第5話
税務課の端末で滞納状況確認。滞納者は飛騨乃ジンだけではない。他市や他県、国外に転出した人で住民税を滞納している人は多い。
作業中、係長に呼ばれた。
「小野君、ちょっと応接室に来てくれるか」
嫌な予感がしたが、やっぱり昨日の件だった。
「小野くんは、飛騨乃さんの娘さんと仲がいいんだっけ」
「別にやましいことはありません」
「そこは信用してるんだけど、君の部屋からアヤミちゃんが出てきたと目撃情報があって。狭い町内だから気を付けたほうがいいかなと」
「うちの母ですね?」
「誰とは、言えないんだけど」
「うちの母、暇過ぎて僕の部屋を監視してるんですよ」
「財務局長の奥さんの話となると無視は出来なくて。結婚させたいらしいね」
「見合いなら一回断られてます」
「アヤミちゃんが18歳になるまで待てばいい」
「ですから何でもない仲です」
「あのコ、県立高校に入ったはいいが今不登校状態なんだよ。理由は知らないがね」
「ああ、だからいつも家にいるのか。彼女は飛騨乃さんは国税局にも滞納があるようなことを言ってましたが」
「そんな話は聞いたことが無い。何かの間違いだろう」
退勤後、僕は飛騨乃ジン経営の喫茶店『エデン』に向かった。
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