魔女の魂

「にしてもよく任せられるよね、魔法が使えないのに水晶玉魔女の魂守れだなんて。」


「僕にもわかんないよ、理由聞いても詳しくは教えて貰えなかったんだもの。」


 僕が守っているものは、魔女の魂。見た目は占い師が使うような水晶玉で、その中に魂が封印してあるらしい。自分も本で読んだことしかないので、それが本当のことかはよく分からないけれど。



「とりあえず、今日は家に帰るよ。ルトくんも帰りは気をつけてね。」

 僕がそう言うと、ルトくんは少しニヤっとして『僕はサクヤくんと違って少しは魔法使えるから。』と言って僕に向かって手を振った。


「なんだよあいつ.....。」

 僕は小さくなっていくルトくんの後ろ姿を見ながら、小さな声で呟いて家までの道を急いだ。


 ✱✱✱


 夢を見た。

 それは、僕が水晶玉魔女の魂を持っている夢だった。どうしてそうなったのか、と考える間もなくその夢は覚めてしまった。

 ただ、その夢の中で誰か知らない人の声がしていた。それは、女性の声で



『魔女の魂を壊せ』と。



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