三冬 ~セレナーデ~
バレないつもりだった。バレてないつもりだった。
まず誰にも会わないだろう場所を選んでいたはずだし、行きも帰りもお互い別行動。ふたりでいた時間はどんなに多く見積もっても多分、一時間もない。食べてる時以外はマスクにマフラー、顔の下半分は隠れてた。電車の中では帽子だって被った。だから運悪く誰かに見られても気付かれるだなんてこと、正直、考えてもいなかったのだ。
それなのに。
「この前の土曜日さぁ。偶然見ちまったんだけどさぁ。何、あれ。マジ驚いたんだけど」
月曜日の昼休み。にやにや笑いながらタケダに声高に話しかけたのは、同じクラスのナカイだった。
その声はたしかに耳に届いていたけれど、話の中身までは聞いてなくって、「大きい声だな」くらいにしか思っていなかったのだ。それがいきなり
「相手はたしか、三村、だったよなあ、おい」
自分の名前だけがいやにはっきりと聞こえた。一瞬で体中が、かっ、と熱くなる。
「何の話? 分っかんねぇな」
タケダの声はへらへらと掴みどころなく笑っている。
「しらばっくれてもムダ。あんな所にふたりで行くなんて、デート以外あり得ないだろ? おまえら一体いつから付き合ってたのかよ」
「あんな所って、どこだよそれ」
「わざわざオレに言わせる訳? いい趣味だな、おまえ。〇〇モール。あそこの1階で仲良くなんか食ってる所、見たんだぞ?」
「おまえこそどうしてそんな所、行くんだよ? それこそデートなんじゃねーの?」
「オレ? オレらは試合。帰りがけ、ユウヤとふたりで飯食いに寄っただけ」
ナカイは硬式テニス部だ。硬式テニス部は割と遠くの学校にまで練習試合に出向くと聞いたことがある。顧問の顔が広いらしい。
「へー」
「へー、ってそれ、ごまかしてるつもりかよ」
タケダ相手では埒が明かないと思ったのか、にやにや笑いのままナカイの矛先がこっちに向かう。
「三村さーん。タケダのどこが気に入ったんですかー? 全然タイプ違うように見えるんですけどー?」
クラス中に響く、茶化した声。一気に視線が集まって、体が串刺しになったみたいだ。動けない。話せない。
「あー、やめてー。オレらマジそんなんじゃないからー」
タケダの声がゆるく止めに入るのがやけに遠くに聞こえた。
「よく言うよ。だったら何なんだよ、あれは」
「だからさー、勘弁してよー。プライベートなんで、これ以上立ち入らないでくださーい。お願いしまーす」
タケダのおふざけ口調にナカイは諦めるどころか一層、悪ノリしたようで、
「隠すなって。見ちまったもんは聞くっきゃないっしょ」
いや、マジで、と教科書を丸めてマイクみたいにして私の顔の前までわざわざ突きつけにきた。
「で、タケダのこと、どこが好きなんですか?」
「いい加減にしろよ」
急にいつもの口調に戻ったタケダが、私とナカイとの間に割って入る。
「しつこいよおまえ」
「んだよ、いいじゃん別に」
「そういうのガキ臭えからやめとけって」
「何、おまえ、王子様かよ」
ひゅーうっ、と口笛を吹くナカイに向かって、
「だったらカッコよかったんだけどな」
肩をすくめて言ってから、タケダは私の耳元に早口で囁いた。
「いいか? 今度は間違えないから、おまえも間違えるなよ?」
何のことかと思う間もなく、タケダは続けた。
「好きだ」
低い低い声だった。低すぎてよく聞き取れないくらいだった。それでも私の耳にタケダの言葉はたしかに届いた。
その声は私以外、誰にも聞かれなかったはずだ。多分、ルカにも。
ルカはいつの間にかナカイの前にすっ飛んできていて、よく通る声で言い放った。
「『そんなんじゃない』ってタケダ言ってんのにあんまりしつこくない? そういうのイタ過ぎて皆、引くよ? だいたい、無神経に詮索してくるヤツ、女子は嫌いなんだからね?」
