第4話 錯綜する情報
ルート99へ着いたアルド達は誰もいない道をひたすら歩いて行くと瓦礫の後ろから何者かが現れた。
「お前だったのか、リ・ア=バルク!」
「随分と早かったなぁ、余程情報が欲しかったのか? クックッ…」
「それより、どうやって俺のケータイに!?」
「さぁ、なんでだろうなぁ? お前が聞きたいのはそれでいいんだな?」
リ・ア=バルクは煽るようにアルドへ返した。
「いや、違う! …お前の言っている、奴らの情報ってゆうのはラヴィアン達の事でいいんだな?」
「あぁ、そうさ。 奴からは何か聞けたのか?」
思いもよらぬリ・ア=バルクの行動に懐疑心を抱きつつアルドは質問に答える。
「ラヴィアン達はKMS社を狙ってるという事は聞いたよ。」
「そうか、ならもう一つ俺から教えてやる。奴らは近々大部隊を率いてKMS本社を襲撃するつもりみたいだぞ。」
「なんだって!? それは本当なのか!?」
するとエイミも口を開く。
「ちょっと待ちなさいよ! なんであんたがそれを私達にわざわざ教えるのよ!? 」
「フンッ、このまま黙って見物してようと思ったが、このまま奇襲を受ければKMSは数分と持たずに壊滅するのが目に見えているからな。少し悩んだが、お前ら演者にはそれなりに準備させておこうと思ったまでだ。」
「はぁ? あんた何がしたいのよ!?」
「俺はただこの余興を楽しみたいだけだ。戦はお互いの力が拮抗してるほど見応えがあるだろ? 」
エイミは呆れた顔をしているとアルドが再び口を開く。
「なぁ、リ・ア=バルク。お前は本当に奴らに加担して無いのか? ラヴィアンとお前は元々は完全な同型機なんだろ?」
アルドは険しい表情で問う。
「…それは知ってやがるのか。あぁ確かに奴と俺は元々同型機だ。だが、だからといって仲間意識など芽生えたりなんかはしねぇよ。実際奴はその事すら知らないしな!」
「そうか…一応この事は頭に入れておくよ。」
「フンッ、なら俺はもう行くぜ。じゃ、アッサリやられてくれるなよ!」
そう言い残し、リ・ア=バルクは飛び去って行ってしまった。
「本当わけわかんない奴ね! で、アルドはこの話信じる?」
「完全に信じてはいないけど、本当だったらマズイからな。どっちみち用心するに越した事はないから、エッジに伝えておこうと思う!」
「確かにそうね、セバスちゃんに調べてもらった事も一緒に伝えておきましょ!」
そしてアルドはエッジに連絡を入れ、それまでに得た情報を全て話した。
「オメェらよくこの短時間でそこまで集められたな?! すぐ上に報告させて貰うぜ! それとそのフタバって女、知り合いなんだよな? 今すぐ会わせてくれねぇか?」
「今すぐっ!? ああ、聞いてみるからちょっと待っててくれないか?」
エイミに連絡を取ってもらいフタバの承諾を得ると、先にエッジと合流したアルド達はフタバの自宅へと向かう。
「ねぇエッジ、フタバちゃんには無理に問い詰めないでよね? 怪しいのはKMSの方なんだから!」
エイミは不安そうな顔でそう話す。
エイミにとっては仲良くなれたばかりのフタバの元へ捜査官を連れて行く事自体ばつが悪かった。
「ああ、ちょっと話をするだけだ…」
エッジはこの時口にはしなかったが合成人間の協力者はフタバで間違いないと確信していた。
なぜならKMS社がプリズマ武器を製造しているなら、わざわざ合成人間にそれを使わせ自社の兵器を襲わせるなんて事は理解が出来ない。
しかし、フタバが自身の研究を否定され一方的に解雇を言い渡して来たKMS社への復讐と考えれば辻褄が合う。
残る謎は何処でプリズマを手に入れたのかという事と、彼女と合成人間の接点だけであり、エッジはどうにか本人の口から喋らせようという腹積もりであった。
一同は家の前へ着くと玄関からフタバが出て来た。
彼女は無言のまま家の中へ招くと、一同はぞろぞろと中へ入っていく。
エッジは早々と自己紹介を済ませると早速本題に入った。
「ここ最近騒がれている合成人間の事件は知っているか?」
