第11話 囚われの姫(予定)とスライムダンジョン

 透き通った丸い球がいくつも浮かんでいる。


〔条件を満たしました。スキル【術式看破-1】を獲得しました。〕


〔熟練度が一定に達しました。スキル【魔力操作-5】がスキル【魔力操作-6】に上がりました。〕


ーーーーーーーーーー


 ……おはようございます。

 私は今、とても機嫌が悪いです。

 あー、イライラする!

 あの野郎、乙女の部屋に魔法かけて行きやがった!

 それも、盗聴とか盗撮用の魔法!


──時は少し前に遡る──


 朝起きたら、毎度お馴染みの変な声が聞こえて、何となく部屋を見渡すと吃驚。

 魔力──いや、魔法?のようなモノ──がカメラみたいになってこっちを向いていたり、盗聴器らしき物がそこら中に貼り付けてあったり。

 きっと、昨日魔力であそ……じゃなくて、実験した成果何だろう。

 何と監視カメラ──自動で首?を振るヤツ──が一台と、盗聴器がそこら中に!

 え、どうしよう?って考えてたら、監視カメラがこっちを向く途中の態勢になってて慌てて目を背けたよ。

 あれは焦った。

 それで、何で中世ヨーロッパの世界にこんな近未来の文明品があるのかな~?

 一つ思い至ることがあるとすれば、昨日のアイツ来訪事件。

 私がせっかく楽しみにしていたスライムダンジョン(仮)に行けなくした張本人のせいじゃないかな?と。

 アイツが帰るとき、明らかにリサが動揺していた。

 恐らく、アイツが設置したこれに気付いたのだろう。

 あー、腹が立つ!

 もういい、この鬱憤を晴らすためにも早くスライムダンジョンに行こう!


ーーーーーーーーーー


 リサには、また散歩と言って城を抜け出してきた。

 そろそろバレちゃうから、誤魔化すレパートリーを増やしたい。


 そんなこんなで、何のモンスターにも遭遇せずにスライムダンジョンまで来ることが出来た。

 これで強いモンスターに遭遇していたら、もしかしたら即死だったかもしれないので、殆ど運任せ……じゃないんだよな~。

 実は、例のモンスター図鑑に比較的安全な行き方が解説されておりまして……。

 ……もっと早く読んでおけば良かったぁぁぁぁ!


「はあぁぁぁぁ~」


 相変わらず阿呆だな、と自分の阿呆さを再認識(強制)しつつ、スライムダンジョンの入り口に掌をを向ける。

 入り口には既にたくさんのスライムがいる。

 ちなみに、掌を向けなくても魔法は使うことが出来るのだが、イメージをするときの都合上こうすることにした。

 ……別に、この方がカッコいいな~、とか思ってやったわけじゃないよ?

 ホントウダヨ?


「【氷弾】!」


 魔法名を言い放つと同時に、掌から勢いよく氷弾が放たれる。

 そして──


──ズガーン!


 スライムダンジョンの入り口は大破した。

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