第14話 囚われの姫(予定)VS.七大罪スライム

 つうっと米神こめかみから冷や汗が伝う。


 今、私の前にいるのは“グラトニースライム”、“グリードスライム”、“スロウススライム”。

 英語に訳すと、順に“暴食”、“強欲”、“怠惰”。

 どれも、七大罪だ。

 まず、“暴食”は、放出系統のスキルが使えない。

 “強欲”は、私のスキルが奪われる可能性がある。

 “怠惰”は、正直分からない。

 このどれも、私がラノベなどで得た情報を元にした考察に過ぎないため、実際違うのかもしれないが、“暴食”についてはあながち間違っていないはずだ。

 何故なら、先ほど私の魔法が一瞬にして消えた──いや、喰い尽くされたからだ。


 どれにせよ、迂闊に近づくことが出来ない。

 しかも、私は落ちてここに来たため、逃げることも出来ない。

 まあ、ダンジョンボスの時点で逃げられないんだけど。

 さて、どうするか……。


 七大罪スライム達を見上げる。


 スライムなので目は無いはずなのに、ジッと見つめられているような気がする。

 そう、心なしか私のポケットに……!


「ていっ!」


 ポケットの中に入っていたモノを取り出し、素早く投げる。

 スライム達がそれに手(?)を伸ばした瞬間──


──グサッ


「!!?!?!!」


 スライムの核・・・・・・を護身用ナイフで破壊した。

 残念ながら、グラトニースライムの核しか破壊出来なかったけど。


 スライムには、“スライムの核”というモノが存在する。

 それを破壊されると、スライムは活動出来なくなり、そのまま生命活動を中止し息(?)絶える。

 ただ、スライムも黙って殺される訳にもいかないため、核を移動させるそうだが、急いでいたりすると、核の移動を時偶忘れてしまうらしい。


 今回はそれを利用して、グラトニースライムを倒した。

 私が投げたモノは、“スライムドロップ”という飴のような物。

 スライムを討伐すると、半分以上の確率でこれが手に入る。

 食べても美味しいため、庶民のおやつにもなっているらしい。

 そのため、買い取り価格もかなり安いようだ。

 まあそんなわけで、売ってもしょうがないし、おやつにしようかなと思ってたんだけど……。

 ここで使い道が出来た!

 スライムドロップに反応して核の守りが疎かになったグラトニースライムの核を、グサッと刺した。

 核は真っ二つとなり、グラトニースライムは消滅した。

 残るはあと二体──グリードスライム強欲スロウススライム怠惰だ……!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る