「…ええ、あまり外には出ないから噂程度でなら…」
「そうか、それでその暴れている合成人間が使っている武器にどうやらプリズマが埋め込まれているみたいでな。」
「!! ………そう。」
この時ずっと無表情だったフタバが一瞬だけ動揺した。エッジもそれに気付くが淡々と話を続ける。
「そこで、以前KMS社で勤めていたあんたから何かいい話が聞けないかと思ってね。」
アルド達がいる手前、直接的な言葉は避けて話し、彼女の反応を見ようとしたエッジだったが…
「…つまり、私がその武器を造っているのではないかとゆう事よね?」
逆にフタバから核心をつく事を言われ少し動揺するエッジ。
「…面倒だから…回りくどい言い方はやめて。」
エッジは開き直った様でどこか余裕が感じられる彼女の態度に違和感を感じつつ、彼女の言葉に乗ることにする。
「なら、そうさせてもらうぜ。わりぃがアルド達は席を外してくれねぇか?」
「えっ、ちょっと、なんで私たちがっ?!」
「私からも…お願い。大丈夫だから。」
荒ぶるエイミを制止するフタバ。
「えっ、フタバちゃんがそうゆうなら…」
エイミは心配そうな表情を見せ、アルド達と一旦外へ出る。
「さて、じゃあ改めて質問させて貰う。」
そう言うとまずエッジはフタバに合成人間の武器の構造がフタバが昔作成した設計図の物と完全に一致した事を話した。
「…完全に…一致した?」
「あぁ、そんでその設計図を知る者は今となってはKMS社とあんただけだ。KMS社が造ったなら自社を襲わせるなんておかしいよな?それにあの秘密主義のKMS社が設計図を外部へ漏らすのも考えづらい。となるとあんたが造って合成人間へ渡していると踏んでいるんだが、言いたい事はあるか?」
「そうね…確かにKMS社がそれを造ったというのは考えられないわね…彼らにあの武器を完成させる力はないわ。ただ、造ったのは私でもないけれど。」
「まぁそうくるよな。だがこっちもそうですかと言って帰る訳にはいかねぇんだ、長期戦は覚悟して貰うぜ!」
エッジは圧をかける様に言うと、またしてもフタバの口から思いもよらぬ言葉が出る。
「構わないわ…姉が帰って来たら邪魔になるから場所を変えましょう。 貴方達の本部はどうかしら? 私もそこで聞きたいことが出来たから…」
「はぁ? …分かった、それでいいぜ。」
エッジはフタバの考えが分からず少し戸惑うがすぐに承諾する。
本部で事情聴取が出来れば本人の監視を含め色々と好都合なのは確かだった。
「内容によっては今日中には帰せないかもしれねぇがいいな?」
「…シャワーと食事があればいいわ。」
こうしてフタバは一旦COA本部へと向かう事となる。
外へ出るとエイミが不安げな顔で待っていた。
「わりぃが、彼女の意向でこれからCOA本部で話をする事になった。」
「えっ、どうゆう事!?」
エイミが動揺しているとフタバが優しげな表情で語りかける。
「私は大丈夫だから…心配しないでねエイミ。姉さんにもそう伝えてくれる?」
「あ、うん…分かったわフタバちゃん!」
そして二人はCOA本部へと向かって行った。
残されたアルドとエイミは思いもよらぬ展開にしばし項垂れていると、それを見ていたリィカは口を開いた。
「アルドさん! エイミさん! フタバさんが大丈夫と言っていたのデスから、安心して待ちまショウ! それよりヨツバさんの所へ行きマセンか? 」
「あっ、そうだったな! この事をヨツバに言っておかないと!」
「えぇ、でも急にこんな事聞かされたらショックよね。」
「…そうだな。でも黙っててもしょうがないだろ? 急いでヨツバの工房へ向かおう!」
三人は足早にヨツバのいるジャンクショップへと向かって行った。
店に着いて早速中へ入るとヨツバは相変わらずバイクを組み立てている。
アルド達に気付くと手を止めてニコニコしながら近づいて来た。
「いらっしゃーい! どうしたのー? とうとうバイクまで欲しくなっちゃったのかなアルド君?」
「あっ、いやそうじゃなくて、ヨツバに伝えなきゃいけない事があって来たんだ! だから落ち着いて聞いてくれ。」
