第2話 囚われの姫(予定)と図書室
私がファイト・ボアから死に物狂いで逃げ帰った日の翌朝。
私はお城の図書室を訪れていた。
「いきなり図書室に行きたいと言い出すなんて……何かあったんですか?」
リサが心配そうに聞いてくる。
……確かに生まれてこの方図書室に来たことは無かったけど、そんなに頭大丈夫ですかって顔しなくてもいいと思う。
私が図書室に来た理由は、この世界について学ぶことである。
何せ、私の持っているこの世界の知識のほとんどがゲームから得たものであり、私が死なないようにするためにはあまりにも情報が少なすぎるのだ。
「……っと。これで全部ですね。」
そう考えている間に、リサが頼んでいた本を全て持ってきてくれた。
ドサッと積まれた本の山。
そこにあるのは、この世界の歴史についての書物から魔物図鑑、スキル大全などの多種多様な本達だ。
まずはこの『レッツ・キル・モンスタアァァァァ!!』を読んでみる。
ちなみにこれ、題名はちょっと……いやかなりアレだが、ちゃんとしたモンスター図鑑である。
なんと、王国一の売れ筋を誇る図鑑で、一家庭に一冊はあるそうだ。
なんでも、この世界に舞い降りた天使が製作した物なんだとか。
天使って製本出来るんだ……。
リサによれば、
「これを読んでいるといないとでは、魔物討伐の成功率に天と地の差があると言われるほどです!」
と、いうことらしい。
『ファイト・ボア Lv.1 危険度C
主に森に生息している。直進をすることでしか移動することが出来ない。しかしそれが攻撃手段でもあるため、突進を受け止めることはおすすめしない。
【主なステータス構成】
HP:40/40 MP:10/10
物理攻撃力:90
魔法攻撃力:5
物理防御力:80
魔法防御力:10
敏捷:100
器用:5
《直進-1》《速度上昇-1》《衝撃緩和(小)-1》《野生ノ勘-10》』
私が襲われたファイト・ボアだ!
それにしても、コイツゲームで見たこと無いな……。
やっぱり、ゲームに似た別の世界なのかな?
でも、説明を読む限りそこまで強くはなさそう。
さて、あいつにどうやって勝つか……。
レベルを上げるにしろ、また自分より強い魔物と出会ったら意味がない。
魔王に攫われる前に死亡とか、マジで笑えない。
何かレベルを上げるいい方法は……あ。
突然、私が前世を思い出す前の記憶が脳をよぎる。
ーーーーーーー
『フララ様、家庭教師の準備が整いました。明明後日には登城できるようです。』
ーーーーーーー
そうだ!明日来る家庭教師に魔法の練習をさせて貰えばいいんだ!
そうすれば、魔法の熟練度が貯まる!
ふっふっふ。
ここは第一王女という立場を使ってバンバン魔法のレベルを上げてやるー!
確か家庭教師が登城するのは明日。
早めに寝ておいた方がいいかもしれない。
そうと決まればこの本達はリサに片付けて……待てよ?
ここに積み上がった本、私の部屋に持ち込んでもいいのかな?
他にも読みたい本はたくさんあるんだけど、毎日ここに来るのも面倒だし……。
「ねぇりさ、ここのほんもってかえってもいい?」
「そうですねぇ。王族以外ここは使えませんしいいとは思いますけど……。」
うっそ、ここ王族以外使えなかったの!?
んー、まぁ持って帰れるんならいっか。
残りの本は部屋で読もうっと。
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