マンドラゴラの正しい扱い方

七瀬モカᕱ⑅ᕱ

僕の仕事

 ○月✕日、天気は晴れ。今夜は新月。


「はい、わかりました。すぐ行きます。」

 今日も僕はリュックに沢山の荷物を詰めて、森の奥へと進む。


「さて、準備するか.....。」

 耳あてをして、鉢植えを並べる。置いた場所から、少し離れた広い場所で時間がくるまで待機する。

 辺りはとても静かで、これから起こることなんてきっと誰も想像できないと思う。


「......。」


 ざわっ。と、強い風が吹いた。それとほぼ同時に、何かの唸り声が聞こえる。



 来た!!



 辺りには自分よりも大きなバケモノが見えるだけで二から三匹。見えるだけ、ということは他にもいるのかもしれないけれど時間もないので予定通り作戦を開始する。

 バケモノ達を引きつけながら、さっき鉢植えを置いた場所まで走る。



「よしっ、!」

 鉢植えを置いたのは狭い道で大きな身体のバケモノは、入ってこられないような場所。

 無理に通ろうとして引っかかっているのを見て、僕は木と木の間に隠れながら鉢植えを手繰り寄せて植わっている【コイツ】を一気に引き抜いた。

 その瞬間、辺りにまるで悲鳴のような【コイツ】の鳴き声が響いて周りにいたバケモノ達はピタリと動かなくなった。


「じゃあ、あと頼むね。」


 これが僕の仕事。魔法の使えない僕は、代わりに【マンドラゴラ】を使ってバケモノ退治をしている。



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