第3話 修行開始! ☆

【ステータス】

 アーク

 年齢:6歳 Lv.1

 種族:ハーフエルフ?(強制隠蔽)

 職業:神ノ使徒

 称号:【転生者】【時空神の婚約者】【精霊に愛されし者】

 ●能力 

 固有能力:【叡智ノ書庫アカシックレコード】【精霊ノ寵愛】【闇夜ノ血脈】

 属性魔法:〔風魔法Lv.1〕 

 特殊魔法:〔創造魔法Lv.1〕〔鑑定魔法Lv.1〕〔時空間魔法Lv.1〕 

 固有魔法:〔精霊魔法Lv.1〕〔血魔法Lv.1〕〔生活魔法Lv.1〕 

 スキル:〔剣術Lv.1〕〔体術Lv.1〕


 これが今現状の能力である。うーん、まずはなにか目標を立てようかな。そう悩み、思案する。


「まず大事なことは、この世界を生き抜くことだね。そして、現状を把握して、能力を伸ばす。…よし。まずはここがどこか調べるか。」


 クレア、ここどこなの?


《―――はい、ここは『フォレストピア大森林』内の「歩みノ森」です。》


 歩みノ森は、比較的弱い魔物が多く、新人たちの狩り場となっているようだ。ちなみに、「フォレストピア大森林」は獣人族、エルフ族、妖精族、竜人族、魔族の五種族がそれぞれ集落を作り、生活しているらしい。クレア様々である。


「まずは弱い魔物と戦って強くなっていけってことだね!」


 神様の配慮に感謝をしつつ、近くに落ちていた木剣を拾う。これも神様からの贈り物であるらしい。


「剣術と体術がスキルにあるけど、これはじいちゃんの道場で習ってた剣術と体術がそのままスキルとして認められたのかな?」


 転生前は病弱であった祐太を心配した両親は少しでも体力がつくようにと祖父の道場に週1で通っていた。当然道場1弱かったが、そんな祐太をいじめたりからかったりする門下生はおらず、真摯に向き合ってくれていた。単に祐太が良いやつであった為であるのだが、本人はみんなが優しすぎるだけだと思っているだろう。


「こっちの体ではどのくらいでガタがくるだろうね…」


 そういって、木剣を構え、素振りを始める。


「ふっ!ふっ!ふっ!…え、すごいや!なんか良い感じだよ!」


 アークは感動していた。こんな重そうな木剣を自分がぶれることなく祖父のように振れていることを。祐太は常に祖父のことを思い浮かべながら剣を振っていたが、体が弱すぎてぶれっぶれだったのだ。


「あぁ、今になって基礎しかやってない自分が嫌になるね…」


 祖父は基礎すらやらせるのを躊躇していたくらい心配しており、剣技を教えるなんてもっての外だった。祐太としても基礎でいっぱいいっぱいであったので教わろうなどとは言い出すことはなかったが。


 そんなこんなで剣術の基礎稽古をしていると、茂みの中からガサガサと音がした。


「うわ!ビックリした。魔物かな?」


 木剣を構え、警戒する。すると、緑色の皮膚をした小さい人型の魔物が現れた。


「ゲヒャヒャ!」


 ゴブリンは醜悪な笑みを浮かべながら餌に飛びつくように襲いかかってきた。


「怖くない、怖くない!よし!いざ、勝負!」


 心を落ち着かせ、相手を殺す覚悟をし、木剣を握る力を緩める。いつでも心に余裕を持ち、力を入れすぎるな、が祖父の口癖であったので、それを実践する。


「打ち合うのはまだやめておいたほうがいいかな。じゃあ、カウンター狙いでいってみよう!」


 ゴブリンは錆びていても一応は金属製の剣を持っている。打ち合ってこちらの武器がなくなってしまうと不利になるのでカウンター作戦にしたのである。


「ギヒャー!」


 ゴブリンはこちらを舐めているのか、ジャンプしながら上段の振り下ろしを仕掛けてきた。


 アークは半歩体を引き、ゴブリンの切っ先が下がりきったと同時に首の部分を横薙ぎにする。木剣であるため、首を切り刎ねることはできないが、それでも首の骨を折れば死ぬだろう。


