第15話 瑠偉の住むところ

   ある日、レッスンに来た瑠偉の元気がなかった。メンバーはすぐに気づいた。

光輝:「瑠偉、どうしたの?何かあった?」

  こういう時、真っ先に声をかけられるのが光輝である。気配りがナイス。

瑠偉:「実は、うちの親が転勤になって、福岡に引っ越すことになったんだ。」

光輝:「福岡に?・・・え?瑠偉、どうするの?瑠偉も福岡に行くの?」

瑠偉:「うううん。高校の寮に入る事になると思う。でも・・・寮には門限がある

  し、ここで遅くまでレッスンできなくなっちゃうよ。」

  ちょうど、植木がやってきた。

光輝:「あ、社長、聞きました?瑠偉が学校の寮に入るって。」

植木:「ああ、親御さんから聞いたよ。来月からだそうだ。」

篤:「急だなあ。瑠偉も、親と離れるの寂しいだろ。」

瑠偉:「まあ、それは仕方ないんだ。せっかく入った高校だからどのみち辞めたくな

  いし、STEの活動はもちろん続けたいし。」

光輝:「社長、何とかしてあげてくださいよ。レッスンに瑠偉が出て来られなくなっ

  たら困るよ。」

植木:「そうだなぁ。まだ独り暮らしさせるわけにも行かないしなあ。じゃあ、俺の

  家に来るか?」

光輝:「それはダメですよ!」

流星:「そうですよ、ダメです!」

植木:「え?何で?」

光輝:「社長、独り暮らしですよね?未成年と2人きりとか、犯罪ですよ!」

植木:「え???」

  光輝は瑠偉を抱きしめるようにして、守っている。

植木:「いや、いくら瑠偉が可愛いからって、大丈夫だよ?男の子だからね?」

篤:「いやいや、社長。2人きりはやめた方がいいですよ。この、可愛い瑠偉ですか

  らね。」

流星:「そうですよ、やめた方がいいです。万が一って事もありますから。」

植木:「そうか?」

碧央:「あ、瑠偉、俺んち来るか?」

  碧央が突然そう言ったので、みんな一斉に碧央の顔を見た。

碧央:「あ、いや、うちには両親いるから。うちさ、兄貴が地方の大学に行ってて、

  兄貴の部屋が空いてるからさ。それに、母さんがいつも夕飯作り過ぎたって言っ

  てはため息ついててさ。俺1人じゃあ食べきれないし、かといってたくさん余っ

  てると母さん寂しそうだし。だから、瑠偉がうちに来たら、母さんも喜ぶんじゃ

  ないかと思って。」

瑠偉:「でも、お兄さんが時々帰って来るんじゃない?夏休みとか。」

碧央:「そういう時は、瑠偉は俺の部屋で寝ればいいよ。」

瑠偉:「・・・ホントに?碧央くんちに行っていいの?」

碧央:「おう、瑠偉さえ良ければ。」

植木:「なるほど。じゃあ、双方の親御さんに話してみよう。これから電話してくる

  から、君たちは歌とダンスの練習をしてなさいね。」

メンバー:「はーい。」

涼:「よし、じゃあ始めるか!」


   そして、レッスンが終わる頃、植木が知らせに来た。瑠偉は、碧央の家に住む

  ことになったのである。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る