第12話 囚われの姫(予定)とスライムダンジョン②

 姫は大破したスライムダンジョンの入り口に見向きもせずに、ダンジョンの中に入り始めた。


「ふんふ、ふ~ん♪スライム殺す♪ぶっ殺す♪」


 仕舞いには、サイコパスな歌まで歌い出した。


「【氷弾】、【氷弾】イエーイ!」


──ドカーン、ドカーン!


 私は今、とても機嫌が良い。

 それこそ、魔法一発で蹴散らしたスライム達を踏みつけで歩くぐらいには。

 ……いつものこと?

 はっはっは、気のせいだよ。

 だって、仮にも一国のお姫様がそんなことするわけナイジャナイデスカー。

 え?棒読みになってる?

 キノセイダヨー?


ーーーーーーーーーー


──オナカガヘッタ。タベタイ、タベタイ、タベタイ、タベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイタベタイ……オナカガヘッタ──


ーーーーーーーーーー


 さっすが、序盤の雑魚モンスター代表スライム!

 いい経験値になってくれるわー。

 どんどん奥の方に進んでいるけど、特に変わった様子もない。

 何処まで行けばダンジョンクリア何だろう?

 まぁ、スライムだし、いくら出て来たところで、魔法の使えるようになった私には敵じゃない。

 で、気になる残りの魔力なんだけど、いつもの不思議な声がしてから急に回復量が多くなった気がするんだよね。

 そう、確か


〔条件を満たしました。スキル【MP消費量緩和(小)】を獲得しました。〕


って声……が……。

 ……って、思いっきりスキル獲得しましたっていって言ってんじゃん!

 これ、あれか?

 レベルアップとか教えてくれる、あれか?

 ラノベで“世界の声”とか“女神の声”とか言われてる、あれ!

 この世界では何て言うか知らないけど、絶対そーゆーヤツだー!

 何で今まで気が付かなかったんだろ?

 ……言い訳をさせて貰えば、この声が聞こえたのって全部戦闘中で、聞いてる暇なんてなかった状況だったし……。

 うん、私悪くない。

 そう、そういうことにしておこう!

 取りあえず、さっさとレベル上げを……


〔▶レベル が 1 上がった!

 LV.3→LV.4〕


 あ、上がった。

 久しぶりの脳内画面!


 ……?ここ、行き止まりだ。

 ダンジョンクリアには、ダンジョンのボスを撃破しなくてはならない。

 でも、このダンジョンは一本道。

 迷うことはなかった。


「????」


 何だろう、違和感が凄い。

 何だか宙に浮いているような感覚g……


「あ、」


 目まぐるしく変わる景色。

 たくさんのスライム達がこちらを見ている。

 どうやら私は──















──落ちているようです。

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