さすがにルカには何も言い返せず、ナカイは尻尾を巻いておとなしく退散していく。
その隙に私は、タケダにだけ届くような声でそっと、丁寧に、言葉を返した。ありったけの気持ちを目に込めて。
「ありがとう。大嫌い、だよ」
タケダの目が細く笑っているのが私の目にくっきりと映った。
この週末までの約束だった私たちの契約は、その日を待たず、この時この瞬間をもって終了した。
タケダはそれから約束通り一度も私に近寄って来てはいない。
タケダと会わなくなったら、急に時間ができた気がする。図書館で過ごした時間は決して長かった訳ではないのに、やけにぽかんと大きな空白ができたように感じられるのが不思議だ。
ルカとミフユは何やらふたりで始めたらしい。図書館に行く必要が無くなった後も、ふたり仲良く通い続けている。そこに私が首を突っ込む気は毛頭なくて、その分、3人で過ごす時間は確実に減った。
夏に3人で海に行った時の絵は、いまだに未完成のままだ。水彩で描いたのを最後に放り出している。何かよっぽどのきっかけでもない限り、仕上げられる気がしない。描ききりたい気持ちだけはあるけれど、思ったように描けない。どうしたものだろう。悩む。
仕方がないから気分転換に工作めいたことを始めてみることにした。海から持ち帰った戦利品で何か作ろうと思い立ったのだ。
手始めに貝を使う。ありきたりだなあと思いつつ、ストラップ。アクセサリー。どこかで見たような感じのものしか出来なくって、自分で作ったくせにうんざりして、すぐに投げ出した。
気を取り直して、流木を手にする。何かに見立てて彫るのがいいかと思って、ひとつずつ全部、眺めてみた。けれども、ああ、これ、ってものが何も浮かばなくって、そのままの方がどれも素敵に見えて、結局、手をつける気になれなかった。
あとは、独り占めしたウニ。これこそ持て余し気味だ。だって、これを繋げて輪にしても、ぶら下げても、なんだか古墳時代の副葬品みたいにしか見えてこないのだもの。碁板に並べるとボードゲームみたいにもオブジェっぽくも見えるけど、だからどうした、としか思えない。
どうも想像力が枯渇しているような気がする。何を作ってもダメな気がする。下手に手をかけようものならせっかくの戦利品が全てただのガラクタに化けそうで、怖くて手を付けられない。全然気分転換になっていない。お手上げだ。
うまくいかない時というのはこんな感じで何をやってもダメなんだろうか。
ため息まじり、手慰みに、あの時と同じようにウニを縦に積み重ねた。一番下に一番大きいのを、そこから順に少しずつ小さくしていき、緩やかなピラミッド状に積む。大きさも模様も違うウニを、全体としてみた時にきれいに見えるよう積んでいくのは、意外と頭と神経を使う。それでも作業自体が楽しくて没頭した。それなりの時間をかけた末に、細長いウニの塔がひとつ、出来上がった。
『作った』、なんて言えるような代物じゃあ、ない。何も考えずにただ積むだけなら、1分かそこらでできるような類のものだ。それなのに、ちょっとだけ嬉しくなった。あの夏の海からわずかながら風が吹いてきたみたいな気がしたから。微風に後押しされたみたいに、全部のウニを使って同じような塔をあと2本、作った。3本どれもが思った以上にバランス良くきれいに仕上がった。
嬉しい。崩すのが惜しい程度には、嬉しい。では、崩さないでおくなら、どうすればいい? 思うと同時に、あ、と閃く。
あの流木。ミフユが気に入っていた、一番小ぶりな流木。あれを台座にして、その上にこのウニの塔を据えるのはどうだろう、と。我ながらいい考えに思えた。これはすぐに実行しなければ。
