第3話 囚われの姫(予定)と世界
ついに……ついに……!
この日がキター!
そうです!
今日は家庭教師が登城する日!
テンション爆上がりですわー。
だって、魔法が習えるんだよ?
あの、ファンタジー世界の代名詞、魔法だよ?(←個人の感想です)
え?もう魔法は使えるだろって?
いやいや、思い出してみ?
私が使えるのは《氷魔法-1》。
Lv.1の魔法でなにが出来るって言うのさ。
せいぜい、出来て小っさい氷を生み出すぐらい。
かき氷食べられるくらいしか利点ないし。
そもそも、この世界にシロップないから利点一つもないし。
なら魔法を鍛えろって?
そのために家庭教師の人に来て貰うのです。
そもそも私魔法の使い方分かんないし。
……家庭教師の人、まだかなぁ。
こんなんだったら、リサに登城時刻教えて貰えばよかった。
やっぱ暇だなぁ。
せっかくだし、昨日読んでた本を読んでようかなぁ。
ゲームに出て来たモンスターが載ってるか調べてみようかな。
あ、あった。
『メリー・クルシメマス Lv.1 危険度A
闇精霊から進化した精霊。クリスマスに近くなると、突如姿を現し他のモンスターに取り憑き人間を襲う。襲われた人間は皆心を壊される。無限の魔力を持つ精霊が受肉するような形となるため、中堅冒険者でも討伐は困難。鳴き声は「メリークルシメマース」
【主なステータス構成】
『HP:1/1 MP:∞
物理攻撃力:─
魔法攻撃力:3000
物理防御力:─
魔法防御力:─
敏捷:5
器用:─
《闇魔法-10》《憑依-1》《精神魔法-1》《精神耐性-1》』
あ、コイツアカン奴や。
何!?無限の魔力って!
チートじゃん!
ないわー。
と言いつつも、このモンスターを私は知っている。
でもなぁ、こんなに強かったっけ?
……待てよ?
私が前世プレイしていたのは、あのゲーム──何故か名前は思い出せない──のハードモードまでだったはず。
私は無課金勢だったから、課金しないと出来ないベリーハードモードはやらなかった。
ネットでは、『モンスターが強くなった』とか、『モンスターの種類が増えた』、『フィールドが増えてダンジョンの位置も変わった』とか書いてあったし、もしかしなくてもこの世界、ベリーハードモードの世界なんじゃ……!?
「ああ~!」
ゴロンゴロンとベッドの上を転がる。
こんなになるんだったら、課金してでもベリーハードモードプレイしとけばよかった~!
「うぅ……。」
……過ぎた事はしょうが無い。
今出来る事をやって行こう!
ん~。あと私が知ってるモンスターは……スライム?
ステータスは変わってなかったけど、1つ気になる文があった。
『……初心者向けのスライムしか湧かないダンジョンが魔の森に存在する。……(以下略)』
初心者向けの、しかもスライムしか湧かないダンジョン!
これぞ私が求めていた理想の地!
魔法を覚えたら必ず行こう!
待っててね、スライムの諸君。
もうすぐ行くからね!
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