第2話 犬のおもちゃ

どうも公園の神様です。前回のお話は楽しんで頂けたでしょうか。今回は少しばかり昔のお話を用意しました。

あれは「夕やけ公園」ができてすぐのことです。




はぁ、新しい公園だというのにこの公園には誰も居ません。原因はある不思議な噂によるものです。

「あの公園にいる野良犬は臭くて近づいたら呪われる」

まぁそんな感じの噂です。臭い犬と呪いに因果いんが関係は見当たらない気もしますがそれが噂と言うものです。実際この公園には野良犬がたくさん住みついていますから、根も葉もない噂と言う訳でもありません。野良犬がいい匂いな訳ありませんしね。臭いといわれても反論できません。


そんなこんなで全然人の来ないこの公園は沢山の木で囲まれているせいか、沢山の葉や枝が落ちていて、自治会によって掃除されないと酷いありさまです。



この日は月に1度の公園の掃除日ということで、私の機嫌もウキウキです。

多くがお年寄りですが、今日は子供も1人来ているみたいです。日陰の方で枝を拾っては捨てを繰り返して遊んでいるようです。

そして1時間後、掃除も終わり、大人たちは子供を置いてさっさと帰っていきました。可哀想に、子供はまだ枝拾いに夢中なようで、血眼ちまなこで枝を探しています。


それからしばらくして、公園には野良犬たちも増え、それぞれ枝やら葉っぱやらをおもちゃにして遊び始めました。


気がつくと、少年はその犬たちの様子をずっと見ていました。

そしてふと立ち上がると犬たちに近づきボソボソと何かを呟いたあと、公園を出ていきました。





近頃あの野良犬たちを見ません。


新しい噂によると、この公園は犬たちが消えたことで不快な臭いも消えて遊びやすい良い公園になってきたそうです。

そしてもう一つ。この公園の近くでバラバラ遺体が見つかったんだとか。年齢は小学生程で、犯人は遺体の一部を犬に与えて証拠を消していたんだとか。



あの少年は一体なんなのか。


なぜ犬は消えたのか。


犬が咥えていたのは本当に枝だったのか…





神様の私にはどうでもいいことです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る