作りはとにかくシンプルにしよう。ウニと流木だけが見えるように。
まず、流木の真ん中にキリで穴を空ける。穴に棒を刺して真っ直ぐに立てて固定する。棒を軸としてウニの穴に通し、塔を作る。棒には、焼き鳥などに使う竹串を台所で見つけた。試してみたら太さも長さもお誂え向きにぴったりだった。なんて素晴らしい。台所でひとりほくそ笑む。
早速、流木に空けた穴に接着剤を流し込み、竹串を刺す。しっかりと固定されるまで、そのまま放置しておく。
ミフユお気に入りの流木と同じくらいのサイズになるよう、別の流木をノコギリで切ってふたつ作った。このふたつにも同様に竹串を立てる。
流木を見つめているうちに、流木を嬉しげに乗せていたミフユの手が、波に浮かぶ筏のようにひらりと目の前に浮かび上がる。
ミフユの手は、白くて細くて長かった。
手のひらは男の子らしく大きくて、それ以上に指が長かった。関節がごつごつとしてなくて、すううっと真っ直ぐに伸びた指。指先の爪は、細長い四角に丁寧に切り揃えられている。色は、桜貝みたいなきれいなピンク。
その指が、鍵盤の上をダンスを踊るようにしなやかに流れるのを見ると、いつだって胸の鼓動が早くなる。ミフユの指の動きに合わせるように私の心が跳ねて、回って、舞い上がる。
放課後に、初めて、ルカと一緒にミフユを迎えに音楽室まで行ったのは、3人で一緒にいるようになって割とすぐ。7月になったかならないかあたり。
音楽室の扉を開けると誰の姿も見えなくって、ルカが「あれ?」と声を上げた。
「ミフユ?」
空っぽの音楽室に、ルカの声が頼りなげに響く。
「ルカ? いるよ? ここ、ここだよ?」
アップライトピアノの影からミフユがひょっこり顔だけ出した。ピアノの横に小さい子供みたいに座っていたらしい。
「わ。何でそんな所に隠れてたの?」
ぱっ、と声が明るくなったかと思うと、ルカはミフユの元に駆け寄った。
「他のひとたちは?」
「今日はもう先に帰ったよ」
「練習終わるの早かったの? ごめん。もしかして待たせてた?」
「ううん。大丈夫。曲、考えてたからちょうど良かったんだ」
「なら、誰ももういないんだったら、ねぇ、せっかくだから何か好きな曲、弾いてよ?」
とびっきりの笑顔を浮かべるルカ。
「好きな曲、って誰の? ルカの? ナツさんの? それともぼくの?」
「えー? それはもう、全部!」
「ちょっとそれ、欲張り過ぎなんじゃない?」
ミフユが含み笑いする。
「いいじゃない。こんな機会ってなかなかないもん」
ね? とルカが私を振り返った。
「そうだね、ミフユのピアノって私まだ聴いたことないから」
噂になった文化祭のステージに、私は居合わせていなかった。
「あれ? そうでしたっけ? ぼく、まだ、弾いてませんでしたっけ?」
ミフユの目がまん丸くなる。
「ないよ。残念ながら」
私の言葉に、ルカが人差し指を一本、立てた。
「じゃあ、今日のリクエスト一番手は、ナツに譲ってあげる」
って、急に言われても困る。
お互いが知っていて、ぱっ、とすぐに弾けるような都合のいい曲、そんなに簡単に浮かぶものでもないと思うんだけど。
「そう言われても、ねえ?」
苦笑いを浮かべると、ミフユが「ねえ?」同じように笑い返しながら、
「でも、簡単な曲でしたら大丈夫です」
今は検索すればスコアが出るのって結構、ありますし。そう言ってスマホを取り出した。
「それにミフユって、ほんと色んな曲、よく知ってるんだよ?」
ルカが横で自分のことのように自慢気な顔をしている。
「そうは言っても、やっぱりすぐには思いつかないから、ミフユの好きな曲とか得意な曲とか、とにかく今日は、お任せでお願い」
リクエストは考えておくから、次回の宿題にさせて?
