魔女の歴史

 魔力。そうだ、まずは魔力の話からしよう。魔力とはいうものの、別に魔力自体は特別なものではない。その存在があまりにも抽象的過ぎて、魔力でさえも特別なものと化しているが、別にそんなことはないのだ。


 魔力というのは、生命力のことだ。ご飯を食べて、それを生命力に加算する。なんのことはない、それくらいならみんな出来る。


 特別とされるのは、それの使い手。……魔女のことだ。魔女はその生命力を現実に出力し、いろんなことができる。生命力と想像力が許す限り、どんな事でも。


 ここから先は少し歴史の話で、退屈になるが聞いて欲しい。私たちを理解するには必要な事だ。


 その昔、普通の人類と魔女は戦争をした。どちらが火種かと聞かれると、魔女の方だというしかない。


 魔女達は自らが新人類だと思い込み、旧人類を倒すべく立ち上がった。立ち上がったと言えば聞こえはいいが、まぁ自らと違うものを排斥しようとしただけだ。


 その結果、魔女達は慢心が原因で敗北。戦争に加担していた魔女は一人残らず殺された。けれど、魔女は血で繋がる集団ではない。


 その後も魔女は生まれ続けた。国はその存在を恐れ、見つけ次第殺すように全ての地区に命令した。いわゆる魔女裁判と言われるものが発生したのはこれからだ。


 魔女裁判は最初は酷い出来レースだった。拷問にかけられたら誰だって嘘であろうと自白するに決まってる。


 その出来レースに反旗を翻したのは、ある女性だった。その女性は生命力を測る装置を開発し、基準より低いと魔女だと断定できるようにした。まぁその女性は魔女で、その装置のおかげで処刑されたが。


 それから百年程経ち、魔女の処刑そのものに疑問が呈された。魔女との戦争の衝撃が薄れていた事もあり、割とすぐに受け入れられた。


 しかし。現代に至ろうとも、差別は消えない。だからあまりカミングアウトする人が少ないのだ。


 ……私たち姉妹は、両方とも魔力を操れる。とても珍しい姉妹なのだ。

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