アルドはこれまでの合成人間との事、彼らの使っていた武器がフタバがかつて設計したものに酷似していた事、そしてついさっきCOA本部へと向かって行ったことをヨツバに伝えた。
「そんな…フタバが…」
「ああ、でもフタバも心配しないでくれって言っていたし…」
「ごめん…三人とも、今日の所は一旦帰ってもらえる?」
「あ、あぁ、わかった。気を落とさないでくれよヨツバ…」
ヨツバは取り乱す様な事は無かったものの、険しい表情を浮かべていた。
早々と工房を出る事となったアルド達はあたりを見回すともう外は暗くなっていた。
「やっぱりショックだよなぁ。」
「そりゃそうよ! あたしだって実際ちょっと混乱してるんだもん! ましてや実の姉なんだから…」
「とりあえず、もう暗くなって来たから帰って体を休めよう。みんな疲れてるだろ?」
「そうねぇ、明日またエッジに連絡して様子を聞いてみましょ?」
そして宿屋に戻ったアルドは横になると、一気に疲れが押し寄せてくるのを感じた。
目を閉じると、今日起きた事をまた考えてしまう。
再び会う事となったリ・ア=バルクは本当にラヴィアンとは協力関係にないのか、そしてフタバはこの事件に関わっているのか。不安や謎がアルドの頭を駆け巡るが、次第に深い眠りについた。
翌日アルドはいつもより多く寝たせいかおぼつかない足取りで宿屋を出ると、すでにエイミとリィカが待っていた。
「おっそーい! 疲れてたのは分かるけど、結構待ったんだからね!」
「アルドさんが起きてこないノデ、エイミさんは仕方なくエルジオンバーガーのモーニングデザートセットを食べに行ってマシタ!」
「ちょっ!リィカそこまでは言わなくていいのよっ! 待ってるからアルドもさっさとご飯食べちゃいなさい!」
「はぁ、朝から重そうな物食べてるなぁ。」
アルドが目をこすりながらそう言うとリィカがジロジロとアルドを見つめている。
「アルドさん! 実は寝ていると見せかけてノンビリ朝食を食べてマシタね? 服にソースの様なものが付いてマス!」
アルドも自分の服を見ると
「あっ、本当だ! 全然気付かなかったよ。 でも本当に起きたばかりで、まだ何も食べてないからな!」
するとエイミも疑いの眼差しでアルドの服を見つめる。
「あっ、これトマトソースじゃない? この前ヨツバさんの家でご馳走になった時付いたんじゃないかしら? もう、子供じゃないんだからしっかりしてよ!」
「ワタシのいない間にそんな事が! 羨ましいデス! デスガ、こちらの時代デハステーキにトマトソースはアブノーマルデスよ!」
「いや俺から頼んだんじゃなくて、俺達が酒場でトマトソースの話をしてるのをフタバが聞いてたみたいで、気を利かして出してくれたんだ。」
「なんとソウでしたか!………イエ、それはオカシイです!」
ふとリィカは何かに疑問を感じた様子を見せる。
「何がおかしいんだリィカ?」
「ワタシのデータによるとワタシ達がトマトソースの話をしていたのはユニガンの酒場デス!」
「えっ?!」
アルドとエイミは声を揃えて驚く。
「何かの間違いじゃなくて?? エルジオンでも話さなかったかしら?」
「イエ、 間違いありマセン!」
「じゃ、じゃあなんで俺がトマトソースが好きだって事を…たまたま出したなんて事ないよな?」
「そんな都合のいい話あるわけ無いじゃない! じゃあヨツバさんはあの日ユニガンに居たって事!?」
「それ以外考えられマセン!」
「そんなっ!? また頭がこんがらがって来たぞ…」
アルドが頭を抱えているとポケットに入れていたケータイが鳴り出す。
画面を見てエッジからの着信だと分かると、ぎこちない手つきで電話に出るアルド。
「エッジか? ちょうど俺達もそっちの様子を聞こうと…」
「アルド! 聞いてくれ!!」
何やら慌てた様子でアルドの話を遮り話し出すエッジ。
「ついさっきKMS社から連絡があったんだが、ラヴィアンから通信があったらしく明日にも本社に総攻撃を仕掛けるとか言ってやがるみてぇなんだ!! 」
