第17話 国内にも

   とうとう、STEの楽曲がアメリカのビルボードチャートで1位に輝くと、日本

  でもにわかに騒がれるようになった。各種マスコミに取り上げられ、テレビ出演

  のオファーや企業からのCM出演の依頼が殺到した。みな、競合他社に先を越さ

  れぬよう、必死なのだ。だが、STEは普通のアイドルではないのである。

植木:「CMのオファーがたくさん来ているが、一般の商品の依頼は全て断ろうと思

  う。」

篤:「え?どうしてですか?やっとお金が稼げるようになるのに?」

植木:「うん。お金を稼ぐのが目的じゃないだろ。いや、君たちにやっと給料を払え

  るようになって、本来ならもっとたくさん支払うべきなのかもしれない。だが、

  我々の目的はなんだった?」

篤:「そりゃあ、地球を守ることですよ。なあ?」

  篤はメンバーを見渡した。

植木:「そう。君たちが訴えて来た「ゴミ問題」は、過剰消費によるところが大き

  い。今や人気者となった君たちが宣伝すれば、フェローたちはこぞって買うだろ

  う。必要でなくとも買うだろう。それは、環境問題からしたら、良くない事」 

  だ。」

流星:「なるほど。だから、一般商品のCMには出ない。逆に、環境問題を訴えるよ

  うなコマーシャルには出ると。」

植木:「そうだ。ボランティア活動をする団体や、献血を呼びかけたりするような宣

  伝は積極的にしたい。ただ、そういう所はお金をたくさん出せないので、アイド

  ルを使おうとは思わないようだ。オファーが全然来ない。」

瑠偉:「社長、他社の宣伝なんかしないで、俺たちのロゴ入り製品を作って、それを

  宣伝したらどうですか?エコバックとか、マイ箸とか、金属ストローとか。」

涼:「瑠偉、いい事言うねえ。そういうの、買ってもらって使ってもらえばねえ。」

植木:「そうだな、STEのロゴ入り製品か。やってみよう。」

  そうして、ロゴ入り製品を売り出し、また、クリーンエネルギーの呼びかけ、太

  陽光発電の宣伝を、ボランティアでやることにした。テレビで流してもらうが、

  CM料はもらわないという具合に。

   国内でのコンサートも行うようになった。人気は急上昇し、それに伴って、太

  陽光発電を取り入れる家が飛躍的に増え、プラゴミが大幅に削減されていった。

  つまりは、STEの影響力が次第に大きくなっていったのである。

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