第3話


「私はお前は趣味じゃないんだけど……。そんなどうでもいい話よりも、このタイミングで来てくれて感謝だけはしよう。人間共が来る前に、この発電所の動力源にさせられてる……大事な仲間達を楽に助けれそうだ」


「はい、そうですね。今回は上手くいけそうですわ。貴女様もいますし」


「当然だ。いや、違うな……何があっても上手くやらないとね。ほんと、何がこの国には、奴隷なんかいない。みんな平等だとか、ふざけやがって……我々魔族をインフラの為の資源にしてるくせに笑える」


 アジュラトは笑い話のようなノリで、恨み辛みを言い放つので。


 女悪魔は苦笑いをしながらも、配下として

彼女の役に……いや、正確に言えば捕らえられている魔族たちの為に。


 自分の方に人間を集める為に、発電所の隣にある小さな工場群に火を放つように。


 テニスボールサイズの火の玉を、数個作り出して。



 次々と、工場の窓に向けて放り込めば。


がしゃりがしゃりと硝子が割れる音と同時に、火が上がるので。


 アジュラトは、横目でそれを確認してから。


「……火遊びするなら、もっと派手にやらないと」


 そう笑いながら言い放ち、片手を天に向けて上げれば。


 さっきよりも強い炎が、工場を襲うので。


 自分なんかよりも、さらに何倍も威力のある炎を見せられた女悪魔は。


 子供のように、はしゃいだテンションで。


「流石ですわ、これはさらに頑張らなくてはいけませんわ!」と言って、さっきよりも沢山炎を放つので。


 アジュラトはそれを見てから、施設に捕らえ魔族達を人間から救うべく、フィロが向かった先へと自分も向かいながらこう呟く。


「あと、少しだけ待っていてね。必ず仲間は助けるさ。でも、裏切り者は別……今回は何人出てくるのかな? 同胞を売った恩知らずは」と、ゲームを楽しむかのように。


 いや違う、狩を楽しむ捕食者のように……。


 ──彼女はそう冷たく笑う、悪魔よりも悪意に満ち溢れた人間が支配する国ロベリアをむちゃくちゃにする為に。


 勝利の笑みを、浮かべるのだ……。








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