ss 樹&星奈のお忍びデート


※この話は、第3章の#22を読んだ後に読んだ方が面白いと思います。



________________________________________



「おい!ちょっと待てって!」


「魔法師なら加速魔法でも使って追い付いてきなよ、樹。」


「ちっ、しゃ~ね~な加速魔法<加速アクセス>」


護衛任務開始から5日


結構打ち解けてきた俺たちは、近くのデパートに正体を隠したまま遊びに行くことになった。

もちろん結人達みたいにラブラブってわけじゃない、それにそんな予定などない。

昨日は仕事が終わった後、星奈の部屋で彼女の作った夕食を食べていた。その時にやった賭けポーカーを負けた、罰ゲームとして荷物持ちを任されたのだ。

こいつは何故かポーカーが強い、もしかしたらあの超人たちといい勝負かもしれない。


今日は週に一度の休みの日らしく、俺たちはお忍びで遊びに出かける事になってしまった。


彼女は、青いワンピースに白い帽子、彼女の美貌が合わさって、とてもよく似合っている。

金髪のアイドルモードでないため、恐らく周りの人間には気づかれないだろう。


俺は彼女の後を追う。

どうやら最近発売されたパイナップルジュースが飲みたかったらしく、売店に並ぶ。

俺いらねーじゃんとは言わない。


「いやー美味しい〜!!!」


「ハイハイ、良かったな。」


俺は自分が頼んだオレンジジュースを口にする。

こんな所でジュースなんて買った事は無かったが意外と美味しい。

ちなみに、結人はいちご、咲夜はぶどうが好きだ。何故かは知らんが・・・


そんな事を考えながら、ジュースを堪能していると、聖奈が物欲しそうにこちらを見つめてきた。


「なんだ?」


「ねぇ、交換しない?」


「確かにそっちのパイナップルジュースも飲んでみたいとは思うがいいのか?」


「あんたがしたいならしてあげてもいいよ。」


「あぁ、じゃあ頼む。」


「え?!!!」


この時、樹は彼女の意図に気づいていなかった。

と言うよりも、全く気にしていなかったため、聖奈だけがダメージをもろにくらう。


「おい、大丈夫か?」


「え、えぇ、大丈夫よ。じゃあその・・・交換、する?」


聖奈は上目遣いをしながら、頼むように樹を見つめる。

その瞳は樹の心をグッと掴んだ。


2人は違う意味でドキドキが止まら無かった。


「ほらよ、するならさっさとするぞ。」


「あ、うん・・・えへへ、美味しい・・・」


「こいつ!」


星奈はジュースを飲みながらチラチラと樹を見る。

永遠に飲んでいられたいいのに・・・

ふと、そんな事考えてしまう。


樹は恥ずかしそうに、違う方向を向いている。


やがて、飲み終わると樹は2人分のゴミを捨てに行った。


「全く・・・ふとした時に可愛くなるのほんと反則だろ・・・それにしてもこの忙しいのも明後日で終わりか・・・」


思わずそんな事を呟いてしまう。ゴミを捨て、待ち合わせ場所に戻ると、星奈はほっぺたを膨らませて不満そうな顔をしていた。


「お~そ~い~。」


「いやいや、そんなに時間かかっていないだろ。」


「ナンパされたらどうすんのさ~」


「お前この俺を誰だと思ってんだよ。銃とかは流石に置いてきているが、流石に不良には負けんわ。」


ちょっとでも先程の笑顔を可愛いと思った俺を恨む。

毎回思うがこいつは少し俺の事をなめすぎだと思う。

そこで置いていくことにする。


「ほら、さっさと次行くぞ。」


「ちょっと~待ってよ~」



2人は知らない、2日後、付き合うどころか一夜を共にするなど・・・



________________________________________



イチャイチャ回は大切。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る