転生したら大変だし、親友たちと一緒にTSするし、告白されるし、襲われた異世界生活

雨のモノカキ

お目覚め ケイと一緒

 体がだるい。

 こんなに疲れたのは、いつ頃だろう。

 大好きなゲームの新作を夜更かしして遊び続けた時だろうか。

 課題が終わらなくて徹夜を幾度も繰り返したときだろうか。

 誰かの仕事のミスをひたすら処理する毎日の時だろうか。

 いや、きっと、それらよりも、一番、疲れている。

 動かしたくない。

 何もしたくない。

 このまま、泥のように、眠り続けたい。


「……んっ」


 素肌に毛布が擦れて、声が漏れ出た。

 ここまで、俺の体は敏感だっただろうか。

 裸、だからだろうか。

 それとも。

 昨日の、アレのせいだろうか。

 思い出すは親友たちの淫靡な笑顔と手先。賛美と加虐が入り混じる口。瞬く間に苛め抜かれて、幾度も気を失っては引き戻される。

 愛している、ずっと好きだった、もう我慢できない、お前が悪い、俺たちを受け止めてほしい。ベッドの上で何度も聞いた告白と告白。

 あいつらは、俺のことを、男の時から好きだったらしい。

 俺は、全然気が付かなかった。やたらと肉体的なスキンシップが多かったのも、今思えばそういうことだったのだろう。冷静に考えたら全然我慢できてねえな、おい。

 余裕で尻を揉んできたし、乳首もいじってくるし、耳もかじってくるわ、隙あれば股間こすりつけてくるわ、なんで俺甘んじてたんだよ。親友といえど限度あるわ。

 ただ。

 そういうことを、本気で嫌がっていなかった俺も悪かったのかな。

 あの時の俺は間違いなく親友同士のスキンシップだって、本気で信じていたし。


「……そりゃ、あいつらも、そういう気持ちが高まる……か?」

「そうだ、ようやくわかったな」

「悪い……って、おま」

「おはよう、ユウ。気持ち良すぎたかな?」


 川の字で寝ていた俺は真ん中で、その左側で寝ていた長身銀髪褐色赤目三白眼美女ことケイが、にやけづらで俺の顔を覗き込んでいた。

 思わず毛布で身を隠そうとするが、引っぺがされてしまった。


「隠すなよ、お前の体、すごい奇麗なのに」

「おまっ、ばかざけんな!見えるだろ!」

「いいだろ?さんざん見せ合った仲じゃないか」

「……っ!」

「怒るな照れるな」

「照れてねえ!キレてんだよ!」

「へえ、じゃあどうすんだ?オレに殴りかかってくるか?」


 くいくい、と手招きする指に、思わずびくりとしてしまう自分が嫌になる。正直なところ殴れるのなら殴りたいが、恐らくそんなことしても届かないし、なにかそれをきっかけにナニかをされそうなので、仕方ないが諦めた。

 それに、親友に、そんなことはできない。


「うっ……そ、そんなこと、しねえよ……親友だし……」

「…………」

「な、なんだよ」

「いんや、お前、本当に良い奴だなぁ、って」

「は、はあ?」


 少し呆れ気味に、しかし、どこか嬉しそうにケイは言葉を続ける。


「普通さ、親友だからって貞操奪われたら絶交したり、縁切ったり、もっと罵倒とかするもんなの、たぶんな。で、お前は、それをオレ等に『親友だから』っていう理由で、そういうことはしない。すごいことだと思うよ」

「…………?」

「え、なに、わかってないのユウ?」

「お、おう……いや、別に、嫌じゃなかったし……そりゃ、はじめは怖かったけど、ケイとハルだ、って思ったら、なんか悪くないかなぁ……って、おかしいかな」

「おかしい」

「ええ!?」

「物事には限度がある。それで、正直なところ、オレは、お前に罵声浴びせられたり、縁切られたり、絶交されたりする覚悟があったんだよ。オレ等は、それくらいのことをお前にしたんだよ」

「…………?」

「うっそだろお前!そんなにアンポンタンだったか!ハルだって理解してるぞ!?」

「え、え、え?なんかダメなの?」

「いや……もう、大丈夫。やっぱりお前好きになってよかったわ」

「?」

「なあ、ハルが起きる前に、さ」

「え、あ、ちょ」


 そういってケイは流れるように俺へと覆いかぶさった。逃げようにもわざと重みをかけて、逃がさないようにしてくる。ケイの大きな胸の先が、自分の小ぶりな胸の先と重なり合って、擦れて潰れて妙に気持ちがいい。


「もうちょっと気持ちよくなろうぜ……ユウ」


 ハルが目覚めるまで、あと数時間後……

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