第3話
アヤミは散らかった床も気にかけず、ベッドの上に腰掛けていた。
「さっきはどうやって部屋の中に入ったのかな?」
「小野さん、アイスキャンディーとソフトクリームとどっちが好き?」
僕の質問を断固無視する未成年女子。どう対応していいのか分からない。
「アヤミちゃん、好きなほう選んでいいよ」
コンビニの袋を彼女に向けて差し出す。
「やさしいんだね」それまでポーカーフェイスだった彼女は顔をほころばせ、ソフトクリームを選んだ。
「女の子をこの部屋に入れるのは君が初めてなんだ」
袋から出したアイスキャンディーを手にしたまま横に座って無心にソフトクリームを舐めているアヤミに語りかける。
「食べないと溶けて床に垂れちゃうよ」
指摘に従い素直にアイスキャンディーを頬張る。完全にアヤミのペース。僕が17歳の時7歳だったガキンチョに何を緊張しているんだと自分に言い聞かせていたら追い討ちが来た。
「やっぱアイスキャンディーも食べたい。一口頂戴」
ソフトクリームをこちらに突き出すアヤミ。年の割に子供っぽいコだな、意味分かってるのかとドキドキしつつ僕もアイスキャンディーの先端を彼女の口元に向ける。そして彼女は意味を分かっていた。
「間接キス」
「うん」
僕もアヤミのソフトクリームを舐めたから二重に間接キス。
「ママがね、女の子のソフトクリームの舐め方でエッチなことが分かるのよって言ってたけど男の人はどうなの?」
僕の顔をニヤニヤしつつ覗き込むアヤミ。
「よくわからないな......」かなり動揺。
「男同士では?」
「ま、ますます分からないな」動揺は更に激しくなりアイスキャンディーを大量にかじってしまった。
「お父さん国税局にも追われてるんだ」
「あれ、そうだったかな」
「正確には日本のじゃないよ」
「外国?」
「触ってくれたら教える」
いつの間にか目を潤ませ頬を赤らめたアヤミ。トレーナーの裾をまくり上げ、幼児体型の名残のある白い腹部を惜しげ無くさらした。
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