「なんだと!? くっ…リ・ア=バルクの言ってた事は本当だったのか!」
「それでよ、本社の人間と近隣の住民には避難勧告を出してはいるんだが、本社の一部の奴らは迎え撃つ気らしく戦闘兵器を連れて構えてる始末なんだ!」
「えっ、そんなの危険すぎるぞ! なんかいい方法は無いのかエッジ!」
するとエッジは一呼吸置き、落ち着いて話し出す。
「あぁ、実は俺達COAは今迄の奴らの襲撃を踏まえて今回の件はかなり重く見てる。そんでさっき急遽作戦が決まったんだ。」
「もう決まったのか?! 教えてくれエッジ! 俺達にも出来る事があれば協力したいんだ!」
アルドはいつもの如くそう言い張ると、電話の向こう側でエッジは少し微笑んだ。
「フッ、アルドならそう言うと思ったぜ! じゃあ聞いてくれ、作戦は今日中にEGPDと組んで奴らのアジトを叩いちまおうってゆうシンプルなやつだ!」
「えっ、アジトって言ってもどこだか分かってるのか??」
「あぁ、通信の発信源を割り出す事に成功したんだ! 場所は…【旧KMS本社】だ!」
「分かった! 旧KMS本社だな! 俺達もこれから向かってみる、また何か分かったら連絡してくれ!」
「あぁ、俺達もすぐ向かうから気を付けろよ!」
話を終えるとエイミ達にも内容を伝え、すぐに出発した。
旧KMS本社はルート99を超えた先にある工業都市廃墟の奥に位置しているため、まずルート99へ出るアルド達。
そこでヘレナとも合流すると、道中ヘレナと情報を共有しながら急いで工業都市廃墟へ向かい走り出した。
工業都市廃墟まであと少しとなった時、ヘレナが何かに気付きアルド達を止める。
「止まって! 空から何か来るわ!」
ヘレナの視線の先を見ると何かが猛スピードでアルド達の方へ落ちてくるのが見える。
そしてヘレナが先にその姿を捉えた。
「…あれは…ラヴィアンよ!」
アルド達の頭上から勢いよく着地するとその衝撃で煙が舞い、そのたなびく煙の中からラヴィアンが現れた。
「やはり来ましたか。忠告したはずですが理解出来ませんでしたか?」
ラヴィアンがそう切り出すと、ヘレナが語気を強めて返す。
「こんな馬鹿げた計画やめなさい! 同じ合成人間として貴方のやろうとする事は見過ごせないわ! 私達はこれからの人間との共存の為やっと団結してきたところなのよ!」
「人間との共存ですか…噂には聞いていましたが本当にそのような事を考える者達がいたとは。 貴方の考えを否定はしませんが、それは不可能だと断言しましょう。 もう人間と合成人間の間に生まれた溝は深い…とても貴方達が埋めれる様な物ではないのですよ!」
ラヴィアンの言う通り、過去にエルジオンを襲撃した合成人間達により人間側に甚大な被害を出してしまい。殆どの人間は合成人間に対して恨みを持っている。その中で共存などという事は夢物語だという事はヘレナも分かっていた。
「それでも! 可能性を信じてみたいのよ! それに、大切なのは私達合成人間が共存へ向かって手を取り合い前へ進んで行けているという事実なのよ! …だから、貴方の私怨でKMS社を襲撃なんてされたら私達の希望も無くなってしまうのよ!!」
ヘレナの言葉を聞いたラヴィアンは何か考えている様な仕草を見せ、そしてゆっくり喋り出した。
「私にも使命がありますので。 貴方達に言うつもりはありませんでしたが、良い機会ですので少しお話ししましょう。今回の件、実行するのは我々合成人間ですが、指揮をとっているのは一人の人間です。つまり我々はその人間へ手を貸しているだけなのですよ?」
「何ですって!? 一人の人間が貴方達を束ねているなんて、にわかには信じ難いけれど…そもそも何故その人間に貴方達が従うのよ? 人間に罪を着せようとしているだけなのでしょう?」
「心外ですね。…理由はいたってシンプルですよ。私は以前その方に命を助けられたからです。当時私はスクラップに囲まれた暗い部屋の中で目が覚め、マップデータを調べてみるとそこはKMSという会社の廃棄処分場だということが分かり、私は逃走を計りました。そしてなんとか廃墟まで辿り着きましたが、結局は動力炉の損傷により力尽きてしまいました…ですがそこにその方が現れ、私に新たな命と身体を授けて頂いたのです。ですから私は駒として、その方を傷つける者全てを排除しようと決めたのですよ。」