笑って頼むと、ミフユも笑って応えてくれた。
「あんまり難しい宿題は、無しですよ?」と言って。
そうしてすぐにミフユが弾き始めたのは、聴いたことのある曲だった。
小さいけれど、静かで優しくて、心に柔らかく響く音。丁寧に、丁寧に、1音もおろそかにしないで紡いでいく。ミフユの指が、慈しむように優しく鍵盤を抱きしめる。
息をするのも控えるようにして、見て、そして聴いていた。横にいるルカも、身じろぎひとつしない。
音とミフユの手とが静かに止まって、数秒後。息を大きく吐き出してから、そっと手を叩いた。
「ありがとう。良かった。すっごく好き。なんて曲?」
「シューベルトのセレナーデです。小学生でも弾けるような易しい曲ですけど、好きなんです。実はこの曲、ドイツ語の歌詞もあるんです」
そのうち覚えて、弾きながら歌いたいって思ってるんですけど。そう言ってはにかむミフユの顔は、とてもきれいだ。思わず見つめていると、ルカが甘えたような口ぶりで、ミフユにねだった。
「じゃあ、今度は私の番。いつもの曲」
「はいはい。いつものですね?」
ミフユは慣れた様子でさらりと受け止め、椅子に座り直して姿勢を正し、深呼吸をひとつ。
軽く目を瞑ってひと呼吸置いてから弾き始めた、ルカのリクエスト。
こちらは、私でもすぐに曲名が分かるほど有名過ぎる曲だった。パッヘルベルのカノン。
ただし、さっきのシューベルトとはがらりと趣を変えて、ミフユはこのメジャーな曲をアレンジしまくって弾いた。装飾を入れ、テンポを変え、ちょっと楽しげに声を大きくして歌ったかと思えば、内緒話をするように小声になったり。軽やかにヒールでステップを踏んだあとに、スニーカーでスキップしながら走ってみたりもする。変幻自在。音色も、リズムも、テンポも、何もかもが自由だ。
「ね? 楽しいよね? ミフユのピアノ」
ルカの言葉に、私は黙って頷く。こんなに自由気ままにピアノを奏でられたら楽しいだろうな、と思った。こんなに自由に弾いていいんだ、とも思った。
どこにもない、初めて聴くカノンだった。
結局、私は、ミフユのピアノに一目惚れならぬ、一聴き惚れ、してしまった。
もちろん、聴きたいと思っても、ルカみたいに正面切って「弾いて?」とは言い出せない。その代わり、たいていいつもミフユの方から聞いてくれる。
「何か弾きますか?」と。
大体はルカのことをふたりで待っている時。私たちは始終、ふたりしてルカを待っている。ありがたいことに、弾いてもらう機会はだから決して少なくはないのだ。
そういう時、私はミフユの顔は見ない。ただ「うん」と言うだけ。それで十分。
始めのうち、ミフユはいつも
「何がいいですか?」
とリクエストを聞いてくれていた。その度に
「まだ、宿題、できてないんだ」
と答えていたら、いつしか聞かれなくなった。
今ではミフユはただ黙ってピアノに向かう。毎回、違う曲を1曲は弾いてくれる。弾く前にはひと言、曲名と作曲者名を言ってくれる。私は頷いて、ピアノを弾くミフユの椅子に背中を預け、足を投げ出したまま床に座って聴く。
あんまりミフユのピアノが好き過ぎるから、弾いている所は見ないことにしたのだった。ミフユの指は見ないで、目を瞑ってその動きを思い描く。指が動くのを側で見ていいのは、ルカだけだ。誰に言われた訳でもない。勝手に自分でそう決めた。
ミフユのピアノが流れている間、ミフユの指は私の中で、いつも優雅にひらひらと踊っている。初めて見た時からその姿を更新しないまま、美しい指が美しく舞い続けている。
接着剤が固まってくるのを待っている間に、宙に舞うミフユの手を目で追っていた。唐突にミフユの手が消えて、代わりに眼の前の自分の手に視線が落ちる。
