二〇〇〇年。

(注:本文中にネタバレを含みます)


 食後にコーヒーを飲みながら、コンビニ(カワサキ乗りならロー〇ン一択!)で買ったティラミスを食べる。

 偶には女子っぽいこともしてみる。

 いずれコーヒーにも拘ってみたい。興味を持ったものから少しずつやっていこう。


 DVDをプレイヤーに入れて、まずはいつも通りに色んな映画の予告編を観る。

 映画館ではないけれど、予告編を観ながら焦らされている感じが好きだ。エンドロールも私は最後まで観たいタイプ。この時間には余韻を楽しむ。

 このあたりの感覚は、洋子も同じ感性なので嬉しい。

 そして極稀にだが、こういう予告編から興味を惹かれ、観てみた映画がツボにハマることだってあるから馬鹿にできない。


 バイクだってそう。熱望した結果乗り始める事もあれば、知り合いからの引き取りや別のバイクを探しにきての偶然の出会いから始まる事もある。そういう縁に限って長続きするもの。


 映画は車の公道ゼロヨン(というか直線)バトルからスタートし、その車達を主人公のバイクが猛スピードで追い抜くという演出で始まる。

 そのシーンだけは四輪をディスっているが、以降はほとんどバイクしか出てこない。

 全体的にシーン重視の仕上がりで、シーンを見せるために脚本を作って繋げた感じがする。


 ストーリーにも細かな設定にもとにかく粗が目立つんだけど、ただただ頭を使わずに観られるエンターテインメント映画だと思う。ポップコーンを薄いビールバドで流し込みながら観たい。


「どう? アタシ的には好印象だったけど」

「ナシよりのアリじゃない? 色んなところで、そうはなんないでしょ! って突っ込み入れたくなるのを我慢してたよ。風圧で飛ぶ色んなものとか」

「あー、アレいいね! Y2Kの演出。今は価格と最高速考えるとカワサキのH2Rがあるからちょっとコスパ悪い感あるけど」

「オフに入ると車種が変わるのも潔いかも。そう考えるとM:I-2で車種変えずにタイヤ交換だけでスタントしたトムって凄いよね」

「シーンの演出に目が行きがちだけど、バイク映画として観るならストーリーがしっかりしてるしハッピーエンドなのはアタシ的には好印象!」

「私はファッション的にも響いたね。革ツナギで普段から過ごしてるのにオタク感がないよね。身内だと孝子さんかゆず季ちゃんがそんなだけどあの二人は如何にもバイク好きって感じがね、ちょっと」やはり洋子は職業柄こういう部分の方が気になるみたいだ。

「バイク映画ってわけでは無いかもだけど、ファッションだとミッキーロークの映画が先駆けかも。それまでのバイカーってイメージをおしゃれに一新させたと思うよ」バイト先の店長にいくつかオススメの映画を聞いておいてよかった。


「今度はそれ観てみる?」

「いいね!」

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