおじいちゃんはどうやら僕の爺ちゃんを知ってるらしい。僕は知らないんだけど。それにしてもシンラ王立学院って言うのか。知らなかった。


「あ、初めまして。アークです。あ、アーク=フォン=フォレストブルムです。途中からですが、お世話になります。」


「ほっほっほ。よいよい。あの爺とは全くの別物じゃのう。儂はヤマト=フォン=クロムウェルじゃ。クロムウェル伯爵家の先代当主じゃよ。」


 この人物は魔法の名門と言われているクロムウェル伯爵家の先代当主であると言った。すると、脳内でクレアが情報を伝えてきた。


 なんと、この人物は世界で3人しかいない【大賢者】の1人らしい。さすがは大賢者といった風貌をしており、アークは納得した。


「気軽にヤマト爺とでも呼んでおくれ。それに、お主は儂にとっても孫みたいなもんじゃから、本当の爺みたいに話しておくれ。遠慮はいらんぞ?」


「は、はい。ヤマト爺。それで、僕はどうしてここに?」


 なぜだか親近感が湧いた。この人は悪い人じゃない。なんだか前世の爺ちゃんみたいだったので、自然と普通に話せる。


「ああ、実はの、これから全校集会があるんじゃが、そこでお主を紹介しようかと思ってのぉ。よし、ではいくぞ。」


 ヤマトはこちらの返答を待たず、転移の魔法により集会場に飛んだ。


「え、あの―――あ…」


 着いた場所は、全校生徒が集まる集会場の、壇上であった。この学院は1年次から4年次までの初等部と、5年次から7年次の中等部、そして8年次から10年次の高等部がある。1年次は5歳で入学となるので10年次を卒業すれば晴れて成人の歳、15歳となるのだ。


 この集会場にはその全年次の成績上位者クラス、通称Sクラスのみが集っていた。その中にはサクラ、シオリがいた。他にも4つ会場があり、それぞれA、B、C、Dのクラスで分かれている。


 それまでずっと生徒たちの喧騒が響いていた集会場内はピタリと止み、その視線は学院長へと向けられた。


「諸君!長期休暇は楽しめたかの?これからまた学院生活が始まるわけじゃが、気を抜かんようにな。―――さて、今日から1年次に新しい生徒が加わることになった。」


 ざわざわざわざわ―――――――――


 会場が一気に騒がしくなり、あいつは誰だと思い思いに喋り合っている。


「ほれ、アーク。自己紹介せい。」


 ここで丸投げ…!そりゃないよ…まあ頑張るしかない。


《―――ここは派手に行きましょう。お面を付けている分の挽回のチャンスです。》


 おお!そうかそうか。ナイスだクレア!


 アークは空中に文字を書いてみようと決めた。使う魔法は、水と光でいいだろう。〔水魔法〕で文字をかたどり、そこに〔光魔法〕で明るく色付けをする。


“アーク=フォン=フォレストブルム よろしく!”


「アーク=フォン=フォレストブルムです。皆さん、仲良くして下さい!」


 ―――あれ、誰も反応無し?チラっとヤマト爺を見ると、呆れたような顔をしている。


 あ!これどうするのかみたいなこと考えてるから反応ないんでしょ!


 アークは〔水魔法〕でつくり出した水を水蒸気にして、散らした。


 よし!これで大丈夫でしょ。ヤマト爺の方をクルッと振り向き、グッと親指を立てる。


「お主……やっぱりあの爺の孫じゃわい。」


 諦めたように笑っているが、なぜなのだ。


「ほれほれ、拍手せんかい。拍手。こやつがかわいそうじゃろ。」


 ―――クレア…失敗?


《―――やらなかったよりはマシです。多分…》


 ああああ、学院生活が終わった……


「アークは試験の結果Sクラスじゃ。1-Sの生徒は特に仲良くするようにの。」


 そうして全校集会が終わり、生徒はそれぞれのクラスへ戻っていった。






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