第6話囚われの姫(予定)と家庭教師③

 時間帯は昼間だというのに、男は真っ暗な光が一切ない部屋にいた。

 男はタキシードに身を包み豪奢な椅子に座っており、その風格オーラは普通の人間では抗えずに跪く、或いは発狂して死に至る程のモノであった。

 相当な実力を持つであろう男はワイングラスを片手に持ち、その端正な顔をグニャリと歪に歪めた。


「ふふ、フフフッ、フハハハハハ!!」


ーーーーーーーーーー


「まず、体の中にある魔力を感じ取ります。ティーポットを思い浮かべて下さい。ティーポットの中にあるモノが魔力です。」


 うんうん。

 ラノベでよくあるような説明。

 でも、何だかしっくりこないというか……。

 分かりやすく言えば、あなたの体の筋肉一筋一筋を感じ取って下さいって言われているようなモノ。

 スポーツ選手ならともかく、素人に分かる訳がない。

 思い浮かんだのは……そう、ホースのような、パイプのような物。

 そこに流れているモノを魔力とする。

 それを感じ取っていき、動かしていく。

 最初はゆっくりと慎重に。


〔条件を満たしました。スキル【魔力操作-1】を獲得しました。〕


 そして、段々速く、かつ精密に動かして操作する。


〔熟練度が一定に達しました。スキル【魔力操作-1】がスキル【魔力操作-2】に上がりました。〕


 どんどん操作する量を増やし、まるで水のように柔らかく、それでいて鋭いモノにしていく。


〔熟練度が一定に達しました。スキル【魔力操作-2】がスキル【魔力操作-3】に上がりました。〕


〔条件を満たしました。スキル【魔力感知-1】を獲得しました。〕


 集中していく内にいつしか感覚が冴え渡り、目を閉じているにも関わらず周りの様子が手に取るように分かるようになった。


〔熟練度が一定に達しました。スキル【魔力感知-1】がスキル【魔力感知-2に上がりました。】〕


〔熟練度が一定に達しました。スキル【魔力操作-3がスキル【魔力操作-4】に上がりました。〕


 目では決して見ることの出来ない所まで、今の私には見ることが出来た。

 まるで3つ目の瞳を得たような感覚だ。

 城の中も全てが見える。


〔熟練度が一定に達しました。スキル【魔力感知-2】がスキル【魔力感知-3】に上がりました。〕


〔熟練度が一定に達しました。スキル【魔力操作-4】がスキル【魔力操作-5に上がりました。】〕


 そんな中、私は違和感を覚えた。


 ──私の部屋にいる人間が2人しか見当たらない。


 私は咄嗟に魔力で作ったナニカ、をある一つの場所に放った。


〔条件を満たしました。スキル【氷魔法-1】を獲得しました。〕


〔条件を満たしました。スキル【直感-1】を獲得しました。〕


 さっきから何か聞こえてくるが、全て聞き流す。

 私の勘が最大限の警鐘を鳴らしているからだ。

 これも、さっき聞こえた謎の声の仕業なのだろうか。

 私の勘が目を開けろと囁いてくる。

 目を開くと──


「──ッ!」


 ──眼前にダガーが迫っていた。


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