第10話囚われの姫(予定)と王様②

 この野郎、全っ然帰ろうとしない。

 何?

 こんな幼気な5歳に根掘り葉掘り聞こうとするとか頭おかしいでしょ。


「……襲撃者は風属性の杖を所持していたようで……」


 まだ私の口は勝手に動いてるんだけど。

 いつ止まるの?

 何で私の意思関係なく喋ってるの?

 怖いんですけど。

 それに、リサも「え、嘘やん。」って顔しないで!

 この人もこの人で、無表情過ぎて怖い。

 何考えているのかさっぱり分からない。


「……以上です。」


 あ、ようやく終わったっぽい。

 終わったんならさっさと帰りやがれ!

 あれ、何かリサが慌ててる。

 何か合ったのかな?

 まあ、いいや。


「ふむ、参考になった。ではな。」


 何が「ではな。」だよ!?

 もう夕方じゃん!

 スライムダンジョン(仮)行けなかったじゃん!

 せっかく魔法使えるようになってスライム殺り放題だー!って思ってたのに。

 いっそ夜に行っちゃダメかな~って思ったことはあるけど、『レッツ・キル・モンスタアァァァァ!!』に書いてあった文を見て即座に断念した。


 『モンスターは夜になると急激に力を増すため、夜に出歩くのは非常に危険である。』


 ……はい、終了。

 これ読んでなかったら、多分私死んでた。

 どれくらい強くなるかは分からないけど、『急激に力を増す』ってことは、かなり強くなると捉えた方が良い。

 だって、私の頭の中で「行ったら死ぬ」って警鐘が鳴ってるし。

 というわけで、夜にスライムダンジョン(仮)には行けない。


「ふぁ~」


 流石に眠い。

 明日に備えて早く寝よう。


 ……魔力、この状態で動かせるかな?

 やっぱり今の内にやっておかないと、本番で上手く出なかったらたとえスライムでも今の弱小ステータスの私は死ぬ。

 やっておこうかな?

 取りあえず、魔力を丸くしてみる。

 ……成功した。

 思い浮かべると、パッと出来る。

 次は、四角、三角……と様々な形にしていった。

 結果は全て可能。

 何なら動かすことも出来た。

 ……ちょっとやり過ぎて正百十六角形とかまで作ったりしてないよ。

 大丈夫、ワタシウソツカナイ。


 ふと窓を見ると、木に小鳥(?)が止まっていた。

 鳥も作れるかな?……よし、やってみよう!

 結果?

 結果は惨敗。

 作れても、本物にはほど遠い少し歪なナニカになってしまう。

 これは要練習だな。

 そう思いながら、先程まで抗っていた睡魔に身を任せた。 

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