お目覚め ハルも一緒
『……僕、ユウに拒絶されたら、出ていくよ』
それは三人で入り交じり、気絶するようにユウが眠りについた後、体を拭くなどのすべてが終わり、ケイも眠りにつこうとしていた時であった。
ハルが、そう呟いたのである。
『……そっか』
『それまで一緒に寝させてほしい、今日で最後かもだし』
月明りで煌めく金色の髪と豊満な乳を揺らしながら、小さく笑うハル。
いつもならエロいなと思考するケイの頭も、その物悲しげな表情を浮かべるハルの顔を見て何も言えなくなった。
『……じゃあ、おやすみ、ケイ』
『ああ……おやすみ』
最後じゃない。
きっとそうだと自分を誤魔化しながら、ケイは眠りについた。
永遠にこの日が続きますように。
ハルはそう祈りながら、しかし叶わないであろうその夢のような夢を思い、眠りについた。
〇
「僕の覚悟を返してほしいな」
ハルのお目覚め一番の一言はそれであった。
目を覚ませば、再び乱れあっている親友二人の姿を見れば、そんな言葉が出てきても仕方がない。
ばつが悪そうな顔をするケイと、ハルの言葉に困惑するユウ。
「……ずるいよ二人とも」
漏れ出るため息と本音。
昨日の覚悟を全部台無しにされたハルは、もはや泣きそうなものでもあった。
嫌われて、拒絶されて、二度と会えないかもしれない、そんな身勝手な恐怖を胸に秘めて眠っていた自分をあざ笑うかのように、Hなことしていた二人。
のけ者にされたような気分が、下腹部からじんわりと、切ない熱と共に湧いて出てくる。
「ねえ、ユウ」
「な、なに?」
「僕のこと、嫌いになってない?」
「……ならないよ。ハルも、ケイも、ずっと親友だ。今さっき、本当にそう思えた」
それは。
ケイと交わったからじゃないのか。
そんな言葉をぐっと胸にこらえて、ハルはゆっくりとユウににじり寄る。妖艶さが一段と磨きかかった身のよじらせ方に思わず二人ともくぎ付けになっていた。
そうして、ユウの手を取り、自身の放漫な胸を触らせる。
「信じさせて」
「え?」
「ユウの、その言葉が、本当かどうか。身勝手かもしれないけど、お願い……ユウ、僕を安心させて……体で、言葉で、ココで」
ユウの手を滑らせて、下腹部の最も熱と粘液を帯びた場所へと、誘導させる。
「……うあ、あ」
耳まで真っ赤になるほどユウは、その意味を理解する。
隣にいたケイですら、その大胆さと妖艶さに、興奮が抑えきれそうになかった。
「……ハル」
「ケイも、ね?」
そういってケイの手を取り、口でやさしく舐り始める。つま先から、関節、複数の指ごと、まるでかつて持っていたモノを慰めるように、激しく舐り続ける。
「ハ、ハル、待って、ちょっと」
「まはない」
咥えながらの返答に、ケイは手を引っ込めることも、目をそらすこともできず、指を舐られ続け、劣情に火がくべられていく。
ようやく止まった口内の乱れっぷりはケイのスイッチを入れるのに充分であった。
ユウもまた、見たことないほどに興奮し、可愛らしく息を荒くしている。
「じゃあ……はじめよっか」
二人に向けて、ゆっくりと足を広げ、妖艶にほほ笑むハル。
〇
そこから先のことは、三人ともよく覚えていない。
気が付けば、朝であったはずのその日は、すでに暮れていた。
三人は、仲良く川の字で、身を寄せ合い眠りについている。
そのどれもが、みな。
微笑むように穏やかであった。
そして三人は知らない。
宿泊代の料金が、大変なことになっていることを。
今は、まだ、知らない。
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