第14話 王都観光

【ステータス】

 ケンシン=フォン=ロイ=シンラ

 年齢:29歳 Lv.246

 種族:人族

 職業:国王 剣士

 称号:【シンラ国王】【刀王】

 ●能力

 固有能力:【シンラ刀王術】

 属性魔法:〔火炎魔法Lv.8〕〔聖魔法Lv.5〕〔無魔法Lv.15〕

 特殊魔法:〔雷魔法Lv.3〕〔鑑定魔法Lv.8〕

 固有魔法:〔生活魔法Lv.8〕

 スキル:〔刀王術Lv.7〕〔剣王術Lv.3〕〔身体制御Lv.7〕〔魔力制御Lv.3〕〔カリスマLv.9〕〔超感覚Lv.5〕




 ねえ、クレア?なんか強そうだね。かっこいいね。


《―――進化している魔法やスキルがありますね。それと、アークの方がかっこいいですよ?》


 ……え、やめてよ~!僕あまりかっこいいって言われるの慣れてないんだから…!


《―――ふふ…可愛いですね。アークはフォレストピア大森林にいる頃にここまで上げることはできましたが、アークのために敢えてそういったことは伝えませんでした。それに魔感覚を得た時にそういったことに気づいてるのかとも思いましたので。》


 あ、そーなんだね。ナイスガイお兄さんは刀王術ってのを持ってるけど、これ、僕も獲得できる?


《―――はい、剣術の派生で刀を使用していれば獲得できます。剣術がLv.10になり、中級剣術に進化するタイミングで獲得できます。》


 なるほど…僕はあんまりそういうこと分からないから僕が望みそうな方向に向かっていけるように調整お願いね?


《―――はい、分かりました。では、まず絶倫系スキルを―――》


 わーー!!ダメダメ!!まだそういうのはなし!!


《―――まだ……ですね?言質頂きました。》


 うう…また嵌められた…


《―――嵌められるのは私、私ですよ?》


 それさっきもやった!!


「おい。大丈夫か?1人で百面相なんかして、気持ち悪いぞ?」


「あ、すみません。お腹すいて…」


 咄嗟の嘘で誤魔化す。


「お、そうかそうか。じゃあ飯行くか!」


 そう言って食堂へ向かう。


「あ、すみません、ちょっと身支度を。」


 そう言って、体全体を浄化し、服を着てお面を付ける。城内には知らない人もいるので、気をつけねばならない。


「おー、お前、それ〔生活魔法〕じゃねえな?」


「あ、はい。火、水、光の属性魔法の合わせ技ですね。」


 水蒸気を暖めて、その水蒸気に光魔法で浄化の効果を付与し、体全体をキレイにする魔法。割と高等技術らしい。


「ほー、すげえな。マイにも伝えておいてやろう。うしし。」


「ええ!やめて下さいよ!できるまで付き合わせられそうじゃないですか!」


「ハッハッハ!まあ頑張るんだな!」


 そうしてアークはげんなりしながら食堂へと入っていった。





 食堂に入ると、王族の皆様が勢揃いしていた。―――なんか気まずいが。やはり昨日のシオリの喘ぎ声が聞こえてしまったのだろうか。


「あー…おはようございます。お待たせして申し訳ございません。」


「うふふ、大丈夫よ。さあ、早くお掛けになって。」


 あ、あんまり聞かれないのね。それはそうか。食事の席だし。


「じゃあ頂きましょうか。」


「「「オルタ様に感謝を…」」」


 あー、そういえば昨日もそんなこと言ってたな。昨日はこういった感じではなく各々で食べ始めていたからあんまり気にしていなかったが、惑星オルタではこうなのね。


「オ、オルタ様に感謝を…」


 あの神様には恩があり、感謝はしているが、いかんせんいたずら好きで困りものなのだ。感謝はあの時の言葉でもう十分に伝えきったと思うのだが、食事の度に感謝しなければいけないとは…


《―――気が滅入りますね。》


 間違いない。


 それにしても、食事はおいしい。おいしすぎる。日本の味付けのまんまで助かった。よく聞く異世界転生は料理の味で躓くのが定番なのだが、こちらの世界ではそんなことない。ああ、ありがとう神様…!


