第5話囚われの姫(予定)と家庭教師②
「……っ。ここは……?」
暗闇の中、一人の女が目を覚ました。
「いッ……!」
体を動かそうとした途端、全身に今までに一度も味わったことのないような激痛が走った。
それでもその痛みに耐え、根性で首を持ち上げ周囲を見回した。
場所は不明だが、どうやら狭い部屋の中にいるようで、周りには自分の持ち物が散乱していた。
その中には、自分の得意属性ではない風魔法の杖が混じっていた。
(一体どういうことだろう?)
女は自分の置かれている状況を理解するために暫しの時間を要した。
ーーーーーーーーーー
この人なら安心。
スライムダンジョン楽しみだな~♪
こんなことを思っていた時期が私にもありました。
「早速ですが、授業を始めさせて頂き……あうっ!」
お分かり頂けただろうか。
そう、何も無い所で転んだのだ。
それならまだしも(?)べしゃっという音が聞こえそうな勢いで転んだのだ。
……え?
……もしかして、ドジっ子属性?
私が僅かに混乱している内に、リサがエメラインさんを助け起こす。
そして、リサは私を申し訳なさそうな顔で見てきた。
エメラインさんは涙目で鼻をさすっている。
はい、もしかしなくてもドジっ子属性でしたー!
えぇぇぇ。
マジか~。
家庭教師がドジっ子属性って、不安しかない。
もし、さっきみたいに「あうっ!」とか言って魔法暴走させたりしたらどーすんの?
……まさか、私への嫌がらせ?
フローラの記憶──どうやら記憶は引き継がれているらしいが、フローラの人格が何処に行ったかは分からない──では、私は将来王となってもおかしくない立場にいるらしい。
それも、私ともう一人の病弱な第一王子、どちらを将来王とするかで派閥が出来ているらしい。
なんと、生まれたときから。
まあ、そんなわけで、私への嫌がらせで送られてきた人かもしれないのだ。
家庭教師が魔法を暴走させ事故死、なんて言うことになるかもしれない。
だから、この人は要注意人物だ。
注意しなければ、魔王に攫われる前に殺されるかもしれない。
「も、申し訳ありません!」
リサに助け起こされたエメラインさんは、こちらへ涙目の顔を真っ青にして謝ってくる。
「いえ、きにしていません。」
エメラインさんが転んだことは気にしていない。
「それよりも、じゅぎょうをはじめてほしいです。」
「本当に申し訳ありません!ご要望通り、授業を始めさせて頂きます!」
──エメラインさんの目が妖しく光った気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます