第41話 土のおくすり~アルビオン連合王国~(3)
北の島国、アルビオン連合王国。
数々の英雄王伝説を残している、歴史的な場所。そして、世界で初めての
英雄王による、多種族との戦いの果ての国土統一。
王へ対抗する種族や勢力、武装した民衆が
王権の喪失と、民主政治。
だが、部族間の抗争や、政治家の上下関係の歪みにより、すぐに失政となる。
亡き王の孫娘である
多種族の共存。
そこから、農業政策が成功し、連合王国の人口が爆発的に増えた。その人類たちは、魔法と工業技術の融合で、魔導科学
さらに、偉大なる
その後、国として上手く行かない時代になってくる。すでに偉大なる女王陛下は去り、子孫の王族世代へなっていた。
結局は身内にあたる、王族同士のいがみ合いだ。
フランシス国と、ホランズという地方の農地を奪い合いになる。さらに、隣国のハイネス国も農地の権利を主張する。
ただ農地はさほど重要ではなかった。
この地の港、ローダムは他の場所へ行く時に
重要な
泥沼の大陸戦争が始まった。
血気盛んな者からどんどん亡くなった。種族が絶滅寸前まで行く場合もあった。優秀な者は、技術や能力を弟子たちや文章に残す間もなく、地上から消えた。
その頃になると、同じ国家の内でも、王や軍隊への反感が広まっていた。
中でも、アルビオンは最悪であった。
海では、他国を圧倒出来ていた。だが、本国の島国では、焼け野原になるくらいに、反乱軍と正規軍が戦った。
王も、反乱を企てた王族たちも、陸の軍人たちも、皆、大地に消えた。
それどころが、工場も壊れ、農地は枯れ、川は毒で汚れた。
やがて、フランシスも、ハイネスも、国力が無くなり、戦争はいったん止めることになった。
戦地で疲れ切ったアルビオンの海軍兵士たちが、各海から本国に戻ると
北の島国の上、その大地はもはや何もなかったのだ。
不毛の大地。茶色と灰色の世界であった。
王もいない。政府もない。学者は巻き添えを恐れて隠れている。
壊れた建物も配管も直せず、雑草は生い茂り、土も水も腐り果てていた。
それでも、希望の光はまだあった。
時のフランシス王が
短い羽が生えているが、空は飛べないハーフフェアリーのビビ公主。
小柄だが、戦を好まず、聡明な彼女を、アルビオンの女王へ迎えることになった。
彼女は苦難の旅を乗り越えて、アルビオン島へやって来た。
フランシス国を抜け出し、中立のホランズ国から、アルビオン復興政府が手引きした海賊船で、この北の島国へ入ったのだ。
そこからは圧倒的な速さであった。
ビビ新女王は、復興政府と海軍、そして学者たちの有識者を集めた。残存する敵対勢力を、女王命令で
次に、女王の単独政治は廃止し、学者たちを中心とした新政府を樹立した。バラバラだった軍隊も新政府の元で、近衛兵から中央軍、地方軍に再編された。
知恵ある学者議員が案を出し、女王が裁可し、上から末端の民衆まで協力して、工場や農地、壊れたあらゆるものを全力で復興させた。
治安と当面の衣食住は、ついに安定したのだ。
王と国民、お互いの良さ、悪さがある。この歴史があるからこそ、この統治機構になった。
この複雑さを受け入れる国、とても度量が深い。
そもそもアルビオン人が、複雑な感情を飼いならせる特異な人種の集合体だったからだ。
本音と建て前を二面相のように扱う、アルビオンの
復興のきっかけ、海外の国とアルビオンとの外交が再開した。
元敵国だった、自然との共存復興を選んだフランシスと、工業国へ進んだハイネス。
いつの間にか、アルビオンが間に入って、仲直りしていた感じだ。
それどころか、巻き添えを食らった諸国への根回しもアルビオンは早かった。
西のレオニア、北東のヴァルキリ、南のアンジェリ、南東のオットー、東方のインペルとも、安定な貿易を行っていた。
結局、戦争の原因になった港ローダムも、このアルビオン連合王国に最も待遇を良くしている。
戦後の今、大海はアルビオンの支配下だ。
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