サボり魔娘と×××
第7話
「フィロ、おーいサボるの大好きフィロちゃんってば!! アンタまた、マスターに怒られる事したでしょ?」
「いきなりどうしたの、キャメル? うわっ……ちょっと、その話は止めてよね」
金の髪を可愛くポニーテールにした、胸元ぱっくりあけたセクシー女優のような見た目のキャメルに、フィロはうげぇっと言うような、嫌そうな顔をしてそう答えるので。
そんないかにも『その話題だけは、聞かないで』という反応を見せたフィロに、にやにやと意地悪な笑みを浮かべて……。
「えっ──どうしようかな? だって、アンタが発電所の一番大事なところに、ドジして大きな風穴開けちゃったから。今とっても、節電生活だから……。なんで、そんなドジしちゃったのって、聞きたくなっちゃうのよね」
「うっ……それは、ほんと……ごめんなさい。でも、ちゃんと変わりになるように、アジュと一緒に、新しいの作ったから。それで我慢して欲しい」
「まあ、そうね……。前よりかは、ちょっと劣るというか前みたいに供給量はないけど。どれだけつかっても、タダだし……。許してあげるわ」
キャメルは謎の上から目線で、そうフィロに言い放ちながらも、自分のやらかしを反省して落ち込んでいる彼女を慰めるように。ぎゅっと、自分の胸に優しく押しつけるので……。
「わっ……ちょっと、な、何? そんなにぎゅっとしなくても……」と、フィロが言い終える前に。
「私のフィロから、離れろ!! この害悪生物!! というかフィロたん、胸に飛び込みたいのなら、この私の胸に来てよ」と、ぶち切れた声で言い放つアジュラトの言葉に、全てかき消されてしまったので……。
「出たな、フィロ過激派!! まったく……そんなに怒らなくても、フィロは減らないわよ」
「いや、減るから……。さっさと離れろ、フィロたんを汚すな、あと胸もみせるな!!」
「アジュ、もう……ちょっとやめてよ。そんな事言ったら、ダメなんだから」
フィロはそう、二人のどうしようもない言い争いを、制止する為に。
珍しく語気を荒げて、言い放てば……。
争っていた二人は、お互いの顔を見合わせてから。
すぐさま、止めるように……。
キャメルはフィロを胸から離して、アジュラトは怒っていた表情を止めて、フィロに、にこやかな笑みを向けて、こう答える。
「わかった……フィロが、そこまで言うのなら」
「うん、そうしてくれてありがとう。アジュもキャメルもね」
「ありがとうだなんて、言わなくても良いよ。君を愛してる者としての勤めを、果たしただけだがら……って、そんな事は置いといて」
アジュラトはさっきの話なんか、まるでなかったようなテンションで、そう言いながらフィロの目をじっと見つめるので……。
フィロは『また、始まったな……』と少し警戒心を抱きながらも、おだやかな笑みを見せて、こう返す。
「でたでた、アジュラトの怪しいお誘い。今日は一体何をするのかな……?」
と、そんな事は置いといての後に続く言葉を、先読みするように、そう言い返すと。そんな返しを、まさかされるとは、思って居なかったアジュラトは……。
「……ちょっと、私が言う前に予測して、言わないでよ。なんだが、少し恥ずかしいな……でも、すごく嬉しい。君と私が理解しあえたみたいで」
「あははは、そうかな……って、そんな事より、本題はなに?」
「嗚呼そうだね、ついつい無駄話して、可愛いフィロを困らせたかったけど……。それよりも、大事な事だからね……」と勿体ぶるようにアジュラトはそう言ってから。いっきにテンションが、変わるレベルのまじめな表情と声音で。
「そう、すごく大事なお話。君の部屋……しばらくの間。入ることが出来ない状態になったから、一週間この私とホテル暮らしに、なりました。だから、よろしくね。ああ……でも心配しないでね、フィロの服とかは、もうホテルに準備してるから。君はその身だけで来てくれたら、いいからね」
「はい!! えっ……ちょっと、それめちゃくちゃ大事な話じゃない!? と、というか私の部屋に何があったの……?」
「……さあ、何があったんだろうね? こればかりは、私も知らないから、なんとも言えないけどさ。たまには二人だけで、ホテル暮らしも……。最高だと、思うよ?」
「アジュはそうだろうね……!! 嗚呼、もう……やっぱり、こうなったわ。まあでも……」
フィロはそうちょっと泣きそうな表情を、見せながらも、どこかそれを楽しみかのような声音で、答えつつ……。
胸の中だけで、こう呟く。
『……アジュと一緒に居ると楽しいから。二人だけのホテル暮らしも、悪くはないかも……。エッチな事だけには、ならなければね』
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