「しっ!」


「ガギャ!」


 ゴブリンは無理矢理進行方向を変えられ、横に吹き飛んだ。首が折れ、ビクビクと痙攣したものの、数秒で動かなくなった。


 アークはイメージ通りに動く体と全てがゆっくりに見えることに驚いた。


「ふぅ…なんか動体視力まで良くなってるね。ハイスペックな体って最高だね!」


 自分が勝てたのを体のせいにしつつ、ゴブリンの死体のもとへ行く。


「たしか、心臓の所に魔石があるらしいんだけど…あ、ゴブリンの剣でいけそうだ。」


 ちょっとグロテスクだったが気にすることなく回収できた。


「死体って燃やした方が良いんだよね…?」


 ネット小説知識でなんとなく知っていたため、燃やそうとは考えたのだが、魔法も使ったことないし、どうしたらいいか分からない。


 んー、こんなときは、クレアに聞いてみようかな。


 ねぇ、クレア―――


《―――はい、火を出すのなら〔生活魔法〕より〔火魔法〕の方が効率がいいです。》


 クレアが食い気味に聞いてきた。皆まで言わずとも察してくれる有能なクレアさんである。


《―――…アークは現在、〔火魔法〕を獲得していないため、〔火魔法〕による焼却はできません。しかし、〔創造魔法〕による属性魔法の創造が可能なため、〔火魔法〕を創造します。―――完了しました。属性魔法:〔火魔法〕を獲得しました。続いて、〔魔力感知〕〔魔力操作〕を創造します。―――完了しました。スキル:〔魔力感知〕〔魔力操作〕を獲得しました。》


 ―――えぇ……?なんだかチートな能力じゃん―――クレアが。


《私がですか!―――ごほん。〔魔力感知〕〔魔力操作〕を獲得したのは、魔法を使用する際に役立つので獲得しました。また、魔力操作のコツは情報を伝えてあるのでそちらを実践してください。》


 クレアが突っ込んだ!?―――クレア……そんな高度なことまでできるなんて―――恐ろしい子!


「よし、火魔法も獲得したし、〔魔力操作〕を意識して使ってみよう。」


 ゴブリンに対して無詠唱で火を出現させる。両手の掌から青みがかった火がゴブリンを覆い尽くす。数十秒もすると、跡形もなくゴブリンは燃えてなくなり、焼焦げた地面と臭いが残った。


「おぉ、これが魔法か。〔創造魔法〕で魔法創ったときはなんか他人の体って感じがしたけど、なんだか魔力の流れが感じられていいね。それにイメージ力が大切らしいからガスバーナーを意識してやってみたけど、すごいね!」


 クレアから一通りの魔法の知識と技術が伝わってきたが、それは現代の魔法知識や魔法技術とは比べものにならないくらいのレベルであることを知るのは、大分後になるのであった。


 アークは、後はひたすら修行して、熟練度を磨くことが当分の目標だろう。


「―――あ、クレア、1つ気になったことがあったんだけどさ、【時空神の婚約者】ってなんのこ―――《それは答えたくありません…!》んだろ―――…えっ?」


 食い気味に被せてきたのでアークはよく聞き取れなかった。


「な、なんて言ったの…?」


《―――……いえ、すみません、私でも分かりませんでした。》


 クレアは誤魔化した。本当は知っていたが、あの神はアークを騙している。好きなのなら好きだと伝えればいいのだ。伝えられる状況にいるだけでも素晴らしいことなのに…


 クレアはナナのことが気にくわないのでこの称号は言い表せないほどの思いがあった。


「クレアでも分からないことが……!案外可愛いとこあるじゃんね。」


《…なっ!なぜそれが可愛いに繋がるのか理解不能です。思考回路の改変を行いますか?》


「うわ!急に怖いこと言わないでよ!」


 クレアは必死の照れ隠しをし、誤魔化すことに成功した。
















「そろそろ本格的に能力を鍛えたいな。よし、クレア!修行の効率が最適な方法教えて!」


《―――はい、まずは―――――》







 こうしてアークの修羅のような修行が幕を開ける。

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