この時のラヴィアンの言葉に強い意志を感じたヘレナは、自然と彼への懐疑心は消えていった。
「これも一つの人間との共存の形だと思いませんかヘレナさん?」
「冗談はよしなさい。ラヴィアン、貴方の事情は分かったわ。だから尚更貴方を止めなくちゃいけないわね!」
ヘレナは語気を強め言い放った。
この時アルドはどうしても頭の中で、ラヴィアンを助けた人物とフタバが重なってしまっており、気がつくとすでにそれを口にしていた。
「なぁラヴィアン! その方ってゆうのはフタバという女性じゃないのか!?」
「!! ……何故その名を?」
その反応を見たアルド達はやはりラヴィアンはフタバは知っているのだと気付く。
「知ってるんだな…フタバの事を…つまりお前達の指揮官はっ…」
「彼女は関係ありませんよ。 ですから彼女に何かしようなどとは考えないで下さい? さもないと貴方達も排除しなくてはなりません。…いえ、いっその事今ここで…」
アルドからフタバの名を聞いて凄まじい殺気を放つラヴィアン。
「まっ、待てっ! 俺たちだってフタバは仲間だと思ってるんだ! 落ち着けっ!」
「……おっと、少々取り乱しましたね。私が決める事ではありませんでした。あなた達の処分は改めてあの方に聞いて参ります。」
アルドはその言葉に違和感を感じる。
「聞いてくるって…(フタバは今COA本部にいるはずだぞ?!)」
「クックッ…彼女は今もアジトで我々の指揮を取っていますよ? 色々調べ回っている貴方ならもう誰か分かるのではないですか?」
ラヴィアンは不敵に笑い、そう言い放った。
「えっ?! ……」
「それより、これから来るKMSの愚か者達を迎え打たなくてはなりませんので、そろそろ戻らせて頂きますよ。」
「KMSだと!?」
「ええ、餌を撒いておきましたので、社内機密を守る為に必死でこちらへ向かって来る頃でしょう。ここは戦場になりますが、貴方達も早く引き返した方が良いのではないですか?クックッ…」
そう言うとラヴィアンは上空へ飛び去っていく…
「餌を撒いたって…もしかしてKMSに入った通信の事か! 」
「じゃあ、わざとアジトをバラしたってわけ?!」
アルドとエイミはラヴィアンの思惑を知り慌てているとエッジからの着信が入る。
「アルド! まずいことになった! KMSのアホ共が勝手にそっちへ兵器を送り込みやがったみたいだ! このままだとお前らと鉢合わせするかもしれねぇから今すぐ戻って来い!」
エッジは必死に呼びかけるが…
「ごめん、それは出来ない。この先に俺たちの知り合いがいるかも知れないんだ…」
その言葉でエッジはアルドの言いたい事を悟った。
「そいつは…ヨツバ・ローズってやつか?」
「!? どうして?!」
エッジの口からその名前が出た事にアルドは驚く。
「実はよ…」
どうやらエッジはフタバとCOA本部に行った後、彼女に武器の残骸を見せて欲しいと執拗に迫られ、それを渡すと彼女の口から、姉であるヨツバが作っている可能性があると言ってきたのだという。
「俺には分からねぇが、どうやら造り方のクセなんかが姉のそれとおなじなんだとよ! んで、フタバは自分が直接姉と話すって言ってたが…こうなっちまうと難しいかもな。」
「そうだったのか…じゃあフタバは本当にこの事件に直接関わっていた訳じゃなかったんだな…。エッジ! ヨツバは俺達が必ず連れて帰る! フタバにもそう伝えてくれっ!!」
エッジは少し黙り込む。
「…止めてもオメェは行っちまうよな? 分かった、なら俺達が行くまで死ぬんじゃねぇぞ!」
エッジとの通話を終え、決意を固めたアルド達は旧KMS本社へ向けて再び進み始めた。
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