魔道星戦-星間戦争にパシリ三下が召喚されて勇者とか呼ばれてもマジ困るんよ。でも超強美少女に可愛い魔女、小悪魔性格の竜に囲まれちょい嬉しい

ハンターシーカーアルゴリズム

1話 プロローグ おいらは二連トラックに轢かれた。死んだ……のかなぁ?

 



おいらは台風の中、崖の上でちょう超絶荒れ狂う海を見ている。


「嵐の海って兄貴みてぇだなぁ」


 兄貴があぼんして数ヶ月、初めて下宿の3畳間から食事以外で外へ出た。

近所の餓鬼がおいらを臭いと泣いていた。正直スマンかった。


 兄貴は東日本の高校を纏めていた大不良、大番長だった。

 拳を振り回せば十人は吹き飛ばしてたなぁ。強かった。憧れた。


 おいらは四天王のその下辺りにいる、動きの素早い三下さ。

 仇名は『猿』格好良いだろう、兄貴に付けて貰った仇名だ。 


 兄貴の使いっ走りはおいらが任されていた。

 兄貴一の子分の自負はある。


 使いっ走りとはいえ、ジュースと饅頭買って来いって時には兄貴は倍額の金を放り投げて来た。買って来たら、ありがとよと拳を合わせてくれた。


 富士山麓での東西不良高校、数万人が激突した大喧嘩にも参加したぜ。

 乱戦だと素早さ生かせなくて速攻担架で運ばれたけど……一応それなりにはやれる……タイマンならね。



「ウジウジしてても兄貴は戻らねぇ。悩むなら前を向いて歩けと兄貴は言うだろうな」


 おいらは荒れる海に背を向け、道へ出て歩き始めた。前を向いて。


 と、後ろから来ていたトラックが急加速する爆音が後方から聞こえて来た。


「……! あらよっと」


 おいらは後ろを向くとひらりと猿の如くトラックの上まで飛び上がる。

 フロントガラスの向こうで短髪のおっさんが驚いた顔だ。

 おいらの仇名『猿』は伊達じゃないぜ。


 くるりと空中で一回転すると、着地しようと……


 更に後方から、物凄い勢いでもう一台トラックが来ていた!

 流石のおいらでも空中では回避は無理……


 二台目の大型トラックにおいらは撥ねられ、ボロ屑のように、道路沿いの崖に打ち付けられた。

 消え行く意識の中、そういえば兄貴はヤバい奴らと喧嘩になっていたなぁと思い出していた。


「畜生、生きてやろうと思った時にコレかよ」


 おいらは呟くと意識を手放した。






 …… …… ……





 遥か、遥か遠くまで続く白い霧の空間においらは浮かんでいた……

 おいらは死んだの……か


 意識がはっきりしない。

 遥か、遥か遠くの方で助けを求めるような声? 意思? を感じた。


 困ってる奴居たら助けるのは当然だろ……苛められてたおいらに兄貴は言った。

 ならば、おいらのやる事はひとつだけ。


 今にも切れそうな糸のような助けを求める声へ向け、おいらは懸命に動き出した。途轍もなく遠く、遥か向こうへ向けて。




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