《―――早速オルタ様に感謝してますね…》


 あ、今の無し。


「なあ、アーク。今日の予定はどーなってんだ?」


 ケンシンが聞いてきた。あー、そういえばなにも考えてなかった。


「んーー、街を見たいですかね…」


「「それなら私が!!」」


 サクラとシオリがハモった。


「え、でも王女様って街に詳しくないんじゃないの?普通。」


 そういうと、2人ともがハッ!っとして俯いた。やはりそうであったか。


「なら侍女を付けるか。おい、ナギサ。お前以外で、良さそうなのを見つけて付けてやれ。頼んだぞ。」


「え!!なぜ私以外なのですか?私でもいいでしょうに!」


「お前だと襲われそうだからだ。」


 ええ!とアークは勘違いをした。


「ちょ、ちょっと!!僕は襲うなんてしませんよ!」


 ――――――え?なんかしーんとなった。なぜ?


「あ?お前が襲わ―――――」


「あ、ちょ!チェストォォォォ!!!」


 ナギサはなんとかケンシンをぶっ飛ばし、続く言葉を阻止した。アークは王様に対してそんなことして大丈夫なのかと不安になったが、周りの雰囲気からして大丈夫っぽかったので安心した。


「ふぅ…危ない危ない。では、私がご案内致しますね♡」


「おー、確かに護衛として優秀なんですね…お願いします!」


 そうして危険な王都観光が始まる。








 アークは普段着に着替え、お面を付けて集合場所に向かった。


 集合場所に着くと、私服のナギサの他に、もう1人私服の侍女さんが待っていた。


「あ…!あなたはあの時の!!」


「はい、昨日ぶりですね。アーク様。本日は私、メイが御者として移動を共にさせて頂きます。」


 謁見のときに着替えを手伝ってくれた侍女さんだ。


「あ、はい。よろしくお願いします。」


「あ、アーク様。私は知ってますから。このことは特にバラそうとは思っていませんから、安心して下さいね?」


 えええ!!なんで知ってるの!バッとメイを見る。


「バラしたのはミオさん―――あの時にバレた侍女ですからね?バラしたと言っても誤情報で、正しいことは私からお話ししましたけど。それにナギサ様にだけらしいので、大丈夫ですよ。」


 大丈夫なわけあるかー!弱みにつけ込んできそうなタイプじゃない?


《―――大丈夫です。おそらく、しばらくはなにもないでしょう。》


 おお、それならよかった!


「はぁ…じゃあ、行きますか。」


 そうして御者1人、馬車の中2人の王都観光が始まった。






 馬車の中では、対面に座席があるものの、アークとナギサは隣り合って座っていた。


「あ、あの、なんで隣に座るんです?僕がこっち座りましょうか?」


「いえいえ、それには及びません。なんだかこうしていた方がいい気がしまして。」


 ―――よく分からないがそういうことにしておこう。


「あ、あの、王都のことよく知らないので教えて下さい。」


「はい、分かりました。それでは、王都の簡単な説明から入りましょう。」


 実際はクレアに聞いた方が早いのだが、王都住民ならではの視点もあるので今回はナギサに聞くことにする。


「王都『キョウラク』は、『決戦ノ湖』という大きな湖に面した巨大な都市です。湖側に王城があり、その周りを囲うようにして街が並んでいます。」


 ほほー、あまり外を見ていなかったし、転移で来たから分からなかったけど、湖に面してるのか!なかなか豊かそうな王都ですな。


「街はそれぞれの区に分けられていまして、貴族区、行政区、教育区、研究区、農業区、平民区、冒険者区、商業区があります。商業区は、高等商業区、商業区、準商業区に別れていて、それぞれの利用層が違いますね。」


 おー、きちんと別れているんだね。あの王様のことだからあんまりキチンとしてないのかと思ってたよ。


「現在走っているところは貴族区ですね。大通りですので大手商会の店舗や邸宅などが並んでいますね。」


 貴族区であっても大通りにはお店があるらしい。しかし土地代はかなりかかると思われるので商会長は商魂逞しい。


「僕がお願いしたお店はどこにあるんですか?」


「その商会は貴族区と高等商業区の丁度境目くらいの位置にありますね。ぎりぎり高等商業区ですよ。」


 おおー、ぎりぎり高等商業区ということはかなりお高めなのではないだろうか……


 少し心配になってきたアークであるが、謁見でもらったお金がたんまりあることを思いだし、内心ほっとする。


「もうそろそろ着きますので、降りる準備をしましょうか。」


「…あ、はい。じゃあ離れてもらって……」


「それは大丈夫です!」


 なにが大丈夫なのだろうか……












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