ルト

 僕が仕事を済ませて森から出て少しした頃。


「いやー今回も派手にやったね、マンドラゴラ使いくん」


「ルトくん、後片付けありがとう.....。それから、そろそろ僕の名前ちゃんと覚えてくださいね。」

 声をかけて来たのは、ルトくんだった。黒い短い髪に、宝石のラピスラズリのような青い瞳をしたルトくんは、言ってしまえば【なんでも屋】のような人で魔法が使えない僕にマンドラゴラをよこした張本人。


「ごめんごめんサクヤくん。今日もお疲れ様。いやー、今日もなかなか大量だったわ....。」

 いつもルトくんは、魔法の使えない僕に代わって動かなくなってしまったバケモノ達の後片付けをしてくれる。僕はそのお礼として、このマンドラゴラを大人になるまで育てるのが二人の間のルールになっている。


「まだ新月なのに、やけに血の気が多いな.....。」


 聞けば今日は自分がこの目で見た三匹以外にも、あと五から六匹はいたらしい。元々満月が近くなるに連れて動きが活発になるバケモノ達。でも、十回に一回くらいの頻度で今回のようなケースが発生してくる。


「あ、水晶玉もちゃんと見てきたよ。まだあそこまではバケモノ達も進んでなかったみたい。」


「あ、見に行くの忘れてた.....。」

 僕はバケモノ達からあるものを守っている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る