女子にしては大きめで、繊細さのかけらも感じられない、節の目立つ手。インドアばかりの割にはあまり白くない、丸い爪が野暮ったい手。誰の手とも繋がっていない、行き止まりの手。
ため息をひとつ、つく。
そろそろ、ウニの塔を仕上げようか。
机の脇の引き出しから、きれいにラッピングされた小袋をひとつ取り出す。シールを丁寧に剥がして、封を開けた。中からは、ヤマナシのマステ。
当たり前と言えば当たり前のことだけど、ウニに開いた穴の大きさはウニの大きさに比例する。ウニが大きいものほど穴も大きくて、小さいウニは穴も小さい。串の太さは小さいウニの穴のサイズを基準にしているから、大きいウニの穴と竹串の間には必要以上の隙間ができる。それが実はちょっと気になっていた。塔の下の方だけかたかたとウニが動いてしまって、収まりが悪いのだ。
大きいウニの所だけ竹串を太くできないかと考えて、例えば紙粘土を使うことも思いついたけれど、それだけのために買うほどのものでもないかと思った。大きい穴に合わせた太さのヒゴを買ってきて細い方を削る手もあるけれど、手がかかりすぎる。他に何か、と考えた時に浮かんだのがテープ類。セロファンテープやメンディングテープなどを軸に巻けばいいのでは、と思い付いた。
試しにやってみたら、微調整がききやすく、家に必ずあるしで、悪くなかった。ただしセロファンテープは経年劣化するから、万一、ウニが外れて人目にさらされた時は美しくない。滑りも悪い。メンディングテープも見栄えするとは言いがたい。
要は、見えない所にまでこだわりたいのだ。というよりは、密かな楽しみ。自己満足。ヤマナシのマステを初めて使うのに、これほどぴったりのものはないと思ったのだった。
まず、マステを竹串の長さに切り揃える。切ったマステは、机の端に留めておく。10本ほど切った所で、竹串の下から1枚ずつそっと巻いていく。下の方を厚く重ね、少しずつ重ねる分量を減らしつつ、竹串の上に伸ばしていく。
1本マステを巻く度に、ウニを実際に通してみて、隙間の埋め具合を調整した。マステのいい所は、貼ったり剥がしたりが容易なこと。何度も繰り返して、ガタつかない、でも、きちきちにならない状態になるようマステを貼り重ねて、仕上げた。
一体、何匹のカニ、何個のヤマナシが、竹串の回りに隠されていることだろう。カニが、ヤマナシが、くるくると幾重にも竹串に重なっている。カニとヤマナシの吹く泡がくぷくぷと湧き上がり、ウニの塔の中に充満している気がする。
3本のウニの塔、全部に、ヤマナシのマステを使った。1本だけ、タケダにもらったハイビスカス柄を巻いてみようかと取り出してみたけれど、似合わない気がして止めた。しばらくハイビスカスのピンクを眺めたあと、そのまま引き出しに戻した。
使った竹串の長さは、15cm。容器に書いてあった。調べてみると、15cmもしくは18cmが竹串のデフォルトらしい。知らなかった。
机の端に貼り付けたマステが1枚だけ残った。暖房の風でひらひらと揺れている。机から剥がして、手のひらの内側に貼ってみた。大きく開いた手の中で、マステは少しの余白を残してすっぽりと収まった。親指から小指まで、余白は5cmはないだろう。マステを貼ったまま、窓に向かって手のひらをかざしてみる。ミフユの手と一緒に踊り出したりはしなかった。
ウニの塔を作っている間中、ミフユの弾く曲が頭の中でずっと流れ続けていた。
シューベルトのセレナーデ。初めてミフユに弾いてもらった曲。
歌詞は後から調べた。
この曲はいつかミフユの歌声と一緒に聴きたい。そう思いながら、ピアノの音に耳を傾けている。
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